- 2026/04/05
- Category : ポエム&川柳
大相撲ー部屋をもつということ
履歴書の写真の鼻に加筆する 清水すみれ
「大相撲部屋之図」 歌川国貞
相撲部屋を持つということは、日本相撲協会の年寄(親方)が独立し、
土俵と施設を所有して弟子を指導する「疑似家族」の長となることで
す。師匠として弟子を育成し、場所入りや管理を行う重い責任を担う
と同時に、部屋の経営者として運営・資金調達の責任も負う。
経営者としての責任。部屋の運営(施設管理、食費、人件費など)を
自身の責任で行うため、スカウト活動や支援者(後援会)との関係構
築も重要となる。
大相撲の力士や関係者は、必ずいずれかの部屋に所属する必要があり、
部屋を持つことは角界で独立して活動する第一歩となる。
スイッチバックさあこれからが大変だ 阪本高士
音羽山親方
音羽山親方
モンゴル出身鶴竜・音羽山部屋に所属している力士
音羽山部屋関脇・霧島を筆頭に、鋼、鶴峰、白竜、讃岐竜、光星竜、
象竜、鶴翔、鶴英山、竜鳳(2026年3月時点)といった所属力士が、
在籍しています。この部屋は2023年に設立され、霧島を中心に大関
復帰やさらなる上位を目指し多くの若手力士が稽古に励んでいます。
大相撲ー部屋を持つということ
「独立して部屋を持つための厳しい条件」
収入や名誉を求めて独立しようとしても、部屋を新設するハードルは、
年々上がっています。
「引退後1年経過」「所属力士数の規定」「資金力」など厳しい条件
をクリアしなければなりません。
特に土地や建物の確保には、数億円規模の資金が必要となり、借金を
してでも部屋を持つ覚悟が問われます。
「部屋付き親方」の中には、将来の独立を目指して資金を貯めている
人もいれば、リスクを避けて、一生部屋付きでいることを選ぶ人もい
ます。部屋を持てば経営責任という重圧がのしかかりますが、部屋付
きなら指導と自身の業務に専念できる。
この「気楽さ」をお金に換算して納得している親方も多いのです。
舌二枚これさえあれば大丈夫 楠本晃朗
「木曽街道六十九次 善光寺開帳記念」 歌川国芳
「部屋付き親方の業務内容」
年収1千万円以上をもらう部屋付き親方ですが、その仕事内容は給料
に見合っているのでしょうか。
「稽古場で座っているだけ」と揶揄されることもありますが、実際に
は多岐にわたる業務をこなしています。
相撲協会の業務は、本場所中とそれ以外で大きく異なります。
部屋付き親方は、自分の部屋での指導だけでなく、協会全体の運営を
支える重要な歯車として機能しています。
大仏に絆創膏を貼る仕事 通利一遍
「勧進大相撲八景 支度部屋の図」 歌川国貞
朝の稽古では、まわしを締めて土俵に下り、若い力士に胸を出すこと
もあれば、土俵下からアドバイスを送ることもあります。
師匠が不在の時には代行として、稽古を取り仕切ることもあり、部屋の
ナンバー2としての役割が求められます。
特に技術的な指導においては、現役時の経験を活かせる最大の場面です。
しかし、最終的な決定権は師匠にあるため、自分の指導方針と師匠の方
針が食い違うとストレスを感じることもあります。
師匠を立てつつ、力士を育てるバランス感覚が求められます。
この中間管理職的な悩みは、部屋付き親方特有のものかもしれません。
どこまでも師匠は師匠なんですよ 中村幸彦
「木曽街道六十九次 関ケ原の図」 歌川国芳
本場所中は、勝負審判として、土俵下に座る姿がテレビでもよく見ます。
審判委員は、極度の緊張感を強いられる仕事であり、物言いなどの判定
には全責任を負います。また会場警備やチケットの管理、広報業務など
協会運営の裏方仕事も親方衆が分担して行っています。
これらの業務は、朝から夕方まで続き、場所中は休みがありません。
地方場所では宿舎での生活となり、プライベートな時間も制限されます。
本場所がない期間に行われる地方巡業にも、多くの親方が帯同します。
移動と宿泊の連続で体力的にハードな仕事ですが、ここでも手当が支給
されますが、巡業先でのファンサービスや、現地の主催者との調整など、
営業マンとしての側面も求められます。
これらが部屋付き親方の役務上の見えないところでの苦労や、意外とハ
