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川柳的逍遥 人の世の一家言
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目の前の事実を確かと受け止める  赤松ますみ

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尾張大野城址内の佐治神社に立つ佐治一成像

≪大野城主として、3代100年続いた佐治氏だったが、

  お江との結婚が災いとなり、4代目・一成の代で滅びることとなる≫

「お江と一成」

「長久手の戦い」において、どんな形にしろ家康の味方をした一成に、

秀吉は激怒しながらも、すぐには一成に対し、

具体的な行動を起こせなかった。

何しろ、「小牧・長久手・蟹江城」の戦いは、

秀吉にとり、負け戦だったからだ。

秀吉は、力の戦いは不利と知って、信雄との単独講和に持ち込む、

家康も信雄が和睦して、大義名分を失い、

振り上げた拳を納めるしかなかった。

じっとしていよう怒りが引くまでは  籠島恵子

その間、秀吉は公家に取り入り、藤原姓を賜ることに成功し、

天皇を補佐する関白の座を射止めた。

天下人になり、家康をも屈服させた秀吉は、

天正14年(1586)、

腹に据えかねていた一成を成敗する。

ろう梅の香り昨日までを消去  清水すみれ

まず、「茶々が大病を患っている」といって、を大坂城に呼び寄せたのだ。

江は、三日間大坂城に滞在し、四日目に帰る心づもりだった。

だが秀吉は、

「一成めは、われらが苦労の最中に、佐屋川で家康に船を貸しおった。

 そんな裏切り者に、そなたを嫁がせた予が間違えだった。

 大野へ帰ることは許さぬ、一成とは離縁するのだ」

といい放った。

雲形定規でつぎつぎ雲を描く  井上一筒

突然の秀吉の言葉に、江は呆然となった。

「なぜじゃ、江は、一成の妻でござる」

と詰め寄ったが、秀吉は取り合わない。

姉・茶々「ひどい」と訴えた。

だがあわなかった3年のうちに、茶々の心も変化していた。

「仕方がござらぬ。婿殿は、関白殿下を裏切ったのです」

と言って、江の味方にはなってくれなかった。

血圧は正常 なぜなぜなんだ  嶋澤喜八郎

茶々はまだ、側室にはなっていなかったが、

”豪華な生活”を享受して、

秀吉に理解を示しはじめていた。

この翌年、京極高次に嫁ぐ、次姉・だけが、

江に同情してくれた。

ここに江は、14歳で一成と引き裂かれた。

秀吉は、江を大坂城に留め置くと、

翌年、非情にも信雄に大野城を攻めるように命じた。

異議ありの舌に絡まるソルティドッグ  河村啓子

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『大河ドラマ「お江」-第14回・「離縁せよ」-みどころ』

いよいよ佐治一成(平岳大)江(上野樹里)との婚礼の日が来た。

江は前日に侍女から見せられた枕絵に、目を回してから調子がよくなかった。

そして、婚礼の最中、とうとう倒れてしまったのだ。

寝所でうなっている江に、

侍女から理由を聞いてやってきた一成が言う。

一成  「案ずるな、江。そなたの心がととのうまで、わしは待つ。

            わしらは夫婦になった。

      かようなる相手に、何事も、無理強いする気はない」

江は、その言葉に救われたような気がした。

そして、一成の嫁になって良かったと思った。

たっぷりと袂に溜めるごめんなさい  小西カツヱ

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だが、江の知らないところで、深刻な事態が進行しつつあった。

織田信雄・徳川の連合軍対羽柴軍の戦が、目の前に迫っていた。

勿論、一成も従兄の信雄(山崎裕太)の配下として、

戦場に向かうことになる。

そのことを知った江は悩む。

羽柴方には、二人の姉がいる。

「もし秀吉が負けたら姉たちはどうなるのか?」

それは、茶々(宮沢りえ)たちも同じだった。

嫁に行ったと同時に、

戦に巻き込まれてしまった江のことを、心配していたのだ。

二人は、いても立ってもおられず、茶々は、秀吉に戦をやめてもらうように、

そして初(水川あさみ)は、江に励ましの手紙を書いた。

それぞれの思いひとつの月を見る  十折一辺

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やがて戦が始まった。

いわゆる「小牧・長久手の戦い」である。

十万もの羽柴軍と、一万の織田・徳川連合軍の対戦は、

意外にも、数が多い羽柴軍の旗色が悪いまま、膠着状態が続いていた。

羽柴陣営は、起死回生にと別動隊を立て、

戦で守りが薄手となっている、家康の本拠地・三河を攻める計画を立てた。

指揮官は、秀吉の甥である羽柴秀次である。

だが、戦上手の家康(北大路欣也)は、そんな手には乗らなかった。

あっさりと撃退し、秀次軍はほぼ全滅してしまった。

図に乗って生きるとえらいことになる  谷口 義

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秀吉(岸谷吾朗)は、どうしたらこの状況から抜け出せるか考えた。

信雄と和議を結ぶ為、信雄へ黒田官兵衛を使者として送った。

官兵衛(柴俊夫)は、

「和議がなれば城攻めはただちに中止し、奪い取った城もすべて戻す」

という。

一成は、必死に止めたが和議は成立し、

家康は兵を引き、戦は終わりを告げた。

冬の月触れると指を切りますよ  笠原道子

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一成は、無事に尾張・大野城に戻ってきて、江との再会を果たした。

やっと夫婦で生活出来る。

江がそう思ったのも束の間、大坂城の初から書状が届いた。

実は、その頃、茶々と初は、秀吉の招きで、

大坂城に住むこととなっていたのだった。

書状によると、”茶々が危篤”だという。

江は、すぐ大坂城に向かったが、茶々はピンピンしていた。

うたがえば包丁の刃が上を向く  森中惠美子

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秀吉の策略だった。

  「では、私を呼び出すために、偽りを・・・?」

秀吉  「その通りにござります」

江  「なんじゃと?」

秀吉  「おお、調子が出て参りましたな。ところでどうです、この城は?」

  「こんなキンキラキンの城!品のかけらもありはせぬわ!」

秀吉  「おうおうおう、言ってくれまするなぁ。 それでこそお江様っ」

江は雪球を作って秀吉に投げつける。

危険水域で吐いた白いあぶく  桂 昌月

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秀吉は、その雪球をハッシと受け止め、

秀吉  「この城を出られても、帰る所はどこにもありませぬゆえ」

江  「どういうことじゃ?」

秀吉  「佐治一成とは離縁となってござる」

  「離縁・・・?」

秀吉  「すでに領地は召し上げ、大野城からも追放させました。

      あの者、こともあろうに国もとへ逃げ帰る家康を助けよりましての」

  「お味方を助けるのは当たり前じゃ!

    なぜそなたに、そのような勝手が許されるのじゃ?」

秀吉  「それはわしが、お江様の義父だからにございます」

江  「ち、ちち?」

ななめ後ろ私の場所をわきまえる  中岡千代美

秀吉  「左様。姫様は、わが羽柴家の養女にお迎え致しました。

            つまり江様は、羽柴の人間にござる。

     徳川に味方し、徳川のために怒って何となさいます?

     ・・・いや、何とする、江?」

激怒する江。

それを見ながら、秀吉は嬉しそうにおどけてみせる。

秀吉  「むははは、江じゃ江じゃ、江が戻ってきおったわ。

      わしは嬉しいぞ。   わーはっは! 江が戻って参ったぞーっ!」

そう言ってはしゃじ回る秀吉を、

江はただただ、睨みつけるばかりだった。

有りのままの庭に鬼門があるがまま  山本昌乃


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