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川柳的逍遥 人の世の一家言
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国防総省を枝豆で包囲  井上一筒

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 平安時代の武士たち

「武士の成立」

400年の長きにわたる平安時代。

その後半にあたる永承7年(1052)より、

仏教思想でいう「末法の世」に入り、

世の中は、悪くなる一方と信じられ、

不安と悲観が世を覆うなか、

荘園の増加で国の財政は揺らぎ、

寺院による示威行為(強訴)も頻発しはじめる。 

紫陽花にレイニーブルーが雫する  馬杉とし子

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    強訴の屏風

強訴を起した延暦寺や興福寺などは、

天皇の安穏や国家鎮護のために、創建されたものであり、

国が経営していた。

しかし、財政が厳しくなると、寺院に与える財源が減り、

寺院は、経済基盤を自力で確保しようと、

荘園を所有するようになり、

税収を確保したい国司と対立するようになり、

寺院は、対立する国司の罷免などを求め、

強訴するようになる。 

想定外の波紋に小石狼狽える  上嶋幸雀

 

「末法の世だから、僧といえども武装するのは仕方ない」

として、僧が僧兵を組織して、自己肯定しはじめる中、

「武士」が、台頭していくこととなるのである。 

かごめかごめそっと片足出してみる  三村一子

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 流鏑馬(穴八幡宮所蔵)

「武士の定義」

武士と称されるには、

主に以下の要件を満たさねばならない。  

① 馬に乗った状態で弓を射ることができること。

② 武芸の専門家であるのを自他ともに認めていること。

③ 朝廷に関わる公的役割を果たしていること。

  

たとえ、武芸に秀でていても、

公的役割を果たしていなければ、武士とは言えず、

山賊や海賊は、もちろんこれに該当しない。 

苦味まで分かれば兵隊になれる  くんじろう

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 流鏑馬像(穴八幡宮)

やがて、各地で武士団が形成され、

地方で勃発した反乱を機に、その存在感を高めていく。

天慶年間(938-947)、東国では、平将門

西国では、藤原純友の乱が起きる。

これは武士による反乱であり、朝廷は大きな衝撃を受けた。

貴族は、殺生を生業とする武士を蔑んでいたが、

朝廷には、自前の軍備が十分になく、  

「武士の乱には、武士で対処しなければならぬ」

  

ジレンマに気づかされるのである。 

非常階段に舌やら毛布やら  森田律子

 

結局、この乱は武士によって鎮圧され、

この時、活躍した源氏・平氏

以降、朝廷で重用されていくこととなる。

こうして源平両氏は、将門の乱から十世紀後半にかけて、

「武家の棟梁」として、

武士団の頂点に位置づけられるようになる。

ともに、天皇を祖に持つ両氏は、

貴種であることから、

各地の武士から棟梁として仰がれたのだ。 

点に囲まれて弾んでみせる点  岩田多佳子

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 貴族を警護する武士

両氏は中央の有力者に仕え、その警備などを担っていく。

源氏は主に、10世紀後半から11世紀後半の、

摂関全盛期の藤原家に重用された。

この時期、武士は反乱の鎮圧や治安維持活動によって、

朝廷内において、一定の地位を得るようになったのである。

同じ目の高さで話すさくらんぼ  新川弘子

しかし、官位ではせいぜい、

中級の五位までしか昇ることが出来ず、

上級貴族との間には、明確な一線がひかれていた。

官位は、当時の身分社会における絶対基準であり、

武士は、身分の面で差別されていた。

しかし、院政を開始した白河法皇に仕えた平氏によって、

その一線が乗り越えられていく。 

過去はもうゴミに出さねば身が持たぬ  高橋はるか

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    催事の武士

院政の開始は、武士の勢力図を大きく変える。

院が直接政治を司るようになると、

警護を務める武士(北面の武士)が置かれる。

その中心的存在が平氏であった。

平氏には坂東平氏など様々な系統があるが、

白河法皇に仕えたのは、伊勢平氏である。 

夜のしじまから地球の再生音  下谷慶子

 

平正盛、「源義親の乱」の鎮圧で名をあげ、

嫡子・忠盛とともに、強訴などの対応などでも活躍をした。

実は強訴の対処は難しく、

白河法皇も「意のままにならぬもの」と言ったように、

強訴するのは、

いずれも国家鎮護のための寺院であり、

本来国が、大事にしなければならない存在であった。

だから、いきなり武力行使をするわけにもいかず、

かと言って、弱腰とあなどられ、

院の権威を損なってもいけない。 

千切れ雲まだ行く先は決めてない  合田瑠美子

 

武士は、相手を威嚇し、戦わずして、

暴発を押さえることが要求された。

この難しい役割を果すことで、

武士の存在感が増していく。

やがて、

清盛の登場で、朝廷権力の縮小と武士の台頭という、

両方の流れの最終段階にあたり、

中世と武士の世を、切り開いていくことになる。

一方でヨーイヤサーと幕が開く  山本早苗

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