- 2026/01/18
- Category : ポエム&川柳
「川柳と行く大相撲の裏話」 エピソード-①
一年を二十日で暮らすよい男
「勧進大相撲土俵入りの図」 (国立国会図書館蔵)
三階席まで男たちがびっしりの相撲小屋の様子。
様々な技が生まれたことで人気が高まった。桟敷席は、茶屋を通さなければ
買えない特等席で、土間のほうが値段は安かった。
「江戸の三男」という言葉がある。与力・力士に火消の頭が江戸の花形、とい
うものだ。一年を二十日で暮らすよい男と詠われた。力士がなぜ年間二十日間
の実働で1年間を暮らせる好漢と、羨まれたか彼らが活躍する「勧進相撲」が
春と冬の年二回、晴天十日間の開催とされたからだ。
本所回向院が主な会場で、見物客は未明から回向院を目指す。
「東都名所回向院境内全図」 (東京都立中央図書蔵)
巨大な葦簀張りの相撲小屋が立つ回向院の境内へ相撲ファンが向かう。
堺町ずかずか通る相撲好き
と柳多留にあるように、江戸の相撲好きたちは、日本橋から両国橋を渡って、
隅田川の東岸の回向院に向かうのだが相撲を観る前から興奮して、日本橋界隈
にあった芝居小屋には目もくれず、鼻息荒くずかずかと歩く。
そんな連中だから、力士の勝敗をめぐって興奮の頂点に達し、あちこちで掴み
合いの喧嘩をはじめるほどだった。
最近の大相撲は、大の里関のような新星横綱の活躍や豊昇龍関、安青錦関・
義ノ富士ら新人スター人気、そしてSNSとの相性の良さから若年層にも浸透し、
懸賞本数が過去最高を更新するなど、非常に人気が高まっています。
特に、力士の魅力(イケメン力士)と現代の動画コンテンツへの適応が、
幅広い層への支持拡大に繋がっていますさらに昔からのファン層に加えて、
砂かぶりに座る若い世代や女性層にも人気が広がり、
横綱、三役、と幕内力士の実力が拮抗する中、その人気は非常に活況を呈し
ています。

12代横綱・陣幕久五郎の土俵入り
土俵外に座す太刀持ちは今と変わらない。
土俵入りまけるけしきが見へぬなり
両国橋を渡る相撲取り
「川柳と行く大相撲の裏話」 エピソード-①
日本語で喋る方が楽という安青錦
「外人力士はどうして日本語がうまいのか」
新入門時のウクライナからきた安青錦
〔24時間日本語漬け〕
相撲部屋は理想的な日本語道場でもある。
辞書は使わない。その代わり、番付表やカラオケなどを教材に、24時間
日本語漬けの生活になる。ちゃんこの味とともに、日本語も体に染みこませ、
番付を上げていく。番付が上がっていくと、後援会など外部の人との接触も
多くなったり、インタビューに答えたりする機会も多くなり、さらに日本語
が上達していくのである。
砂付けて男を磨く相撲取り
砂付けて男を磨く相撲取り
〔まるで軍隊〕
相撲界は、「親方、女将さん、兄弟子、部屋のすべてが日本人という環境で
共同生活をするので「日本語がわからない」では通用しない世界だ。
ほとんどの相撲部屋は、起床から就寝までタイムスケジュールはきっちりと
決まっている。朝の土俵の準備、食事の準備、稽古場の掃除など、相撲のト
レーニング以外にも弟子たちはやることがたくさんあり、礼儀にも厳しい世
界だから、自然と美しい日本語が身につく。
うけながら風の押手を柳かな
〔ジョークも勉強のうち〕
外国出身力士は、相撲部屋で生活することにより日本語漬けの環境になり、
同部屋の力士や師匠・部屋付き親方・おかみさんなど、部屋関係者は勿論、、
部屋の支援者、いわゆるタニマチと呼ばれる人々とも日本語で会話すること
により上達する。日本語の取材をそつなくこなした曙への一撃。
入門間もない曙は,兄弟子から「電話で『もしもし』と言われたら「カメよ」
って答えろ」と教わり,おかみさんに気づかれるまで受話器に「カメよ」と
繰り返したそうだ。
合弟子は佐渡へかへりし角力かな 久保田万太郎
厳しい稽古と不慣れな環境に負けた仲間が相撲部屋を去っていく哀愁を詠う。
合弟子は佐渡へかへりし角力かな 久保田万太郎
厳しい稽古と不慣れな環境に負けた仲間が相撲部屋を去っていく哀愁を詠う。
〔旭天鵬(現・友綱親方)の回顧録〕
モンゴル人最初の親方となった元関脇・旭天鵬も、入門当時のこを
「言葉がわからないことが一番のストレスだった”と振り返る。
「日本語勉強しましたよ。しなきゃならなかったからね。
選択の余地なしって感じでした。どんな場面にも必要不可欠なものでしたし…」
しかし,旭天鵬は、ひとりではなかった。兄弟子,おかみさん,髷結い職人の
床山といった人々から後援会,近所の商店の人々に至るまで、あらゆる周囲の
人たちが,彼の日本語学習が成功するよう支え助けてくれた。
「昇進すればするほど,日本語上達の機会も多くなります。
番付けが上がると,上の人たちとの付き合いも増えるし,スピーチする機会も
出てきますからね」。
今や、自由自在に日本語を操る旭天鵬は,同部屋の同郷出身力士の旭鷲山とも
日本語で会話をする。旭鷲山は笑って言った。
「モンゴル語を話すのは,誰かの悪口を言う時だけですね」と。
痩せ蛙まけるな一茶これにあり 小林一茶
「痩せ蛙」を相撲に見立てて、力強く応援している一茶である。
PR




