- 2012/09/20
- Category : ポエム&川柳
裏目に出た配慮
義朝の刃
「裏目に出た配慮」
清盛が太政大臣となり、平氏一門が繁栄を極める最中、
明暗を分けるように没落した一族がいた。
源氏である。
平治の乱後、河内源氏の棟梁・義朝は、
東国への撤退中に裏切りにあい横死。
次男・朝長もその道中に死んだ。
悪源太の異名を持つ期待の長男・義平は、
清盛暗殺に失敗して処刑されてしまう。
直線の右と左に生と死と 徳山泰子
源氏は壊滅に等しい打撃を受けたが、
しかし、血筋がすべて絶えたわけではなかった。
平治の乱に出陣した義朝の三男・頼朝は、
撤退中に捕らえられて清盛の前に引き立てられた。
その時、清盛の継母・池禅尼が、
「亡くなった家盛と容貌が似ている」
と命乞いをした。
逞しく育つ若木を見届ける 杉谷佳子
周囲は頼朝の処刑を、当然と見なしていたが、
驚くべきことに、清盛は池禅尼の乞いを容れ、
頼朝の処分を伊豆配流にとどめたのである。
助けられたのは、頼朝だけではなかった。
義朝が愛妾・常盤御前との間に授かった、
今若、乙若、牛若(後の義経)の三人も、
仏門に入ることを条件に、清盛から助命されたのである。
≪なお、清盛は常盤御前が自身の愛妾になることを条件に、
三人を助命したと巷間言われるが、忠実かどうかは分らない≫
オリオン座今日はあなたに預けとく 森田律子
「悪人」のレッテルを貼られてきた清盛であるが、
決して冷血な人物ではなく、
むしろ寛大であり、
敵対勢力を徹底的に叩き潰すようなことはしなかった。
それを示すかのように、
その後も源氏に配慮を怠らず、
平治の乱でともに戦った摂津源氏・源頼政を、
三位に推挙している。
ドクダミのじっと耐えている白さ 赤松ますみ
その際、
「源平はわが国の固め。
平氏は朝恩が一族にいきわたっているが、
源氏の勇士は逆賊(藤原信頼)に与して罰をうけており、
その中で頼政のみが、勇名を轟かせている。
紫綬の恩を授けてほしい」
と奏上しており、「源氏の勇士」という言葉からは、
源氏への敬意すら感じられる。
≪そこには源平の無用な戦を避けようとする意図が汲み取れる≫
脱皮した蝉の抜け殻にも拍手 新家完司
ところが、清盛の配慮は裏目に出る。
治承3年(1179)、清盛が後白河院の院政を停止すると、
頼政は清盛に徐々に反発を抱く。
さらに翌4年(1180)、
清盛の後押しで安徳天皇が即位すると、
頼政はそれによって、
皇位が絶望となった以仁王(後白河院の第三子)とともに
打倒平氏の計画を立て始めた。
反省をすぐに忘れる猫の鼻 中村登美子
かくして同年4月、以仁王は頼政の進言を受け、
全国に雌伏する源氏に「打倒平氏」の令旨を発する。
清盛はこの動きを察知して、
二人の挙兵を短時間で鎮圧するが、
発せられた令旨によって、
反乱は、燎原の火の如く全国に広がることとなる。
そして、平家追討の中心となったのが、頼朝と義経であった。
皮肉な事に、打倒平氏の狼煙を挙げ、
それを成したのは、いずれも、
清盛が救いの手を差し伸べた人物だったのである。
一年に一度石を拾って恐くなる 蟹口和枝
PR




