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川柳的逍遥 人の世の一家言
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夫の無能力化は着々と進む  井上一筒 

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光射す琵琶湖・近江と竹生島   

「小谷城落城」

全国の山城のなかでも、屈指の名城といわれた小谷城は、

小谷山の頂上から下ってきたところの、稜線に築かれている。

居館はもともと麓の清水谷にあったが、戦乱が激しくなって、

山上に女たちまで住める、

居館まで備えた「小谷城」ができたのである。

近江路を今も見ている伊吹山  武智三成

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右から、御茶屋、御馬屋、桜馬場、大広間、赤尾屋敷、本丸、堀切、

     中丸、京極丸、小丸、山王丸


山上の大手口にあたるところに、番所があり、

そこから少し上がった江戸時代に、「桜馬場」と呼ばれたあたりからは、

湖北一帯を眼下に見下ろすことができ、信長の本陣があった「虎御前山」がすぐ下に、

その向うに琵琶湖が拡がり、「霊所・竹生島」が可愛らしい姿を見せ、

遠く湖西の山々も、見渡すことができる。

そこからさらに上がって行くと、

山上の「御殿の跡」と言われる場所や「本丸」がある。

(天守閣にあたる建物があったかどうかは不明)

思い出のシーンを溜め込んだ枕  河津寅次郎

「小谷城落城」のきっかけになったのは、

清水谷から密かに水手口を上がってきた木下藤吉郎が、

内応する者の手引きで、本丸の背後の「京極丸」を占領したことにある。

この城が、このような攻撃を想定して、

「設計されていない」 
ことを見抜いた藤吉郎が、

奥にあった「小丸」浅井久政と、

本丸の浅井長政との「連絡道」を、遮断してしまったのである。

8月29日、祖父の久政が自刃。

ついで、織田信長自ら本丸を攻撃され、

9月1日長政も、本丸の横にある「赤尾屋敷」で自刃した。

魂だけ残してみんな捨ててゆく  前たもつ

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三姉妹と、お市がどうやって脱出したのか、

茶々5歳、は4歳、お江は生れたばかりだった。

先に長政の姉が、住職をつとめる実幸院という尼寺に、

匿われていたという説もあり、

藤掛永勝という、織田家から、お市の方の嫁入りについてきた者が、

先導したともいう。

前もって、逃がされていた兄の万福丸は、わずか10歳の若さで、

関が原で信長の命令を受けた藤吉郎によって、磔にされ、

又残酷にも、長政の母(井口阿古)は、

関が原で指を1本ずつ切り落とされ、刑死させられた。

こうして小谷城は落城し、浅井家は滅亡する。

井戸水が涸れて幽霊干からびる  小谷竜一

三姉妹は、信長弟の津城主・織田信包(のぶかね)方の世話になることになる。

信長としても、妹のお市の方と、顔を合わせるのは気まずいので、

そのように手配したのだろう。

小谷城はとりあえず、木下藤吉郎あらため、羽柴秀吉のものになるが、

まもなく秀吉は、すぐに長浜に新城を築いて移り、

5年後には、「破城」が命じられ、

石垣なども、すぐには補修して使えないように崩されてしまった。

知らぬ間にずれてしまった砂の城  田原喜久美

小谷城落城天正元年(1573)9月から、

「本能寺の変」の天正10年(1582)6月2日までの、おおよそ10年間、

お市と三姉妹が、どこで過ごしていたのかについては、確かな記録は残されていない。

≪信包の居城である伊勢上野城にずっといた、清洲、岐阜、安土のどこかに移った。

 などの説があるが、あくまでも推測である≫

古里を聞かれ流浪の民と言う  奥田みつ子

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大河ドラマ『お江』-第一回・「湖国の姫」-あらすじ

力ある者たちが、領土拡大や天下取りのため、

血で血を洗う戦を繰り広げた戦国時代。

尾張の風雲児・織田信長(豊川悦司)は、

近江の戦国大名、浅井(あざい)長政(時任三郎)に、

妹の市(鈴木保奈美)を嫁がせて同盟を締結。

