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川柳的逍遥 人の世の一家言


葛飾北斎画 富嶽三十六景 凱風快晴

   
          
                        令和六年元旦




江戸の正月



元日の朝はまばらに夜が明ける  江戸川柳


約束をしているわけではないが、今年も正月はやってきた。
だがしかし、何はともあれ、お正月、まずはおめでたい。
男の子は凧揚げ、駒まわし。
女の子は追い羽根で裏長屋にも一陽来復。
昨日の鬼ー借金取りが、おめでとうございますと礼に来る。


年礼をうけて今のは誰だった  江戸川柳


魚河岸の初売りが二日、職人もこの日を仕事始めにした。
昔の働く人は正月は一日だけしか休まない。
勤勉なものである。
初荷、初夢、武士の乗馬初めと初ずくめの二日うちで、
一番威勢がいいのが町火消の出初め、各町の鳶頭が皮羽織、
腹掛け、半纏も新しく、いろは四十八組ずらりと揃う華やかさ、
男を競うはしご乗り。
鳥追い、獅子舞い、猿回し、漫才とお江戸の春の賑やかさ。
ついうかうかと七草が来て、ようやく門松を取り払う。


おぶさった奴が養う猿回し   江戸川柳


十一日が蔵びらき、小正月が十五日。
十六日は丁稚小僧の藪入りの日。
お正月気分は、ここらあたりでおしまい。
あとはまた、稼ぐに追いつく貧乏なしと、それぞれが家業に精を出す
日常になある。
門松は、冥土の旅の一里塚というが、こんな正月をあと何日繰り返す
のかと、ひょいと考えて、貧乏暮らしが嫌になる夜ふけ。
火の用心さっさりましょうー。


生酔は御慶(ぎょけい)にふしをつけて言い  江戸川柳

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葛飾北斎画 うさぎ




                     
                  
                      
                      令和五年元旦




『江戸小咄』 


≪ 笑い締め     弁天さま ≫
年の暮れになって金に詰まった男が、上野の弁天さまへ7日7晩おこも
りをし「どうぞお金を恵んでください」と、一心に拝んだ。
そして、7晩目の明け方、弁天さまが内陣の御簾をあけ、
白い紙を一枚もって出てこられた。
男はいよいよ大願成就と、胸をおどらせ
「もし弁天さま、わたしはここにおります」
と裾を引けば、弁天さまは眉をひそめて、
「まあ、いやらしい、あたし、はばかりへ行くのよ!」



≪  笑い初め  書初め ≫
不器用な息子が書初めに≪松竹≫と書き、
それを大いに自慢して、方々に見せてまわったが、誰も褒めない。
そこで餅屋は餅屋だと思って、年始に来た出入りの植木屋に見せると、
<松>の字をひどくほめた。 それを聞いた父親は、
「だが、竹のほうがよくできていると思うのだが」 
と言えば、植木屋は、
「いや、そうじゃない。松もこのくらいひねっこびて、ゆがんでくると、
 百両がものはありますからね」


 
      
       




【北斎画】一重、二重、三重と三つの『和(輪)が重なるように描いた、
縁起のよいうさぎ。
皆様にとって令和五年も良い年でありますように。

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