- 2026/05/03
- Category : ポエム&川柳
豊臣兄弟ー長浜城
おい不死身右が二重になってるで 酒井かがり
『瓢軍談五十四場 第九此下宗吉郎再び須股の砦を築く』 (国立国会図書館)
「豊臣兄弟」ー長浜城
長浜城再現ー長浜城歴史館へ
浅井長政ー肖像画
長浜城再現ー長浜城歴史館へ
天正元年(1573)に羽柴秀吉(豊臣秀吉)が浅井長政攻めの功で織田信長から
浅井氏の領地を拝領した際に、当時今浜と呼ばれていた地を「長浜」と改め、
城とを築きました。長浜城は、秀吉が最初に築いた居城であり、秀吉の城下
町経営の基礎を醸成した所でもある。
「長浜城下町の復元図」
秀吉治世下の地図で上部に長浜城が見える、町割りは古代律令制のなごり、
湖は琵琶湖。
浅井長政ー肖像画
長浜城に入った小一郎は二の丸御殿に上がった。
真新しい御殿の中を案内され、謁見の間に通された。
上段の間には、すでに秀吉の姿があった。
白の羽織に鼠色の袴を合わせ、満面の笑みを浮かべている。
「よう来た小一郎。どうじゃ、この城は」
子どものように声を弾ませる秀吉に、小一郎は柔らかく応じる。
「よき城かと」
「じゃろ」
小一郎は人払いをした。家臣たちはおろか、刀持ちまで下がったのを受け、
中段の間の真ん中に座ると、真新しい畳に手をつく。
「改めて兄上、この度は祝着至極にて。ときに兄上、お伺いしたいことが
ございます」
ございます」
「なんじゃ」
「兄上はなぜ、小谷城を用いられなかったのですか。この城の普請にはかなり
の銭を使っております。当家の銭を預かる者として、兄上の御存念をお伺いし
たく」
の銭を使っております。当家の銭を預かる者として、兄上の御存念をお伺いし
たく」
他人とは比べない日の運の良さ 上西延子
「なら、小一郎、お前が当ててみい」
頓狂な声を上げた小一郎をよそに、秀吉はにんまりと笑った。
秀吉には子どもめいたところがある。小一郎はしばし考え、答えた。
「小谷城の守りに、疑問を抱かれたからでは」
小谷城を落とした立役者ゆえに、城の弱点、今後の普請のしにくさに気付いた
のではないか、というのが小一郎の考えだった。特に京極丸の脆さは如何とも
し難い。秀吉は笑みを浮かべたまま何もいわない。
のではないか、というのが小一郎の考えだった。特に京極丸の脆さは如何とも
し難い。秀吉は笑みを浮かべたまま何もいわない。
促されているような心地に襲われ、小一郎は別の見方を披露する。
「琵琶湖の押さえを欲されたのですか」
古来、琵琶湖は海上運搬が盛んだった。近江を抑えるにあたり、琵琶湖に睨み
を利かせることには、軍事のみならず、経済上の意味があった。
を利かせることには、軍事のみならず、経済上の意味があった。
止まらない独白 発火するルンバ 宮井いずみ
秀吉はなおも曰くありげに笑みを浮かべている。
小一郎は別の考えを口にした。
「では単純に、山城を嫌われたのですか」
山城は堅牢だ。その分、普段の生活や、政には向かず、城下町を築きづらい
欠点がある。平城は山城とは利点欠点が逆転しているものの、長浜城のよう
欠点がある。平城は山城とは利点欠点が逆転しているものの、長浜城のよう
に水を引き込めば、その弱点を補える。
が秀吉はなにも言わない。何かを待っているようだった。
まさか、小一郎は言った。
「お市様をお迎えするために新たな城を築いた、などとは申しますまいな」
こめかみのあたりに浮いているけれど みつ木もも花
かつての夫の居城である小谷城に、お市を迎えるなどという不調法はしたく
ない、という気遣いなのでは、というのが小一郎の謂いだった。
ない、という気遣いなのでは、というのが小一郎の謂いだった。
お市の方は助け出され、今は静かに暮らしている。風向きが変われば、誰かの
妻に「下賜」されることもありうる。その日のための皮算用なのだとしたら。
妻に「下賜」されることもありうる。その日のための皮算用なのだとしたら。
すると秀吉はしとねから立ち上がり、縁側へと向かった。
庇から差し込む光が、秀吉の身体を溶かす。
「切れ者だのう、小一郎は、一を聞いて十を知る男じゃ。しかしお前は、小さ
くまとまっとるでよ」
くまとまっとるでよ」
「どういうことですか」
「どうして、わしの狙いが一つだと思うんじゃ」
小一郎は息を呑んだ。
両方に耳があるのに聞きのがす 藤井美沙子
お市の方
理由を一つに絞り込む必要などない。小谷城は防御上の脆弱さや、琵琶湖の押さ
えとならない点、城下町の広げづらさ、お市の方を迎える際の不都合など、問題
が山積みしている。
むしろ、小谷城の種々の問題を克服する形で、長浜城は構築されている。
えとならない点、城下町の広げづらさ、お市の方を迎える際の不都合など、問題
が山積みしている。
むしろ、小谷城の種々の問題を克服する形で、長浜城は構築されている。
秀吉は振り返りもせず、言った。
「そもそもこの城は、次に向かうための布石じゃ。わしはもっと大きくなる。
小一郎、お前の働きに期待しとりで」
小一郎、お前の働きに期待しとりで」
兄には一生敵わないかもかもしれない。
小一郎はこの瞬間にそう悟り、秀吉に深く平伏した。
畳についた指は、いくら力を込めても震えが止まらなかった。
小一郎はこの瞬間にそう悟り、秀吉に深く平伏した。
畳についた指は、いくら力を込めても震えが止まらなかった。
きびなごの目玉をすべて取り除く きゅういち
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