京への道を開き、天下統一への動きを加速した。

しかし、野望を隠さない信長に、各勢力が反発。

長政も、大恩ある越前の朝倉氏が信長の攻撃を受けるに至って、

義兄に背くことを決断する。

けじめつけ無くした物の多かりし  籠島恵子

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それは、市にとって身を裂かれるような事態だった。

織田家に命を捧げる覚悟で浅井家に嫁いだ彼女だったが、

長政の妻として、茶々(芦田愛菜)、初(奥田いろは)という、

愛らしい姫たちと生きる日々が、その心を変えてしまっていたのだ。

市の苦悩をよそに、織田と浅井は全面戦争に突入。

居城・小谷城にこもる長政は、徐々に追い詰められ、

誰の目にも落城は間近と思われた。

そんな中、市は自分の体の異変に気づく。

子を身ごもったのだ。

薄靄にこんな所で囲まれる  森 廣子

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城が落ちれば自分は死ぬ身。

どうせ助からないならばと、

彼女は毒を飲んでその子を堕ろそうと決意するが・・・・。

母・市が身ごもった子を堕ろそうとしていると知り、茶々は身をていして、

それを止めようとする。

有情無情かなしい腕が二本ある  森中惠美子

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おみくじに女は思い当たること  森中惠美子

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大河ドラマ「お江」に揃う美女五人衆

「まず、クイズです。 次の華麗なる親族を持つ女性は誰?」

叔父は、織田信長。

義兄は、豊臣秀吉。

義父は、徳川家康。

主人は、二代将軍・徳川秀忠

息子は、三代将軍・徳川家光。

孫娘は、初代女帝・明正天皇。

二回目夫・秀勝との娘・完子(さだこ)の系譜から、今上天皇へと辿り着く。

嘘っぽい家系図イカの墨で書く  井上一筒        

1573年(天正元年)生まれ、

父は、浅井長政。

母は、お市。

姉に、茶々お初

戦国時代最も有名な三姉妹の「三女・お江」である。

幼名を「お督」といい、

近江の江州の「江」、または江戸の「江」から、住居名を「お江」となる。

北近江の戦国大名、浅井氏は織田信長に敗れ、

浅井久政・長政父子の首は、信長により、

漆塗りにされた上に、金箔をほどこされて、

無残にも,正月の酒宴で、家臣らに披露された。

ここに浅井氏は滅びた。

しかし、それは、男の系図であって、

「女系図から見れば、その浅井氏は戦国史上、最大の勝者となったのである」
 
信長の妹お市の方は、

長政の妻となって2男(万福丸作庵)3女を産んだ。

才色兼備神は美人に甘すぎる  前原正美 

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     浅井三姉妹             

落城後に処刑されるなどとした兄弟に対し、

「三姉妹」は、母お市の薫陶を受けて立派に成人し、

大きく血脈の翼を広げた。

長女茶々は、両親を死に追いやった秀吉の側近にさせられるが、

秀頼の生母として、天下人秀吉の有した権力を共有し、

秀吉の死後、豊臣家を必死に守った。

一方、二女お初は、養父となった秀吉によって、京極家に嫁ぐ。
 
そして、変転の人生を身をもって体験した三女お江のもと、

華麗な系譜が誕生した。

三姉妹で恋人取るか取られるか  立蔵信子

お江は、秀吉に人生を翻弄され、3度嫁がされた。

2度目の羽柴秀勝との結婚では、夫が朝鮮に出兵して病没したが、

忘れ形見として、完子を授かった。

そのお江を、「戦国のシンデレラ」にしたのは、皮肉にも秀吉だった。

跡継ぎ秀頼のために、徳川の後ろ盾が欲しく、家康の息子秀忠に嫁ぐ。

だが、関ヶ原合戦で家康が覇権を握って、

お江は、徳川家のファーストレディーに変身する。

しかも、母のお市と同様、

お江も織田家の血を引いて多産系で、2男5女を産んだ。

朝顔は系統好きをもて弄ぶ  岩根彰子

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長女・千姫は豊臣家に嫁ぎ、悲劇を潜り抜けて本多忠刻と再婚し、

