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川柳的逍遥 人の世の一家言
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まるい会話にふぐの身がすき透る  森中惠美子

「龍馬と大久保利通」

龍馬が薩摩を訪れ、大久保利通「薩長同盟」の舞台設定に、

理解を示そうとしたときのこと。

情報の収集能力は、超一流と言われていた大久保と龍馬が出会った。

大久保は、龍馬の情報分析の能力を観察する。

そして会話に”隠語暗号”を交えて、一工夫を凝らした。

昨日から留守なんですよ記憶力  山口ろっぱ

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「坂本どん、ひとつ質問したいが、どげんなもんじゃろう」

「よかろう」

「そうか、よかごわすか。

 西郷は、円十郎の親分だが、あいつが東方で”世間知らずの盗賊” と、

 いわれよるのが気にかかる。

 江の本は、備前屋に藩の趨勢を託しておるが、

 しかるに百度公は、

 西方の一藩になろうかというほどに、落ちぶれもした。

 次なる戦は、江の本に勝たせ、日ノ本に夜明けを迎えさせるべきだろう」

ひと雨で消せる主張を聞かされる  墨作二郎

龍馬も情報集団でもある海援隊を、結成した隊長である。

「のうし、そげんこつワシにわからんとでも言うちょるのか。

 おくびっちゃあ、いかんぜよ」

大久保の人を食ったような質問が、少々気に食わなかった。

しかし、そこはぐっとこらえた。

態度には見せぬが腹は煮えている  高鼻陽子         

大久保の言う、「備前屋」 とは何を意味するのか。

幕末の頃には、仲間内で隠語のような、逆説的でもある暗号などを使い、

それを訳し、置きかえることによって、必要な情報を伝達しようとしていた。

大久保の言葉は、まさに龍馬の情報能力を試すためであった。

そして江の本」とは、長州を意味していた。

これがキーワードである。

龍馬にこれくらいの隠語は、頭からピンとはじけでる。

すると後の言葉も、意味が解けてくるのであった。

つまり、”長州(江の本)に幕府軍を勝たせたい”

との気持ちが、大久保に見えてくるのだ。

病状は触れず笑顔を置いてくる  正信寺尚邦

「日ノ本」すなわち、日本に夜明けをもたらせるのは、「江の本」(長州)である。

「百度公」と呼ばれていた幕府は、いまや江戸「西方」の一藩に、なり下がっている。

「円十郎」の薩摩が、京都「東方」で禁門の変に追われた長州に、

恨みを買うのはわかっているが、

「円十郎は、江の本と結託するのが、わが国を救う唯一の道だとわかった」

と言っているのである。

金魚パクパク言いたいことがあるらしい 杉山ひさゆき

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対して、龍馬も暗号を交えた会話で切り返す。

松野他三郎が大老の手にかかってからというもの、江の本は火の玉になっちょる。

 東洋一狂は、怒り騎兵の小隊をおこしたぜよ」

松野他三郎とは、吉田松陰、東洋一狂とは、高杉晋作を指している。

龍馬たち幕末の志士たちの会話とは、こんなものであった。

また、これらの”隠語暗号”が何を意味しているのか、

それを解釈できなければ、志士として失格であった。

大久保も、龍馬の言う偽名が誰かを、ピンと理解できたことだろう。

マツタケがスウェーデン語でご挨拶  井上一筒       

動乱の幕末で、志士たちは自らの命を守るため、

またその行動を察せられないために、隠語とか偽名を頻繁に使った。

坂本龍馬 → 「大谷梅太郎」

≪大谷は土佐の地名。梅は桜と違ってしぶとく咲き誇ることから志士たちに人気があった≫

吉田松陰 → 「松野他三郎」「瓜中万二」「山陰老樵」

≪松陰は、偽名を雅号のように使った≫

高杉晋作 → 「谷梅乃進」「谷梅乃助」「谷梅太郎」-

  商人名・「赤間関隠人」「備前屋助次郎」 西行を真似僧侶「東行」とも名乗っている。 

≪息子の名に、梅の字をつけるほど、高杉に、梅の字が多いのは、

  梅が大好きで、生家には樹齢200年の梅の古木があった≫

伊藤俊輔 → 「春山花輔」

井上聞多 → 「春山春輔」

≪隠語として使われた、日本60余州から抜粋≫

クロネコやユニクロクロが元気です  大海幸生

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