言葉選ってるのねメガネ拭くふりで 森田律子
馬関(下関)戦争
幕府に対する攘夷実行圧力の強まるなか、
その期限となっていた5月10日、
長州藩が、下関海峡を通過したアメリカやフランス・オランダの商船を、
次々と砲撃した。
そして、約一ヶ月後の6月初旬に、報復攻撃を受け、
長州が惨敗するという事件もあった。
刀から涙思わぬ展開に 小林満寿夫
手紙の中程に”今一度、洗濯・・・”の文字がみられる
龍馬が、「日本を洗濯いたし申し候」 の手紙を書いたのは、
長州が、外国の報復攻撃を受け、
惨敗した、約3週間後のことである。
坂本乙女宛 文久3年(1863)6月29日の日付で、冒頭に
『 この文は、極大事の事ばかりにて、 けしてべちやべちやシヤベクリには、
ホ、ヲホ、ヲ、いややの、 けして見せられるぞえ
六月廿日 あまりいくかゝ、きょうのひは忘れたり。
一筆さしあげ申候。
先日、杉の方より御書拝見仕候。 ありがたし 』
と龍馬らしく、冗談めかして、乙女に他言の禁止を求め、
自分について、
「よほど芽を出し」
と自分がついに、檜舞台に立ったという、心境を報告している。
解らない記号で手帳埋めている 中川隆充
その、「よほど芽を出し」 とは、
龍馬が、長州藩が、外国船に砲撃を加えた直後の5月16日、
神戸の”海軍塾創設”のため、勝海舟の使者として越前・福井藩へ向かい、
資金を援助してもらうという話を、まとめていたことを意味する。
福井藩主の松平春嶽の信頼も得て、
多くの人や大金を、動かすことが出来るようになったことを、
姉に自慢しているのだ。
とっておきの話 にんまりするワイン 泉水冴子
『 私事も、此せつは、よほどめをいだし、
一大藩に、よくよく心中を見込て、たのみにせられ、
今何事かでき候得ば、二三百人ばかりは、私し預候得ば、
人数きまゝにつかい申侯、よう相成、
金子などは少し入ようなれば、十、廿両の事は誠に、心やすくでき申候』
≪ 私も最近芽が出てきて、
大藩(福井藩)に心中を見込まれ、頼りにされ、
今何か事が起きれば、二、三百人くらいを預かり、自由に使える立場になり、
金が必要な時も、十両や二十両のことなら、心配いりません≫
鰐の歯を磨く仕事で食べてます 井上一筒
下関英国船
そして、長州の攘夷戦争を嘆き、
これは幕府内の”姦吏(かんり)”が、夷人と内通して行なったものだと指摘。
『 然に誠になげくべきことは、ながとの国に軍初り、
後月より六度の戦に、日本甚利すくなく、
あきれはてたる事は、
其長州でたゝかいたる船を、江戸でしふくいたし、又長州でたゝかい申候。
是皆、姦吏の夷人と内通いたし侯ものにて候 』
≪ ところが、誠に嘆かわしい事は、
長州で戦争が始まり、先月から六度の戦いに、日本は勝ち目がなく、
あきれた事には、長州で戦った外国船を、江戸(幕府)で修理して、
また長州で戦っています。
これらはみな、悪い幕府の役人が、外国人と内通しているものです≫
干からびたミミズになって這っている 谷垣郁郎
『 こうした悪役人は、よほど勢いもあり、大勢いますが、
龍馬は二、三の大名と、固く約束し、同志を募り、
朝廷もまず神の国を守る大方針を立て、
江戸の同志 旗本・大名・その他 と心を合わせ、
こういった悪役人と戦って撃ち殺し、
”この日本を今一度、洗濯しなければならないこと” を祈願しています』
と書いている。
真っ当に生きてることが恩返し 伴 洋子
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