生まれた娘・勝姫池田光政の妻となり、備前岡山藩を揺ぎないものにした。

二女・珠姫前田利常に嫁ぎ、加賀百万石を不動のものにした。
 
だが何といっても、お江は徳川の「初代御台所」となり、

世継ぎ家光を産み、将軍家を安泰に導いた。

しかも、末娘・和子後水尾天皇の中宮(皇后)になり、

その娘が”明正天皇”となった。

落日にふとバンザイをしてしまう  嶋澤喜八郎          

さらに、先に羽柴秀勝との間に生まれた完子は、

公家の九条家に輿入れし、

夫・忠栄も、また生まれた息子・道房も、ともに関白となった。
 
お江は自ら武家の女として、最高位の御台所となり、

娘・和子は中宮として天皇家の頂点にのぼり、孫娘は女帝となる。

またもう一人の娘完子は関白夫人として、公家女性の最高位にのぼり、

息子・家光は3代将軍。

「こんな華麗な家系譜を持った女性は日本史上、お江しかいない」

滅びたはずの浅井氏は、

比類まれな女系譜を描き、

「見事な復活を遂げた」といえるのである。 

ゆったりと川の流れに沿い生きる  田中洋子

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一生に一度の今日へ何遺そう  前田伍健

「天皇の起源は神話にある」ー天皇の正月

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祭祀が執り行われる皇居内の宮中三殿

皇居御所がある吹上御苑の森の東南に、『宮中三殿』と称される「三つの祭殿」がある。

それぞれの回廊で結ばれ、

真ん中の一番高くひと回り大きいのが、天照大神を祭る「賢所」。

左側が歴代天皇・皇后・皇族の御霊を祭る「皇霊殿」。

右側が百万(やおよろず)の神々を祭る「神殿」である。

この聖域の中心にある賢所のご神体は、『三種の神器』のひとつ、

「八咫鏡(やたのかがみ)」である。

≪三種の神器とは、八咫鏡草薙剣、八尺瓊曲玉(やさかにのまがたま)をいう)≫

中でも、天皇の祖先である“天照大神の魂”を宿した鏡が、

別格に重要なものとされ、

剣と玉が、天皇のお住まいである御所の寝室の隣の、

「剣壐の間」けんじのま)にあるのに対し、

「鏡」は、「賢所」の奥深くに安置され、滅多に動かされない。

≪皇居の神器のうち、鏡と剣は「分身」、「八咫鏡」の本体は、伊勢神宮に、

「草薙剣」の本体は、熱田神宮にある≫

[分身]=レプリカとか複製と説明されることが多いが、「模造品」ということではない。

 神道における「分祀」が、ろうそくの火を分けるように、

神様の分身を増やすのと同様、[分身]も本体に準ずる神器なのである。

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左から、皇霊殿・賢所・神殿

スサノオノミコトの乱暴狼藉に恐れをなした天照大神は、

「天の岩戸」に引きこもり、世界は闇に包まれてしまった。

そこで神々は、一計を案じ、「鏡」「曲玉」を作って、

天の香具山から掘り起こしてきた榊に掛け、祝詞を唱えて祝福した。

そして、アメノウズメノミコトが神がかりして踊ると、高天原が鳴りとどろくばかりに、

八百万(やおよろず)神々が、どっと一斉に笑った。

天照大神は、それを不思議に思われて、

「私がここにこもって、すべて暗闇となっているのに、

どういうわけでアメノウズメは舞楽をし、神々はみな笑っているのか?」

「あなた様にもまさる貴い神が、おいでになりますので、喜び笑っております」

そういう間に、鏡を差し出し天照大神にお見せすると・・・

天照大神は、ますます不思議に思って、鏡の中を覗こうとする。

その瞬間、戸のそばに隠れていたアメノタジカラオが、天照大神の手をとって、

外に引き出し、フトダマノミコトが注連縄を張った。

こうして太陽が戻り世界は明るくなった。

一方、高天原を追放されたスサノオノミコトは、出雲の国に降り、

クシナダヒメを救うために、「ヤマタノオロチ」の退治を引き受ける。

酒に酔いつぶれたヤマタノオロチを、スサノオはズタズタに切る。

そして、オロチの中ほどの尾を切ったときに、剣の刃がこぼれた。

不審に思って尾を裂いてみると、すばらしい「剣」が出てきた。

スサノオノミコトは、この剣を天照大神に献上した。

この神話に登場する「神鏡」・「曲玉」・「宝剣」『三種の神器』である。

その後、天照大神の孫である二ニギノミコトが、高天原から地上に降臨する際、

「この鏡は私の御霊として私を拝むのと同じように、敬ってお祭りしなさい」

天照大神は、そう言って剣、玉とともに授けた。

太陽が日本へ出ると拝まれる  岸本水府

二ニギノミコトのひ孫が、初代・神武天皇であり、

「三種の神器」は以降、代々の天皇が受け継ぎ、

現在も鏡は伊勢に、剣は熱田に、玉は皇居にある。

≪宮中の「神器」は記録によれば、

 平安時代以来、何度も火災に遭って、原形を留めていないと言われているが、

 実際にどういう形状になっているかは、誰も知らない≫

聖なるものは、世俗の者の目に触れてはならない。

触れた途端に、聖は俗に堕ちてしまう。

宮中三殿を内掌典が厳しく、「清」・「次」を分けて守っているように、

俗との交わりに厳しく、制限をかけた『聖域』を作ることによって、

神聖さは保たれる。

「豆辞典」

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   昭和天皇の新嘗祭

皇室祭祀は、天皇自らが「祭祀」を行う『大祭』と、

男性神職の掌天長(しょうてんちょう)が、祭祀を行い、

天皇が拝礼する『小祭』に大別される。

≪一年で最も重要な大祭は、「新嘗祭」にいなめさい)(11月23日)で、

 これは、「神嘉殿」という専用の祭殿で行われる≫

天皇陛下は大祭・小祭合わせて、年間30回前後の祭祀にお出ましになる。

天皇は、「国民の安寧をい祈る祭祀王」だから、

欧州でいえば、王室よりもローマ法王に近い。

そもそも、「神話に起源を持つ祭主がいる国」というのが珍しい。

天皇は国民と、対立関係にないから日本では、革命が起らないのである。

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「新年参賀」

ボーイスカウトの子供たちから、日の丸の小旗を受け取り、

手荷物検査とボディチェックを受けた後、

島倉千代子の歌で知られた“ここがここが二重橋・・・”の二重橋を渡る。

≪本当は、我々が外から目にする、この橋は二重橋ではないらしい≫

皇居正門をくぐるともう一つの橋があり、じつはこれが「本当の二重橋」なのだ。

手入れされた木々を眺め、

いよいよ皇居の清浄な空気に触れつつ、

「長和殿」の前の東庭に向かって進んでいく。

そこにはすでに、すごい人々がひしめき合っている。

≪もともと、この一般参賀は、国民のほうが何も期待せずに始めたものであり、

 昭和天皇が厚意で、お出ましになったのである≫

(それが今では例年一日7回にも及ぶ 但し天皇の体調により減らす事もある)