ードなスケジュールの実態です。
老眼でややこしい物見えません 藤本鈴菜
「木曽街道六十九次 日本橋」 歌川国芳
「年寄名跡の取得費用と回収シミュレーション」
親方になるには「年寄名跡(年寄株)」が必要です。
一時期は数億円で取引されていたとも噂されるこの株ですが、高額な費
用を払ってまで取得する価値はあるのでしょうか。
給料だけで元が取れるのか、シビアな視点で計算してみましょう。
現在、名跡の売買は表向き禁止されていますが、継承に伴う金銭の授受
は実質的に存在すると言われています。
その相場は数千万円から1億円以上とも。
この巨額の投資を、定年までの給料で回収できるかどうかが、親方を目
指す力士にとって最大の懸念事項です。
年寄名跡は、全部で105しかなく、空きが出ない限り取得できません。
人気のある名跡や、由緒ある名跡は競争率が高く、取得には実力だけで
なく政治力や資金力が必要です。
もし仮に1億円で取得したとしても、親方になれば年収1千万円以上が
30年近く保証されます。
単純計算で生涯賃金は3億円から4億円になります。
そう考えれば、初期投資が大きくても十分にペイできるビジネスモデル
と言えるかもしれません。
淋しげなポーズ狡いずるいずるい 岡田陽一
「勧進大相撲酒盛之図」 相撲の合間の力士たち
「65歳定年までに稼げる総収入」
30代後半で引退して親方になり、65歳まで勤め上げた場合。
平均年収を1200万円と仮定して30年間働けば、総額3億6000
万円です。ここから税金や生活費を引いても、名跡取得費用の借金を返
済することは十分可能です。
さらに70歳までの再雇用期間を含めれば、生涯収入はさらに増えます。
何より「元力士」という肩書きだけで、これだけの安定収入が得られる
職は、一般社会にはそうありません。
リスクを冒してでも株を取得しようとする力士が多いのも頷けます。
終章をそっと支えてくれる過去 徳山泰子
相撲稽古を見る親方
「借金をしてでも親方になるメリット」
多くの力士は、現役時代の貯金だけでは、名跡費用を賄えず、後援会か
らの借金などで工面します。それでも親方になるのは金銭面だけでなく、
相撲界に残れるという精神的な安定が大きいからです。
一般社会でゼロからキャリアを築く厳しさを考えれば、借金を背負って
でも「親方」というレールに乗る方が安全だと判断するのです。
また、協会に残れば、厚生年金などの社会保障も手厚く、老後の不安も
軽減されます。
部屋付き親方は、経営リスクを負わずにこの「協会の傘」に入ることが
できる、ある意味で最も賢いポジションかもしれません。
美しい傘に出会ったにわか雨 中前棋人
「東都両国橋夏景色」 歌川貞秀
江戸の勧進相撲で賑わった両国界隈の活況を伝える作品で、本作はJR
両国駅構内にも大型パネル化されている。
びっしりと人で埋め尽くされた中央の橋は、江戸時代初期の1660年頃
に初めて建設され、現在に至るまで何度も架けなおされている両国橋。
花火の上がる夜の隅田川の光景が、西側上空から描かれており、極端
に歪曲した川の表現と、誇張された橋の上や川面の混雑振りが印象的
で、圧倒的なパワーを感じさせる作品である。
に歪曲した川の表現と、誇張された橋の上や川面の混雑振りが印象的
で、圧倒的なパワーを感じさせる作品である。
「まとめ」
部屋付き親方の給料は、決して「安い」ものではありませんでした。
むしろ、経営リスクを負わずに年収1千万円以上が保証され、各種手当
も充実している「高待遇」なポジションと言えます。
部屋持ち親方のような派手なキャッシュフローはありませんが、安定性
においては抜群です。
彼らは、師匠の補佐や協会の運営業務という地道な仕事をこなしながら、
相撲界の伝統を支えています。
高額な年寄名跡を取得するハードルはありますが、長い目で見れば十分
に元が取れる投資です。
相撲中継を見る際は、土俵下の審判や花道の警備をしている部屋付き親
方たちの「働きぶり」にも注目してみるのもいいでしょう。
朝刊にヤッター夕刊がアッホー 宮井元伸
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