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川柳的逍遥 人の世の一家言
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カラスなぜ泣く母と歩いた道ばかり  森中惠美子

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    小谷城背景

落城はもはや時間の問題だった。

浅井長政は、お市と娘たちを、信長に引き渡すことに決めた。

長政は、を呼び、3人の娘を連れて城を出るよう命じた。

「そなたまで命を落とすことはない。信長も、実の妹と娘たちまで殺すことはなかろう」

このあたりは、長政と信長の相談のうえでの判断とも、

長政独自の判断とも言われ、

真相は、よくわかっていない。

≪しかし、いずれにせよ男の子については、命が助かる保証はないので、

 あらかじめ、城を出させていたことは、間違いない≫

落日よ思い出は皆無色なり  武内美佐子

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       市

城を出たお市と三姉妹は、信長に保護され、

信長の弟でお市の兄にあたる織田信包(のぶかね)に、

預けられることになった。

お市が信長の妹だったから、命を助けられたわけであるが、

当時、”離縁したときなど、娘は女親につけられる”という慣習もあり、

三姉妹がお市につけられたのも、その慣習に従ったという解釈もある。

≪しかし、男子はそうはいかない。

 男子の場合、成長すれば「親の仇」といって、敵対する可能性が高く、

 事前にその芽を摘んでしまっておこうという動きになるからだ≫

穏便な処置に異論は許されず  中島久光

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上野城址は現在公園になっている。

信包は信長より9歳年下で、信長の連枝衆(親族の家臣)としては、

信長の長男・信忠、次男・信雄(のぶかつ)につぐ、3番目の地位にあった。

当時の伊勢は、複数の武家が共存しており、

彼らを併合するのに、信長は苦労していた。

北伊勢、神戸家には、三男・信孝を、南伊勢・北畠家には、次男・信雄を、

それぞれ養子にさしだしたものの、それでもなお統合には至らず、

天正四年(1576)には、

信雄に命じて、北畠具教を暗殺、家を乗っ取っている。

そんな中で信包もまた、北伊勢の長野氏の名跡を継いでいた。

ポケットの底たくらみはかび臭い  墨作二郎

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現在も残っている(安濃)津城の堀と石垣

信包は、「伊勢上野城」「安濃津城(あのつ)」を拠点としており、

お市と三姉妹は、そのいずれかで

「本能寺の変」
(1582)までの10年間を過ごした。

信長は浅井・朝倉や足利幕府を倒したとはいえ、

依然周囲を強敵に包囲されており、

「和睦の持ち駒」として、お市たちを嫁がせる」

という選択肢もあった。

しかし実際には、この10年の間、

お市はもちろん、長女・茶々次女・初にも、縁談が持ち込まれたという

記録は残っていない。

「これはなぜか・・・?」

蓋をしておくウワサバナシの因子  山口ろっぱ    

お市は、落城時には27歳。

当時の年齢からすると、まだ再婚が可能であった。

長女・茶々は、6歳。

初はその一つ下。

お江は0歳。

彼女たちが、ここで暮した約10年近い日々と、

この時代の女性の初婚時期が、10代半ばであったことを考えると、

茶々とお初については、

すでにすでに適齢期であったといえるのだが・・・。

下駄のつもりを解っているブーツ  井上一筒

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戦国時代、同盟の人質として女性が差し出されるケースは多い。

歴史は男性が書き残すので、

つい、『か弱い女性が人身御供に』 と想像しがちであるが、

「実のところ、意外と本人の意思が、尊重されていた」

同盟の人質として、差し出した娘が自害でもしたら、

同盟なんぞ吹っ飛んでしまうからだ。

友愛を捻ると無理心中の仲  菱木 誠          

とはいえ、仮に縁談が持ち込まれるとしたら、

彼女たちの血縁の濃さから考えて、

信長の希望(あるいは命令)としか、考えられない。

だとすれば、彼女たちはあの信長さえ、手出しができないほどの、

「強固な意思を持っていた」と言えるだろう。

気が強いともいえるが・・・。

≪いずれにせよ、この時期のお市とお江たち三姉妹は、

 中央の政治から距離をとり、

 まるで世捨て人のごとく、ひっそりと穏やかに暮していたものと思われる≫

ものごころついた頃からほうれん草  山本早苗

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大河ドラマ『お江』-第二回・「父の仇」-あらすじ

落城する小谷城から逃れた市と茶々、初、そして江は、

信長の弟で、市の兄でもある織田信包(小林隆)のもと、

伊勢上野城で暮していた。

一方、天下統一に向け、着々と勢力を拡大する信長(豊川悦司)は、

天正7(1579)年、琵琶湖に程近い近江・安土の地に、

巨大な城・安土城の壮麗な天守を完成させ、

人々にその威風を示していた。

そんなある日、その信長から、

「城を見にこい」 

との誘いを受け、市(鈴木保奈美)江(上野樹里)たち三姉妹は、

安土を訪れる

江は、ずっと会いたいと思っていた伯父との対面が、

楽しみでならない。

深入りしそう女心をかきたてる  山本昌乃

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        茶々                  初

しかし、茶々(宮沢りえ)初(水川あさみ)の表情はさえなかった。

2人は、信長が父・長政の仇だと知っている。

一方、父が亡くなったとき、まだ赤子だった江は、

何も覚えておらず、

その後も、父の死にまつわる事情を知らされずに、育ってきたのだ。

絢爛豪華な城内を案内された後、いよいよ信長と対面した江。

だが、彼女はそのとき、

信長と市が、緊張感あふれるやりとりを交わす様子に驚く。

姉たちに信長は、

「さぞわしを恨んでおろうな」

と声をかける。

「自分の家族と信長との間にいったい何が・・・・」

と何か、江の胸中を横切るものがあった。

後れ毛に揺らぐ心は隠せない  上田 仁

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「ずっと、おわび申し上げとうございました。

 長政様を、ご切腹に至るまで、追いつめしことにございます!」

混乱する江に、

長政を切腹に追い込んだことを詫びる秀吉(岸谷五朗)の言葉が、

突き刺さる。

彼女はそのとき初めて、

父が信長の軍勢に攻められて、自刃したことを知ったのだ。

『余談』

≪さて、今回のドラマの見どころは、9歳時のお江が、登場する。

 9歳の江を演じるのは、ドラマの主役・上野樹里ー24歳。

 なんぼなんでも、9歳は、無理があるのではないか!?

 逆の意味で、楽しみでもあるか≫

桶のない寺の屋根から水たまり  森 廣子

これが9歳の上野樹里ですー。

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オニギリの梅が異変で芽を出した  樋口百合子

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