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      正 門

国民が、皇居の中に入れるようになったのは、

昭和20年の「皇居勤労奉仕」に起源がある。

GHQの占領が始まったこの年に、空襲で草が生い茂った皇居の、

「草刈をさせてほしい」

と宮内省に申し出た国民がいた。

62名の男女が自主的に上京してきて4日間奉仕したのが、

「皇居勤労奉仕」の最初である。

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     長 和 殿


いよいよ、長和殿のバルコニーの後ろの襖が開き、皇族の方々がお出ましになる。

皇后・妃殿下・女王のドレスの色彩の明るさ、華やかさ、品のよさが目に心地よい。

天皇皇后両陛下共に、体調が万全でないことが、

ニュースで伝わっていたので心配だったが、

いつものように、あの慈愛に満ちた笑顔で、手を振っておられる。

「万歳!万歳!」・・・

それは天皇が万年までも永く栄えることを願う言葉。

自分のためにする格好ではない。

≪注) 万歳は手のひらを前に向けて挙げてはならない。

降参になってしまうからだ、両の手を向き合うように挙げねばならない。

一般参賀は10分くらいで終了して、ぞろぞろと混雑した道を歩いていく≫

「ある意味一番縁起のいい新年を迎えられた」

と、ほとんどの人は満足気な表情・顔で帰途につく。

ことしはいいぞ大盃をぐっとほす  岸本水府

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世の中を知らぬ証拠に腹を立て  山本五十六

『寸鉄釘を刺す底の痛烈な時代風刺は、短詩形の川柳が最も勝っている』  西田当百

「こんなこともあった、あんなこともあった」・・・

2010年の世界のニュースと風刺の効いた時事川柳をお楽しみください。

一月 

☆ 1月2日、カリブ海の島国ハイチで、マグニチュード7・0の地震が発生。

  普天間に止まったままの鳩時計        市村康郎

  沖縄の空を旋回するばかり           谷垣郁郎

  纒向で探す卑弥呼の赤い沓           井上一筒

  ほんとうに便利阪神なんば線          立蔵信子

  トラストミー信じたオバマが馬鹿なのよ     庵前久男

  マニフェスト消えるインキで刷っていた     楠本晃朗

  年金機構看板変えただけのこと         井丸昌紀

  ドバイショック投資マネーを吸った砂      上野楽生

  正月や国旗はどこへいったやら         森 廣子

  平成の世にびっくりの遣唐使           久米穂酒

  検査入院して政治家を休みます         森中惠美子

  羽根ついて宇宙にもきたお正月         小山紀乃

  カーレーサーも脱輪してる富士登山       谷垣郁郎

  千円をフルに活用した帰省            中田たつお

  坂の上の雲から降りてきた龍馬         奥山晴生

  赤星の盗塁神さまが奪う             泉水冴子

  道なき道郁夫とラクダ砂嵐            柴本ばっは

二月

☆ 2月12日 - 28日 - バンクーバーオリンピック(冬季)開催。
  
    元秘書が三人寄って防波堤           吉田わたる

   マニフェストで勝ってマニフェストで悩む    増田隆昭

  国民のみなさま俺も入るのか          井上じろう

   リコールでトヨタ神話が一つ消え        小林貞夫

  居酒屋で子ども手当を飲んでいる       脇 正夫

  紙切れに化けてしまったJALの株       矢次睦枝

  品格の二字に横綱押し出され         三宅未知子

  理事会へ風穴開けた貴乃花           一階八斗醁

  デジタルがバンクーバーを弾ませる      松山和代

  アニハセヨ言葉はひとつ国ふたつ       原 絵里以

  鶴瓶の「おとうと」よりも小百合さん      上原昭彦

  ガッツポーズして横綱が去る土俵        矢野春水

  レンタンの好きな女へとる車間          萩原三四郎

  豪雨禍のああマチュピチュが遠ざかる     浜田さつき

  エコポイント家電メーカー蘇る           北川ヤギエ

  大たこの足が市有地占拠する           小栗和歌子

  冬の海エチゼンクラゲだけ捕れた         井上一筒

三月

☆ 3月26日-黄海の韓国・白翎島沖で、演習中の韓国海軍哨戒艦が沈没。

  遅刻三兄弟舛添が叱る             正信寺尚邦

  算数で裏金つくり北教組             深川健治

  チリ津波遠い国など無い地球          萩原三四郎

  こする意味わからず見てたカーリング     永渕順一

  金ゼロの五輪やっぱり淋しいな         一階八斗醁

  キム・ヨナの金は掛け値のないトップ     中田たつお

  君が代が鳴らずに終わるバンクーバー    市村康郎

  学習院やんちゃ坊主がてこずらせ       佐原 肇

  皇族も人の子になる不登校           井上じろう

  今頃に内定白紙殺生な             川原章久

  ひたむきのちからみなぎる阿修羅像      吉川俊一

  蟹工船いまも昔も弱き者            小林貞夫

  ユニクロのパンツが物干し場で威張る     新家完司

  食いたい奴は黒マグロになればよい     壷内半酔

  撮り鉄ファン命大事になさいませ       北川ヤギエ

  啓蟄に行きつ戻りつ虫の穴          川原章久

  森伊蔵ウン万円というバブル         大西將文

四月

☆ 4月14日-アイスランド南部の氷河の火山が噴火。
   4月20日-米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾の深海油田で原油流出。

