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川柳的逍遥 人の世の一家言
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一日でならずローマもこの皺も  岡本なぎさ


「狸親爺」

「秀吉の枕元で家康が秀頼の補佐を約束したのは汚い。腹黒いやり方だ」

と、よく言われることがある。

「家康狸親爺説」がそんなところから出てくるわけだが、

豊臣家および三成サイドに立てば、それが正論だろう。

しかし家康にしてみれば、高い器量のある秀吉だから臣従したのであって、

実力ある者が天下を盗るという戦国の習いに照らしてみれば、

「秀頼より自分が上」という意識があった。

従って、戦国は終わったと考える三成と、

戦国はまだ続いていると考える家康の意識のずれが、

関が原の戦いを呼び込んだと考えられる。

身のうちに白の領分黒の領分  雫石隆子

家康が戦で仕掛ける取り口は、いつも「いいがかりをつける」である。

その矛先が上杉景勝であった。

三成が佐和山へ蟄居させられたのを目の当たりにした景勝は、

直江兼続とともに、8月初旬に京を発ち、22日に会津に帰国した。

そして領国の仕置きを表向きの理由に、翌慶長5年(1600)2月にかけて、
             こうざし
兼続に命じて新たに神指城を築城、領国内の城の普請や道路整備を行い、

武器を調達し浪人を召し抱えた。

これは明らかな戦闘準備であると家康は考えた。

加えて越後の堀秀治・出羽の戸沢政盛が、「景勝に謀反の企てあり」

との
報告が家康のもとに届く、さらに景勝の重臣・藤田信吉が、

兼続と対立して家康のもとへ出奔し、「謀反の気配」とちくった。

あなたとの境にゴーヤ植えている  寺島洋子

この頃、家康は秀吉未亡人・北政所に代わり、大坂城西ノ丸に入り、

政務を執るようになっていた。
                                 さいしょう じょうたい
そこで家康は「ここぞ」とばかりに、
京都豊光寺の僧・西笑承兌を通じて、

慶長5年4月1日付で、
景勝に書状を送りつけ上洛を促した。

この家康の書状に真っ向から挑んだのが、直江兼続である。

彼は返書として激越な文言の書状をしたため、家康に送り返した。

これが「直江状」である。

家康は重ねて景勝に上洛と謝罪を要求したが、景勝は拒否、

ここに正式に「豊臣家への謀反」を理由とした会津討伐が決定する。

朱の紐を引っぱり修羅へ直線に  上田 仁

景勝は出羽・仙道方面の守備を厳重にし、迎撃体勢を構築した。

一方、家康は6月18日に伏見城を発ち、江戸城にて再度軍議を開いた後、

7月21日、江戸を発ち会津へと向かう。

会津では景勝が仙道諸将に檄を飛ばして決戦の意を固めさせ、

8千の兵を率いて長沼に陣して家康を待った。

しかし、家康は会津へは来なかった。

石田三成「打倒家康」に向けて決起したからである。

伏見城将・鳥居元忠から、その報が家康に届いたのは、

7月24日、下野小山に着陣した日である。

世にいう小山評定といわれる軍議を開き、家康は軍を西へ取って返した。

上杉征伐への出陣は、三成に仕掛けたみせかけの罠であり、

それにまんまと引っかかった三成であった。

敵と味方に埃を分けなさい  酒井かがり

「直江状」(新潟県立歴史博物館蔵)

上杉家が軍備増強や領内の整備、城の改築したことに対し、
「謀反の兆しあり」と家康が言いがかりをつけてきたことに対する返書。

「たった三里しか離れていない京と伏見の間にさえ、

色々な風説が飛びかうのに、上方とここ会津は非常に遠く、

どんな間違った風説がたとうとも何ら不思議ではない。

また、誓紙を出せといわれるが、太閤に出した誓紙を

一年もたたずに踏みにじり、諸大名と婚姻を結んだのはどこの誰であろう。

景勝には謀反心など全くない。上方では茶の湯など、

およそ武士の本分とはかけ離れたことにうつつを抜かしておられるようだが、

我が上杉家は田舎武士につき、いつでもお役に立てるよう武具をととのえ、

人材を揃えることは、これこそ武家の本道と心得ている。

道を整え河川を修復するのは、領民のため以外に何があろう。

一国の領主として当然のことではないか。

それとも上杉家が家康公の今後の邪魔になるとでもお考えか?

前田家に仕置きをされたそうだが、大層なご威光をお持ちなことだ。

我々は心ない人々の告げ口に、

いちいち会津から上方へ行って言い訳するほど暇ではない。


このような理不尽なことでわれらを咎められるおつもりならばそうされよ。

いつでもお相手をいたそう」

不本意なカウントダウンさせられる  山口美千代

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