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川柳的逍遥 人の世の一家言
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なかんずくスプーン一杯の肝っ玉  山口ろっぱ

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         「埋へ工夫」

『 口は禍いの門。旅順口という口は禍いの門口だ。

   この口さえ、こっぴどいめに締め付けてしまえば

   すっきり息の根を止める艦(勘)定だから、

   港口を塞いで、やつらの鼻毛を抜いてやろうじゃないか。

   おっと渡りに船、ここに適当な船がある。

   戦(善)は急げど、ヅドンヅドン、

   轟沈轟沈(ゴウチンゴウチン)

   と打ち込んだからたまらない。

   とても世間に面出しができなくなった。

   するとこれを見ていた露艦が「ああ口惜しい」 』

退屈をさせないように雨が降る  下谷憲子

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   「強兵の戦任力」 

『 ロシアの侵攻におびえる中国人と朝鮮人。

二人に対して日本兵士は、

「何をいってるんだ、

  ロシアの弱武士が二千や三千いたからって、

  ちびりちびりのなし崩しじゃあ、手数ばかりかかって、

  かえって面倒くさいから、

  なるたけ沢山寄り集まっているところを、

 

  いっしょくたに ズドンとやっつけるつもり・・・」

  と、ロシア兵が集まっている九連城と鳳凰城を、

  多年鍛え上げた銃剣で一度に吊るし上げた。

吸って吸って吐いた圧搾の流儀  酒井かがり

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   「手酷い潰し形」

『 ロシアは国が広いの、人間が大きいのといいしも、

   いざ腕比べとなってみると、

   日本は世界のうちでも屈指の強国。

   これをたとえてみれば、大きな手を広げて、

   上のほうから一掴みに握り潰すようなものだ。

   まず鴨緑江のほうから、九連城、鳳凰城、

   あるいは、遼東半島のほうで金州、南山、南関嶺。

   しかし、この勢いで一掴みしたら、

   ロシアの不恰好さはどんなになるだろう。

   そりゃしれたこと。

   残らずいびつな形になるのさ。

手の蛍握りつぶせば死ぬけれど   時実新子

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