     新党に与謝野馨のみだれ髪         ふじのひろし

  地下鉄逆走政治は逆走ゆるされぬ     吉川俊一

  国会を突くと転げ出るコント          菱木 誠

  触れねばならぬ触れてはならぬ消費税   前田咲ニ

  普天間へハトの白日夢がつづく        たむらあきこ

  名古屋から議員半減狼煙上げ        糟谷尚遊

  脱藩はしたけどあての無い愚弟       庵前久男

  派遣切りワラ人形が売れている       正信寺尚邦

  牛丼の競争牛も疲れ果て           小栗和歌子

  平城の栄華が浮かぶ遷都祭         吉田わたる

  十五年経てもオウムの声がする       田岡 広

  島んちゅが力合わせて優勝旗        山田昭九朗

  魁皇に在位百場所総理杯           石田定雄

  才能が満ちあふれてるたけし殿       中野 稔

  シャボン玉持参でママは飛び立った    岩田明子

  電子書籍本棚はもう不用品         片山加代

  青春の夜行列車も消えて行く        森 廣子

五月

5月1日-上海万博開催。

   上海の万博言わばパクリ博           増田隆昭

    鴨緑江を渡るまっ黒い列車            前田咲ニ

    中国へ豪華列車で行く無心         楠本晃朗

  宇宙人面した鳩が苦苦と啼く        篠原昌之

  鉄人も人の子大記録をとめる         松田幸大

  ギリシャの赤字神殿神話も泣いている     井上じろう

  電源はすぐ切りましょうピンマイク         嶋澤喜八郎

  客を呼ぶ曲もコピーのお国柄            山田昭九朗

  こいのぼりと大阪維新に風が吹く         田口和代

  虐待死つづくこどもの日を待たず          小山紀乃

  老いも若きも訳もなく直ぐキレる        辻  葉

  水了軒好きやったのにこけはった       清水久美子

  北海道へ行った桜と一個の蟹缶         田中博造
   
  殿堂へ届くアニキのユニフォーム          杉谷和雄

  昨日は真夏今日は真冬と忙しい         山口ろっぱ

  高価落札ピカソも恋をしたんだな         内藤光枝

  これからのジュゴン遊び場高架下        浅野 一

六月

☆ 6月2日 - 日本の総理大臣鳩山由紀夫総理/小沢一郎民主党幹事長が同時辞任。

  6月8日 - 日本で菅直人が第94代内閣総理大臣に就任。

  代表選樽床さんて誰だんねん          井丸昌紀

  カイワレのようにオザワを食えますか      竹永広義

  総理の首に接着剤が欲しい           岩田多佳子

    福島を斬った刀で腹を切り           中島弘風

  友愛に道連れされて去る舞台         両澤行兵衛

  お遍路のご利益らしい総理の座       小栗和歌子

  脱小沢なんて孫まで知っていた        谷垣郁郎

  とてもやさしい人だったそれだけだった  片山加代

  墓場でヌード芸術は難しい          大森純子

  恐ろしい二歳でタバコ吸わす国        市村康郎

  たまり席で親分衆がVサイン         河津寅次郎

  魁皇は偉い我慢の1000勝         上田理一

  機密費をもらった記者が出世する       久保田半蔵門

  ミサイルのほかに魚雷もございます      前田咲ニ

  干拓の論議を嗤うむつごろう          杉谷和雄

  咲いた咲いた桜が咲いた職はない       吉川 卓

  円生の名跡粋に納め兼ね             萩原三四郎

七月
  
☆ 7月21日-世界の気温 史上2番目の暑さを記録。

  発火財さげて総理は沖縄へ            佐波正春

  削減と言うならまずは助成金         岩佐ダン吉

  さあ選挙どの別っぴんに入れようか      辻  葉

  黄砂ノー買い物客はいらっしゃい        嶋澤喜八郎

  にんげんに生れたかったと牛と豚      武友六歩

  はやぶさのカプセル耳かきでほじる      井上一筒

