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川柳的逍遥 人の世の一家言
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注射針から噴き出したカーニバル  井上一筒

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義親を追討する正盛(大山寺絵巻)

 

出雲国のも目代を殺害した義親(左上・洞窟に座す)の、

追討を命じられた正盛(右方・舟上の指揮者)は、

討伐に向かった。

この勝利は、平氏の拡大のきっかけともなる。

薄氷の差だねと惜しみない拍手  青砥たかこ

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「平氏伸張のはじまり」

「朝敵追討は、源氏に限らぬこと、よう分った」

八幡太郎義家の嫡男・義親の討伐を、

見事成し遂げた、清盛の祖父・正盛を、

白河法皇は、頬を綻ばせ賞揚した。

ともあれ、この一件以来、

白河院は正盛を信愛し、
近臣として重用した。 

滾る血はひと色にんげんの鎖  鶴本むねお

 

こうした間にあって、正盛は悟るところがあった。 

「源氏のように武辺一点張りでは、武士は

  公家の頣使(しんし)するままに甘んじなければならぬ」
 

と。

そこで正盛は、嫡男・忠盛を当代一流の師につけ、

武術はもとより、和歌、舞など、公家の子弟に劣らぬまで、

徹底的に仕込んだ。

飛ぶために大きい荷物から捨てる  西山春日子

正盛は、「公家の青瓢箪に負くるな」 と叱咤し、

忠盛はこれに応えて、よく励んだため、

公家の子弟に劣らぬ、教養深き若者に成人した。

そして、正盛の目論みは、見事に成功した。

公家の中でも、良家の子弟しかなれぬ、

賀茂臨時大祭の「舞人」に選抜され、

華やかに、舞おさめたのだ。

人生の大きい無駄を温める  足立 暁

忠盛もまた、正盛の意思を受け継ぎ、

子どもたちに和歌・舞など、宮廷的教養を身につけさせた。

中には、和歌に秀逸ぶりをみせた、

忠盛の末子・忠度(ただのり)や、

後白河法皇五十歳を祝う賀宴で、

春の夕明かりの中、

雅に舞った清盛の孫・維盛がでている。

負けてたまるか階段を駆け上がる  新家完司

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「清盛、平氏の棟梁となって」ーあらすじ

平忠盛がこの世を去り、

正式に平氏の棟梁となった清盛に、

頭の痛い訪問者がくる。

平氏と親交の深い藤原家成が訪ねて来て、

自身の別邸で催す歌会で、清盛に、

「一首詠んでほしい」と依頼してきたのだ。

清盛が、父・忠盛の英才教育を無視し続けた。

そのツケが回ってきた。

落とし穴の中から聞えてくる鼾  笠嶋惠美子

清盛は、しぶしぶ覚悟を決めるが、

歌会の日が間近に迫っても、

一向に歌ができる気配はない。

歌詠みの宿題に困り果てた清盛は、

信西を頼るが、あっけなく断られる。

そのうえ、歌会での振る舞いが、

「平氏一門の未来を左右する」

と言われ、清盛は重責を感じる。

落とし穴の中から聞えてくる鼾  笠嶋惠美子

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一方、棟梁の妻となった時子といえば、

宴で振る舞う膳の数を、誤ったうえ、

名誉挽回にと請われた琵琶も、弾けないと辞退。

そんな彼女に清盛は、 

「それでも棟梁の妻か!」」とどなる。

焦る清盛、右往左往の時子と、

新しい棟梁の誕生は、

あたふた、ごたごたの家庭ドラマを生む。

ここで泣くここで笑うと言われても  合田瑠美子

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清盛の棟梁就任祝いにかけつけた常盤義朝

いざ、棟梁となって、 

「亡き父上の固き意志を継ぎ、武士の世を目指す!」

 

と、清盛は一同に宣言するものの、

実務を引き継いでみると、実に多忙。

清盛は父・忠盛の有能ぶりを、

改めて、痛感するのだった。

真っ直ぐに歩く心の叫ぶまま  佐藤后子

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「清盛が詠ったと思われる和歌」
 
久安3年(1147)平家一門の新しく棟梁となった清盛は、

 「そもそも、平家かやうに繁昌せられけることを、

   いかにといふに、熊野権現の御利生にてぞありける」


と伊勢の津港から、熊野にお礼参りに向った。

その航海中、大きな鱸が船中へ飛び込んできた。

今日がもう始まっている海の音  加納美津子

 
それを見た清盛は、

「昔、周の武王の船に白魚が躍り込み、

  やがて、天下を制する事になったと云う吉兆がある。

  精進潔済の旅ではあるが、これも権現様の神意とあれば、

  辱けなく頂戴してそなたらにもお裾分けをしよう」


と刺身に作り、家貞ら郎党たちにも食べさせて、

大いに、前途を祝したという。


手の届く高さに夢とあんぱんと  嶋澤喜八郎

和泉国大鳥大社に歌碑として残っている清盛の句

"かよひこぞよ帰りはてなば飛びかけり  育み立てよ大鳥の神 "

(平氏の旗印の蝶をなぞらえ、幼虫が成虫となり羽ばたくように、

  平氏もますます栄えありますことを・・大鳥の神)


清盛重盛が熊野詣での途中、

源義朝が、反乱を起こしたことを知り、

二人は、とってかえして京に戻る。

その途上、文武の神様が祭られている、

大鳥大社(和泉/堺)に立ちより


戦勝を祈願したとされる。

天上天下桜の下の御釈迦様  森 廣子

「ほか、二首」

"又も来ぬ秋を待つべき七夕の 別るゝだにもいとゞ悲しき"

"雲居より只洩り来る月なれば 朧気にては云わじとぞ想う"

見逃してくれる桜も青空も  清水すみれ

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