忍者ブログ
川柳的逍遥 人の世の一家言
[599] [598] [597] [596] [595] [594] [593] [592] [591] [590] [589]
皿鉢料理龍馬の気概てんこもり  田口和代


倒幕のために結ばれた薩長同盟の主要メンバーの集合写真。
右から、大久保利通、大木喬任、島津忠義、二人おいて伊藤博文。

「薩長同盟」

禁門の変の後に実施された「第一次長州征伐」では、

戦になる前に長州側が降伏した。

幕府軍が長州に対して、徹底した強硬策に出なかったのは、

薩摩の西郷隆盛勝海舟から、

公武合体策の限界と幕府の内情を聞かされていたからである。

当時の薩摩は琉球の密貿易や、

薩英戦争後のイギリスとのつながりにより財政が潤っていた。

これは疲弊していた幕府からすると、脅威そのものである。

どのスイッチ押したか火山動き出す  竹内いそこ


長州征伐に向かう幕府軍

そこで幕府は長州征伐という名目で薩摩に長州を攻めさせ、

力を削ごうと考えたのである。

薩摩からすれば、長州と戦争をすれば多くの犠牲や軍費が生じて、

国力が衰えるのは目に見えている。

さらに長州が討伐された後、

次には薩摩が標的にされるかも知れない。

だが幕命に逆らえば、謀反の疑いをかけられるし、

薩摩単独で幕府を倒すだけの力はない。

水母から習う生きかた躱しかた  佐藤美はる

一方の長州は「8月18日の政変」さらには「禁門の変」以来、

朝敵とされてしまい、武器の購入を禁止されてしまった。

こうした状況で攻め込まれてしまえば、

ひとたまりもないことは火を見るより明らかだ。

薩摩は無駄な戦争には参加したくない。

そして、倒幕運動の表に立つ気はないが、

西郷はあまり、幕府側に肩入れしても将来はないことを見越していた。

長州はともかく、武器が欲しい。

しかも藩の方針は「攘夷から倒幕へ」と変わってきた。

じつは両者の思惑は一致していたのである。

俎板のくぼみに理由を詰めておく  笠嶋恵美子



だが、長州からすれば薩摩は恨み骨髄の相手。

この長州征伐にしても幕府軍の中核に薩摩がいたことも分かっている。

戦わずして停戦となっても、

恨みこそ残るものの、恩など微塵も感じられない。

このように激しく対立する薩長両藩を接近させたのが、

土佐脱藩浪士の坂本龍馬中岡慎太郎である。

将来を見据えた二人は、

大藩で実行力がある薩長が手を結ぶことが、

新しい政治体制を確立するために不可欠だと考えた。

誰もが不可能だと考えていた「薩長同盟」を実現させたのは、

龍馬が考えた奇策であった。

人生は転んだあとがおもしろい  青砥たかこ

それは武器が買えない長州藩に代わり、

龍馬が経営している亀山社中が薩摩名義で武器を購入する。

そして米が不足していた薩摩藩へは、長州から米を購入する、

と言うものだ。

どちらの藩にとってもメリットのある策であるが、

当初はお互いに面子を重んじるばかりで、話が頓挫しそうにもなった。

すり鉢の底で談合繰り返す  和田洋子



だが龍馬と中岡による和解工作が功を奏し、

慶応2年(1866)1月21日、京都の薩摩藩邸において、

薩摩の西郷隆盛と長州の桂小五郎の会談が実現。

ここで交わされた密約は、

「長州藩の状況が悪くなっても、薩摩藩はこれを助ける」

というもので、倒幕行動を起こすことではない。

ただこれ以降、

薩摩は幕府による第二次長州征伐への出兵を拒否するなど、

薩長は連携を強めていった。
                         
歳月は正直傷は癒えてきた  上野多恵子


    同盟文    (拡大してご覧下さい)

「薩長同盟の内容」

同盟の内容は次のようなものになっていた。

再び長州征伐となった際は、

薩摩が長州に対し物心両面の援助を約束

戦争が始まった場合、

薩摩は京、大坂に出兵して幕府に圧力を加える

そして戦争の帰趨如何に関わらず、

長州の政治的復権のために、薩摩は朝廷工作を行う

さらに薩摩が畿内に出兵して圧力を加えても、

幕府や会津藩などが強硬姿勢を貫く場合、

薩摩は幕府との決戦に及ぶ、ということも表明している。

指切りをしたので多分大丈夫  原 洋志

1.戦と相成候時は、直様二千余の兵を急速差登し、
       只今在京之兵と合し、浪華へも千程は差置、
       京坂両所相固め候事


2.戦自然も我勝利と相成候気鋒相見候とも、
       其節朝廷へ申上、きっ度尽力之次第有之候との事

3.万一戦敗色に相成候とも、
      一年や半年に決て壊滅致候と申事は無之事に付、
      其間には、必尽力之次第きっ度有之候との事

4.是なりにて幕府東帰せし時はきっ度朝廷へ申上、
       直様寃罪は従朝廷御免に相成候都合にきっ度尽力の事

5.兵士をも上国の上、橋、会、桑等も如只今次第にて、
       勿体なくも朝廷を擁し奉り、正義に抗し、
       周旋尽力の道を相遮り候時は、終に及決戦候外無之との事

6.寃罪も御免之上は、双方誠心を以て相合、
       皇国之御為に砕身尽力仕候事は不及申、
       いづれの道にしても、今日より双方皇国之御為、
       皇威相輝き御回復に立ち至り候を目途に
       誠心を尽して尽力可致との事。

結んでひらいて結んだとこで終ろうね  安土理恵

拍手[4回]

PR


Copyright (C) 2005-2006 SAMURAI-FACTORY ALL RIGHTS RESERVED.
忍者ブログ [PR]
カウンター



1日1回、応援のクリックをお願いします♪





プロフィール
HN:
茶助
性別:
非公開