  ゆうパックペリカン便に嫌われる        本多智彦

  W杯ルールも知らず徹夜する          井丸昌紀

  ブブゼラが列島駆ける夏の夜          庵前久男

  ドイツ軍タコの暗示に引っかかり       日月英昭  

  愛子さまをさびしがらせる琴光喜        前田咲二

  角界の野球賭博は根が深い           松山和代

  大鵬の名前汚した娘婿              北川ヤギエ

  床山は髷だけ結えば良いものを         庵前久男

  一面でオグリキャップの死を伝え        油谷克己

  泣き明かしましたパク・ヨンハの自殺    一階八斗醁
 
  梅雨までも不真面目になってきたねえ   壷内半酔

八月

☆ 8月5日-チリ・サンホセ鉱山で落盤事故。

  地下七百メートル僕なら気が狂う        新家完司

  アジェンダで票を集めたみんなの党      橋本 康

  軽井沢へ避暑に来ました金賢姫        北川ヤギエ

  実話ですスパイ交換映画並み         徳島一郎

  死んでても死んだと言えぬ訳がある      中野晶平

  親の死を隠し受給の太い奴           浅野 一

  住民票だけで生きている長寿国        杉谷和雄

  温暖化札幌が那覇超えました         前田紀雄

  熱帯夜続きで地球不眠症           碓氷祥昭

  自己中の果ての子殺し親殺し         嶋澤喜八郎

  この国の横綱ですと泣かせるね        山田昭九朗

  二〇〇万円値がつくチャーチルの入れ歯 市村康郎

  パウルくん連れて行きたいラスベガス    了味茶助

  ゲリラ豪雨は地球の涙だろう          菱木 誠

  アナログがいじめに遭って泣いている    但見石花菜

  3Dのメガネ無しでもメタボ腹           吉川弘泰

九月

☆ 9月8日-北朝鮮で、金正恩氏後継に。

  金一家皆栄養が足りすぎる          油谷克己

  悪党の顔で代表選に出る            杉本克子

  続投か交代か直接選べない           山本早苗

  ハマコーの仮面すっかり剥がされる       田岡 弘

  暑い熱い円高株安熱帯夜           柿原昭一

  トロイカって馬と鹿でひくソリですか     酒井かがり

  若乃花ハンサムでした好きでした      水田トンボ

  関西電気保安協会から日本相撲協会へ派遣 くんじろう

  中国が足元を見るレアアース        片岡加代

  刑場の床にしみてる「生きたいな」      嶋澤喜八郎

  秋を探しにデパートをひとめぐり       杉本克子

  焼き鳥になって雀が落ちてくる        谷垣郁郎

  あの世まで昇る中年登山隊         新家完司

  ビール会社だけは猛暑に感謝する       中村牛延

  美女だって化粧直しは二度三度       靏田寿子

  新幹線ドクターイエロー西へ伸び      山本憲太郎

  恐縮ですレポーター生命終わります    水田トンボ

十月

☆ 10月8日、中国民主活動家にノーベル平和賞。

  粛々と領土侵犯なすがまま         植田斗酒

  検察に検察が要る法治国          妹尾昌美

  潮時だよチリンと小沢の首へ鈴       山口ろっぱ

  当て逃げを説明できぬ法治国        山田昭九朗

  廊下にて済ます国盗り物語          中野六助

  味噌あじがする河村市長の名古屋弁  田中博造

  どうやって貯める株安ゼロ金利        北川ヤギエ

  サラ金もティッシュの重さから崩れ      中村牛延

  万能細胞叡智が神の戸を叩く        萩原三四郎

  臓器摘出いのちをいのちに差し上げる  たむらあきこ

  断髪式未練残して土俵キス         前田紀雄

  いてまえの莫山さんがいてもうた      嶋澤喜八郎

  池内淳子の和服を偲ぶ秋である    本多洋子

  ノルウェーの森で見つけたビートルズ  赤松ますみ

     就活のスーツ婚活に着替え        みぎわはな

  ラララよりレレレより儲かるゲゲゲ     酒井かがり

