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川柳的逍遥 人の世の一家言
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三歩ほど後れる美しい誤解  山本早苗

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  淀君錦絵

≪明治時代、坪内逍遥の戯曲・「桐一葉」が、今日一般に思われている、

淀君の、強く雄雄しいイメージおを作り上げている≫

「淀殿悪女説」

淀は、天下人を産んだ女性として、

人々の注目を一身に浴びたが、

その一方でさまざまな噂が囁かれた。

その多くは、

豊臣家を滅亡に至らしめた「悪女」としてのイメージが強い。

その最たるものは、『淀殿淫乱説』である。

針金をぐいと曲げてる嫉妬心  山本昌乃

どれも、江戸時代の書物に記されたもので、

「大阪夏の陣」で、自らの切腹と引き換えに、

淀・秀頼の助命を懇願した大野治長や、

歌舞伎役者・名古屋山三郎との密通が、

まるで現代の週刊誌を見るかのように、

面白おかしく伝えられている。

凶暴な言葉ひしめく裏サイト  浜田さつき

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 上田秋成

『雨月物語』の著者・上田秋成は、

文化6年(1809)随筆・「胆大小心録(たんだいしょうしんろく)」で、

”よどの君もかほよきのみならず 色好むさがありて” 

と記し、

色に乱れて、国を滅ぼした典型という、

とりわけ、女性にとっては屈辱的な姿を伝えている。

スキマの風はおおよそをなぞる  山口ろっぱ

だが、「大坂の夏の陣」では、自ら甲冑をつけて、

「男勝りの活躍をしていた」

と記録する書物もあり、

淀という人物は、

虚実とりまぜて、実にさまざまに語られてきた。

美しい絵と被害者にすぐなれる  森中惠美子

こうした俗説の数々は、

秀吉の寵愛を一身に集めていた嫉妬や、

憎悪から生まれたのか。

多くの側室を抑え、正室・お祢に次ぐ地位を、

確固たるものにした淀は、

幾多の嫉妬や憎悪を生み、

「悪女説」を増幅させていったのだろう。

悪いのは私美しすぎるから  武内美佐子

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「淀殿」「淀君」と呼ぶのも、

路傍にたつ娼婦を指す、「辻君」になぞらえてのことだ。

しかし、「悪女」にしろ、

豊臣の存続を一身に願った、「聖母」にしろ、

その実像は、いまや推測するしかないが、

織田・豊臣という、天下人の系譜に君臨する淀は、

”戦国時代のスーパーヒロインであることは間違いない。”

疑問符が前頭葉に姦しい  喜多川やとみ

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