ゆさゆさと笑う豆腐を買いに行く 岩根彰子
鳥取城石垣
鳥取は、砂丘ばかりが有名だが、名城100選にも選ばれている通り、
訪れて見れば、鳥取城の堅牢な勇姿も捨てたものではない。
「鳥取の渇え殺し」
荒木村重が単身城を捨てて逃走したことで、
有岡城は落城して
官兵衛は救い出された。
この頃になると三木城内の食糧事情はかなり悪化。
馬まで食べてしまっても、餓死者は後を絶たなかった。
そして天正8年
(1580)正月、
秀吉は三木城総攻撃を開始する。
「もはやこれまで」と悟った城主の
別所長治は、
よしすけ
自分と弟の友之、強硬であった叔父の
賀相の切腹と引き換えに、
城兵の助命を願いでた。
それを条件として三木城は開城、
約2年に亘る三木籠城戦は終止符を打った。
恐ろしいものを見すぎた月の暈 木本朱夏
秀吉は三木城を陥落させた後、4月に弟の
秀長を但馬に派遣。
この地の毛利方武将を討伐させた。
東への境界を織田方に付いた
宇喜多直家に抑えられている
毛利輝元は、
その宇喜多領に侵入を繰り返すが、
本格的な戦闘へと発展させる意志は乏しかった。
その間に秀吉は西播磨も平定してしまった。
そして次の目標を因幡攻略に定めた。
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鳥取城球面体石垣
石垣のたわみを防ぐため、この形を採用したという。
秀吉の的となる本拠地は
山名豊国が守る
「鳥取城」だ。
秀吉は5月には秀長とともに因幡に進軍し、
毛利方の城を次々に陥落させていった。
当初抵抗していた豊国は、9月には降伏して鳥取城を後にしている。
ところが、山名氏の老臣をはじめ城兵の多くは、
その後も籠城を続けたうえに、
毛利軍山陰方面総大将の
吉川元春に城将の派遣を依頼した。
そこで元春は天正9年
(1581)の3月、
一門の
吉川経家に兵400を付けて、鳥取城に送り込んだ。
花筏踏んで戦車がやってくる 湊 圭史
秀吉は6月の末、2万の大軍とともに因幡を目指した。
この鳥取城攻略策も三木城と同じく兵糧攻めに決した。
そして、三木城のように時間をかけないように、
官兵衛が提案した二つの策を実行している。
一つは、戦闘が始まるよりも大分前から、
因幡国中の米穀を通常の倍の値段で買い占めること。
もう一つは、城攻めの前に近隣の村落を襲い、
領民たちが城内へ逃げ込むように仕向けたことである。
そうすれば兵糧の消耗もより早くなるからだ。
かつえ
「鳥取の渇え殺し」の作戦開始である。
命中せぬと的の機嫌が悪くなる 寺川弘一
「この時官兵衛は?」
合戦開始7月以後、鳥取は戦闘のない籠城戦ということもあり、
官兵衛はこの戦闘から離れ、阿波・淡路に出兵したと伝わる。
「天正9年秋、信長は阿波・淡路を討つべきことを秀吉に命じた。
秀吉は命を受けて、まず阿波を平定しようとして、
その身は因幡にありながらも、名代として官兵衛を阿波へ派遣した。
この時、官兵衛の父・職隆が病により危険な状態にあったが、
命令なので断ることもできず、官兵衛は阿波へ向った」
とある。
「黒田家譜」
せんごくひでひさ
阿波は,秀吉の家臣である
仙石秀久に任せ、
あたかきよやす
官兵衛は、淡路の
安宅清康に照準をあてた。
清康は、もともと信長側だったが、毛利側に寝返っていたからで、
裏切ることを嫌う官兵衛は、自分自身の手で清康を討ち取り、
城をあっけなく開城させている。
納得の目覚めを朝は待っている 斉尾くにこ
「人に歴史・城主に生き方あり」
「変わり身の早い城主」-山名豊国
山名豊国は、尼子の
山中鹿助らと組んで毛利方・
武田高信を滅ぼし、
鳥取城を奪い城主となるも、
毛利方の圧力が強まると尼子を捨て、毛利に帰順。
その後の信長の中国攻めには、毛利を捨て織田方に従おうとした。
それが家臣たちの反感を買い、鳥取城を追われる。
その後、
秀吉の御伽衆となり、
関ヶ原の戦では、
家康について但馬に所領を得ている。
死に方を考えるほど暇である 山本洵一
「戦わずして名将の名を残した将」-吉川経家
秀吉に
山名豊国が鳥取城で降伏しようとすると、
その家臣たちは、豊国を追い出して、
秀吉軍と徹底抗戦をする事を決意、毛利の
吉川元春に支援を求めた。
そして元春が白羽の矢を当てたのが武勇に秀でた
吉川経家である。
この時、経家は自身の首桶を持ち込んだといい、
死を覚悟した入城だった。
経家は入城すると、城内の防衛を整備し、籠城の準備をはじめた。
しかし、兵糧の備えは常備兵3ヶ月分しかなく、
4ヶ月間も籠城して耐えたが、餓死者が出始めたことで、
経家は自分の命と引き換えに、城兵の助命を条件として開城した。
秀吉は、経家の入城の経緯を知っていることもあり、
その武勇を惜しみ、自害を思い止るよう説得したという。
「古の仮の庵と住みかへて もとの都にかへりこそすれ」
串カツの二度漬けほどの罪だった たむらあきこ [7回]