お月さま連れてきたのは水たまり 泉水冴子
お江が嫁いだ秀勝の居城・丹波亀山城(C・G)
「お江ー二度目の結婚」
秀吉が秀次に関白職を譲ってまもなく、
江は秀吉から呼び出された。
江の縁談話しだった。
相手は秀次の弟・秀勝。
江にとっては、再婚だが、
前の結婚は、完全な政略結婚だったのに比べて、
今回は、好かれての結婚だった。
できちゃった婚を少子化相は褒め 井上一筒
天正20年(1592)2月、江は秀勝と婚礼の儀を挙げた。
秀勝は24歳、江は20歳だった。
二人は関白・秀次が住む聚楽第に住むことになった。
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お江が秀勝と結婚した意味合いは、鶴松の死で失われたが、
秀吉の朝鮮出兵の野望に、
さらにお江は、翻弄される。
夫・秀勝にも出陣の命令が下った。
お江と秀勝は、「岐阜城」で出陣の準備を整えると、
聚楽第の敷地内にある、京都の屋敷に戻った。
すでに、結婚2年以上が経ち、お江の妻ぶりも板につき、
江は幸せの絶頂にあった。
小さな幸せみなに話してみたくなる 夏井せいじ
岐阜城
≪金華山山頂の岩山にそびえる、秀勝最後の居城・岐阜城
「美濃を制するものは、天下を制する」 と言われた≫
「一刻も早いご無事なご帰還、お待ちしております」
お江は、心から、そう願える妻になっていた。
岐阜で編成した8千の兵を率いて、
天正20年(1592・文禄元年)3月、
甲冑姿も麗々しく、夫は京都を出立した。
馬上の秀勝が、どこか愛おしく感じられ、
思わず目に涙した。
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お江は、夫を見送ってから程なく、
さらに、名護屋に出発する秀吉と姉・淀殿らをも見送った。
秀吉は、小田原の陣に淀殿と松の丸殿を伴い、
勝利を得たことを吉例として、
このたびも、2人を同道させたのだ。
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金襴の甲冑をまとい、付け髭をつけた秀吉に続き、
100騎余りの、美装の女房衆に守られて、
淀殿は、奥の人となった。
夫が去り、いままた、秀吉と姉を見送って、
お江に寂しさが、こみ上げる。
そんなお江は、体に変調を感じ、妊娠を知るのだ。
新しい命を宿して、秀勝が恋しく感じられた。
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9月、再び秀吉を不幸が襲った。
聚楽第で永く闘病していた実母の、大政所が亡くなったのだ。
そして、その悲しみは、江にも襲ってきた。
10月、出征していた秀勝が、
「唐島陣中で亡くなった」
という報せが届いたのだ。
幸せの絶頂にいた江は、一気に奈落の底へ落とされた。
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丹波亀山城・古写真
昭和初期の亀山城。
慶長15(1610)、藤堂高虎によって、
造られた5層の天守閣が、現存していた頃の貴重な写真。
やがて、江は臨月を待たずに女の子を産んだ。
北政所が、完子(さだこ)と名付けてくれた。
ほかほかだねあったかいねと赤子抱く 道家えい子
大河ドラマ「お江」-第26回・「母になる時」 あらすじ
京・聚楽第の屋敷で、夫・秀勝(AKIRA)と
暮らしはじめた江(上野樹里)は、
妻としての日々に、これまでにはない幸せを感じていた。
彼女は、とにかく秀勝の世話を焼きたくてしかたがなく、
慣れない家事に手を出し、
かえって、侍女たちを困らせてしまう始末。
虫喰いの痕も含めて君が好き 中野六助
しかし、幸福な時は、長くは続かなかった。
秀勝が、朝鮮での戦に赴くことになったのだ。
「天下を太平に、皆が笑うて暮らせる世の中にしてもらいたい」
という利休最後の願いを、
一緒に背負うと約束してくれた秀勝。
その夫を、戦に送り出さなければならない。
江は、どうにも割り切れない思いだったが、
むろん出陣を止めることはできず、
ついに、秀勝出立の日を迎えてしまう。
追伸の棘のひとつがプロローグ 上田 仁
別れの時、あえて明るく振る舞う秀勝。
一方、江は不安を隠しきれないが、
「心配は無用じゃ、必ず戻ってまいる」
という夫に、なんとか笑顔を作ってみせる。
「お待ち申し上げております」
そう答えるのが、彼女の精いっぱいだった。
このときから、
愛する人の帰りを待つ江のつらい日々が始まる。
≪しかしやがて、そんな江の心を勇気づける、
思いもよらぬ事実が判明するのだ・・・≫
ニュースの中から急に飛び出した石 立蔵信子
日本水軍
そして、朝鮮に渡った日本の軍勢は、順調に兵を進めていた。
そんな中、秀勝は、後発部隊を率い、
壱岐、対馬をへて朝鮮の唐島に着陣。
秀吉(岸谷五朗)より、
「敵水軍の動きを封じるべし」 との命を受ける。
だが、実は陸上で優勢の日本軍も、
「水軍」を使った戦では、苦戦しており、
案の定、秀勝の部隊も、朝鮮の水軍に手を焼くことに。
アンダーライン引かれ燻り出してくる 谷垣郁郎
異国の地で、思うような戦果が上げられず、
兵たちの心には、いらだちが募っていく。
そんな折、秀勝の部下と唐島島民の間で、
ちょっとしたいざこざが起きた。
島民との衝突を望まない秀勝は、
自ら仲裁に入って事を収めるが、
その際に、脚に刀傷を負ってしまう。
尺八を覗けば風があるばかり 嶋澤喜八郎
[7回]