  パンダ死ぬ四千万を払わねば        松本あや子

  暖簾くぐる時価だと書いてある秋刀魚 岩佐ダン吉

十一月

☆ 11月13日-アウン・サン・スー・チーさん(ミャンマー)7年ぶりの解放。
   11月23日-北朝鮮が韓国を砲撃。

  もう一度日露戦争やりますか       脇 正夫
  
     円だけが高くて腰は低い国          大西將文

  舌鋒のチャイナに負ける柳腰       八木 勲

  中露から見れば美しい日本国       内田孝博

  真実は尖閣ビデオに語らせる       水田トンボ

  死刑回避にすでにふたりは戻らない  立蔵信子

  鉄格子ごしに受け取る平和賞        本郷浩二

  神の手を信じて待ったチリ奇蹟       吉川弘泰

  干支に熊あれば親しみ持てたのに    前川全澄

  裏庭を掘れば出そうなレアメタル   新家完司

  妖怪を育てて文化功労賞        吉田わたる

  正倉院二時間待ちに足がつり      靏田寿子

  小澤さんのウィーンフィルは名誉職  吉村雅文

  早慶戦日本シリーズぶっ飛ばし   幸松キサ

  豊作の松茸ヘェーそうですか    杉本克子

  闘将がまた仙台を熱くする      碓氷祥昭

  占い師パウルは骨になりました   了味茶助

  ゆるきゃらと共にふんばる町興し  田口和代

十二月

☆ 11月29日-内部告発サイト「ウィキリークス」が米国務省公電を公開、機密情報流出。

  ウィキリークスひとの口には鍵は無い  みぎわはな

  極貧の国だが武器はたんとある   正信寺尚邦

    暴力装置陸海空に配備する     中島弘風

  あかつきが只今金星を通過     井上一筒

  氷河発見火星じゃなくて日本です  河津寅次郎

  日露戦争の頃のパワーが今ほしい  新家完司

  たばこ値上げ刻み煙草に火が付いた 井上じろう

  家族まで出席できぬ平和賞        立蔵信子

  鬱の字が常用となる国に住む      ふじのひろし

  不況やなんてどこどす祇園事始め   柴本ばっは

  ハンカチも仲間も大事にするエース  本多洋子

  龍馬より弥太郎目立つ終幕だ     本田智彦

  独り居の献体希望ふえている      たむらあきこ

   成田屋の跡目が酒につんのめる    笹倉良一

  米寿の老いも犬のきな子を見習おう 三宅未知子

  年末にトイレ磨くと言う娘        八木 勲

                                                                               「記載川柳は、『川柳瓦版』より」

 『時事吟には、一種の才が必要である。

  作例と首っ引きの、彼方の五字と、此方の七字を継ぎ合わす連中には、難しかろう。

  尚ほ、柳会の私事を素っ破抜いたり、陰口を叩いて喜んでいるなどは、

  愚にもつかぬ楽屋落ちで、時事吟と称すべきものではない』  西田当百

「上記川柳の参考に、日本の十大ニュースもどうぞ」

4月20日
 宮崎で口蹄疫が発生。(9位)

6月2日
 鳩山首相退陣、後継に菅副総理。(5位)

6月14日
 小惑星探査機・はやぶさ帰還。(6位)

6月26日
 サッカーW杯で日本は決勝トーナメントに進出。(10位)
    
7月12日
 参院選で民主大敗。(捻じれ国会へ)(7位)

7月4日(6月~クローズアップ)
 野球賭博に関与で琴光善ら解雇。(8位)

9月2日(6月~)
 113年間で最も暑い夏と、気象庁が発表。(4位)

9月7日
 尖閣諸島沖で中国漁船が保安巡視船と衝突、保安官がビデオ流出。(1位)

9月23日
 大阪地検特捜部検事を逮捕。(3位)
 
10月6日
ノーベル化学賞を鈴木章・根岸英一(2位)

ゼロ番ホーム月の兎が待ってます  山口ろっぱ

2011年が皆様にとって、いい年でありますように。

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人の手も杖も死ぬ日のためにある  森中惠美子

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閉塞作戦で戦死した日本兵の棺を、エスコートするロシア軍の水兵の一隊

