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川柳的逍遥 人の世の一家言
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吹き溜り行きの最終便が来る  岡内知香



 出土した大阪城の瓦

大阪冬の陣の経過

慶長19年11月02日  家康大阪討伐を決め、諸大名に出陣を求める。
        24日  この頃、徳川方の軍勢が相次ぎ京に集結。
     12月15日  家康・秀忠大坂へ進軍
慶長20年01月03日  幸村隊 真田丸で徳川の軍勢を破る。
        15日   家康が一斉砲撃を命じる。
        18日   豊臣方と徳川方の和平交渉が妥結。

「和平交渉」

徳川家康が、豊臣家を滅ぼそうと決意したのは、慶長16年(1611)3月、

「二条城で19歳の豊臣秀頼に対面したとき」だと言われている。

聡明な青年に成長した秀頼を目にし徳川家の将来に危機感を持ったのだ。

このとき、家康は70歳、

老い先短い年寄りにとっては、自然な感情であった。

 こうした思いから家康は、まず豊臣の財力を弱めようと、

太閤殿下の霊を慰めるためにと、京の「大仏再建」を豊臣家に勧めた。

ところが、出来上がってみると、家康の思惑は大きく外れる。

秀吉がつくったものは、木造であったが、再建された大仏は、

燦然と黄金が輝く金銅製のもので、奈良の大仏をしのぐものであった。

これに人々は度肝を抜き、家康には豊臣の天下復活の狼煙のようにみえた。

落ち着いているのに階段踏み外す  篠原 久

ところが同時に完成した方広寺の「梵鐘」に問題が起こる。

長い鐘の銘文中の一節に、『国家安康・君臣豊楽』 とあり、

「国家安康」は、家康の名を分断するものと言いがかりをつけたのである。

これを家康は、本多正純を通じて、豊臣に詰問させた。

さっそく弁明のため、片桐且元が駿府に出発したが、

且元だけでは心許なく、淀君は乳母で大野治長の母・大蔵卿局も派遣した。

家康は大蔵卿局には、「何も心配することはない」と伝え。

その一方で、且元には、面会を許さず、正純の方から、

「よほど思い切って、 不信感を一掃できる措置がないかぎり許せない」

と脅しをかけている。

高野豆腐のふっくらにさえ腹立てて  安土里恵

正純から脅され、捻じ込まれた意見を大坂城で且元は、

「大阪城を引き渡すか、淀君が人質になるか、ほかに道はありません」

と必死に淀君に説いた。

ところが「心配することはない」という、大蔵卿局の報告を受けていた淀君と

大野治長は承知せず、且元を、「徳川に内通している」と罵倒したのである。

それに動転した気の弱い且元は、自分の屋敷に籠り、

淀君からは、「再び出仕するように」と説得の手紙が届いても、

不信感は拭えず、茨城城に引き籠ってしまうのである。

且元を操る、大坂の陣への導火線を引いた家康の狡猾な計算である。

月が欠けたらそれできっかけが出来る  板野美子

       
       阿茶局

その後、且元は、大坂の陣では、徳川方についている。

その大坂の陣では、難攻不落の大阪城攻めに手こずった家康は、

損害の増大、兵士の疲労、食料補給の事情等から「和平」を模索し始める。

その交渉の使者に徳川からは、家康側近の本多正純、側室の阿茶局を立て、

豊臣からは淀君の意向で、大蔵卿局と、淀の妹の常高院(初)が派遣された。

交渉は、常高院の義理の息子の京極忠高の陣において行なわれた。

さすが0何も寄せ付けない形  居谷真理子

淀君の意見がすべて反映される豊臣の事情を、家康は見透かしており、

阿茶局を立て、常高院を通し淀君に和睦を承諾させようとする思惑がある。

家康の目論見どおり、淀君は和睦を承諾する。

「淀君を人質としないかわりに、大野治長、有楽斎より人質を出す」

「秀頼の身の安全を保証し本領を安堵する」

「城中の浪人などについては、不問にする」 というもので、

一見、大阪方にとってかなり有利な条件を、家康は受け入れた。

頭からどうぞ温いうちにどうぞ  八上桐子


  大坂城の石垣

そして大阪方には、和議の中に、

「本丸を残して二の丸・三の丸を破壊し、
惣堀を埋めること」

が組み込まれた。


これは、このような和平では常識的なことになっている。

だが、大阪方では、惣堀を徳川方で埋めることは承知していたが、

二の丸を囲む外堀は、大阪方がやることになっていた。

それを徳川方は、大阪方の工事を手伝うと称して、

「外堀までを完全に埋めてしまった」のだ。

嫌みな家康を象徴するように、京極忠高にこの工事の指揮にあたらせ、

和睦」
見せかで、すべて狡猾な家康の描いた筋書きであった。

翌年4月、家康は秀頼に対し、

「浪人たちを承知しても、城内に留めるとは思っていなかった」

といって、「浪人を追放せよ」と迫るのである。

ことごとく腐ってドロドロの正義  石橋芳山

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