スーダラ節テーマソングにして暮らす 大池温子
晩年の武市とみ子(半平太の妻)
「龍馬と中岡慎太郎」
龍馬のかっての上司であった武市半平太(瑞山)の夫人・富子が、
龍馬と中岡慎太郎とを比較して語るところによれば。
こうだ。
「中岡慎太郎さんを思い出してみると、大変行儀のよい人でありました。
武市の部屋に通されましても、表情とか姿勢を崩されることもなく、
立派なご様子でございました。
お茶請けに柿などをむいて、おすすめしたこともありましたが、
『かたじけのうござる』と申されるだけで、手を出そうとはされませんでした。
それに比べて・・・」
沈まない夕日はきっと淋しがり 野田和美
龍馬については、こう語る。
「坂本龍馬さんは、大そう無遠慮な方でございました。
柿をお出しして、私が皮をむいて差し上げる間もなく勝手に手づかみされ、
皮もむかずに、そのままお食べになられる方でございました」
理知的になれぬなべ焼きうどんの具 山口ろっぱ
龍馬が、「海援隊」 を結成した、
「ならば自分は陸援隊だ」 と結成した中岡慎太郎である。
慶応3年、維新が成る前年、旅籠・近江屋で二人が密談しているとき、
新撰組とも、京都見廻組とも、いわれる刺客集団に襲われて、
どちらも命を落とす羽目になる。
そういう同じ境遇を辿った二人だが、
写真を見比べてみると、対照的な表情をしている。
回り道自分らしさに辿り着く 斉藤朋子
中岡はキリリとした表情で、正座しているのが印象的だが、
龍馬の場合には胡坐をかいたり、モノに寄りかかったりで、どうにも行儀がよくない。
性格の違いだろうが、
武市が龍馬を
「浅黒い六尺もある大柄な男で、性格は茫洋として雄大」
という。
中岡については特に語っていない。
ベッド兼財布カンガルーのお腹 井上一筒
中岡が珍しく笑っている写真
女性(遊女)と一緒に写っているのだが、何故か黒塗りで消している。
「ついでに・・・」
武市が、思想的に影響を受けた人物といえば、
自分より11歳も年下の、長州藩・久坂玄瑞であった。
その久坂によれば、武市の様子を、
「身長六尺、鼻高く、顎もしっかりしている。
眼には異彩があり、顔は白く、喜怒を人前で現さない」
と外見を述べるだけで、
武市の考え方とか、思想についての評価がない。
≪志士の世界でも、相手を評価するときには外見か中身か、
その判断基準は、分かれたようである≫
友だちの背中はいつもたたきよい 森中惠美子
[3回]
PR