「広瀬死す」

広瀬武夫は、慶応4年生まれの帝国海軍軍人。

豊後竹田(大分県)の人である。

海軍兵学校に通いながら、講道館で柔道も習った。

日露戦争の劈頭(へきとう)、旅順港を「閉塞」するため、

湾口に閉塞船を沈める作戦に、従事していたところ、

ロシア軍に発見され、撤退しようとしたが、

部下の杉野孫七上等兵曹がいない。

広瀬は閉塞船の福井丸に戻り、三度も船内を探したが発見できず、

カッターで母船に戻る途中で、ロシア軍の砲撃によって戦死した。

1904年3月27日、享年36歳であった。

友の訃を聞いて沈黙するばかり  堀尾すみゑ

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  広瀬ほか死亡報告書

それをもって「軍神」とたたえられ、「文部省唱歌・広瀬中佐」が作られた。

作詞から、具にその時の状況が浮かぶ。

① とどろくつつ音  飛び来る弾丸    荒波あらふ  デッキの上に
  
   闇を貫く中佐の叫び           「杉野はいづこ、杉野は居ずや」

② 船内くまなく  たづぬる三たび    呼べど答えず  さがせど見えず
   
   船はしだいに  波間に沈み          敵弾いよいよ あたりにしげし

③ 今はとボートに 移れる中佐            飛び来る弾丸に たちまち失せて

      旅順港外 うらみぞ深き                軍神広瀬と その名残れど

                                         
 (作詞作曲不詳)
思い出を削ってごらん歌になる  立蔵信子

「軍神・広瀬武夫の戦死の状況については、様々の本に描かれている」

『そのとき、広瀬が消えた。

 巨砲の砲弾が飛びぬけたとき、広瀬ごともって行ってしまったらしい。

 その隣に座って舵をとっていた飯牟礼ですら、気づかなかったほどであった』

                                司馬遼太郎ー『坂の上の雲』
 
『一巨弾中佐の頭部を撃ち、中佐の体は、一片の肉魂を艇内に残して、

 海中に墜落したるものなり』                  
                                 江藤淳
ー『海は甦える』

『その瞬間、『うーん』という声か呻きか、にぶいさけびが聞えたので、ふと顔を上げると、

 少佐の首が見えず、真っ赤な血がもくもくと首から溢れ出ると見るうちに、

 その胴体がころりと海中に落ち込んでしまった』   生出寿ー『知将・秋山真之』

笛ですかいいえ心の風の音  くんじろう

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ロシア船の甲板に横たわる広瀬中佐の遺体

軍外套を着た遺体は、ほとんど損傷もない状態で収容された。

この写真をよく見ると、不鮮明ではあるが、五体がちゃんと残っているように見える。

ということは、砲弾によって身体が四散したのではなく、

やはり頭部への銃弾か砲弾が、致命傷になったようである。

びしょ濡れになった名前のご冥福  井上しのぶ

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海軍葬ー軍の栄誉礼をもって行われた日本兵の葬儀

ところで、海中に消えた広瀬の、その後については、どの本も触れていない。

実は広瀬武夫の遺体は、

ロシア軍によって発見され、ロシア軍によって葬られた。

広瀬の遺体が敵軍の将校ながら、

名誉の戦死として、丁重に葬られていた事実に驚く。

そして、旅順のロシア海軍墓地に葬られた。

切り裂いた穴から青空が湧いた  井上一筒

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 右の二人がアリアズナの兄

ペテルブルグ時代に親交のあったゴヴァレフスキー子爵の2人の子息、

アリアズナの兄が、ロシア船の船上で遺体の確認に立会い、

広瀬の遺体であることを証明した。

3046200f.jpeg 

『葬儀の目撃者の証言―』

「旅順港閉塞作戦で戦死した日本人たちの葬儀が行われた。

 それは、完璧な軍隊の栄誉礼をもって行われた。

 それぞれの棺は、日本の軍旗で覆われ、

 水兵の一隊は、吹奏される葬送曲と合唱の中、

 多数の参会者によって行われた葬儀のあいだ、

 厳粛に名誉ある軍人の、エスコートを続けた」

海岸の位置が地図とはずれている  杉本克子

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  「アリアズナ」

アリアズナは、将来敵になるかもしれない異国の軍人・広瀬武夫に、

一途な思いを抱いた。

アリアズナは兄・セルゲイから、

「お前たちが、何かよからぬことをしたら、あの日本人を殴り倒すからな」

と釘をさされたこともある、・・・が、

彼女は負けず嫌いな性格だったので、兄の言いつけと反対の行動に出た。

広瀬が病に臥せっているとき単身見舞いに行ったのは、

その例だが、

”これは貴族令嬢として上流社会の常識から外れた行為だった” グザーノフ記)

大人ですが約束やぶることがある  安土里恵

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懐中時計(ドラマ使用小道具)

遺体を納棺する前に、広瀬の外套のポケットから、

アリアズナが贈ったパーヴェル・ブーレの懐中時計も発見された。

≪現在その時計の行方は不明≫

 置き去りにされて真っ白い時間  小山紀乃

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『明治ニュース辞典』―(1904年4月11日付毎日新聞)

”死体を収容しロシア軍が葬儀を営む”

4月1日、旅順に於いて日本海軍将校のために葬儀を営めり。

当時将校及び水夫、これを見送り、かつ楽隊を附せり。

この将校の死体は、福井丸の船首なる海上に浮かびしものにて、

頭上に砲丸にての大疵あり、その深さ一寸、外套の袖に金線あり、

頚には革紐にて望遠鏡をかけ、ポケットには短剣を差し居れり。

電報によれば、露人は該死体の広瀬中佐たる事は、

知らずして、葬儀を営みたるものならんも、

その広瀬中佐たる事は、当時船上に留めたる肉片が、

電報に伝へる頭部の深さ一寸の大疵と、符号する事、

並びに、外套の袖に金筋の入り居りし事だけにても、

疑ひなきがごとし。

凛として書は風雪を語り継ぐ  山本芳男

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別れがくることを予感していた広瀬とアリアズナ

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黄昏のなか二人のふる里を語り合う


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広瀬の死に祈るアリアズナ

水に映っている神様の居場所  岩田多佳子         

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