さみしくてコンビニの蛾になっている たむらあきこ
「龍馬とおりょうの恋人時代」
おりょうが、龍馬と知り合って間もない頃、
妹が騙されて、大坂の女郎屋に売られる事件が起きた。
この時、おりょうは一人で、女郎屋に乗り込んで妹を救出している。
「死ぬる覚悟にて刃物をふところにして喧嘩をいたし・・・」
と、龍馬も手紙にその詳細を書いている。
彼女の大胆な行動に、よっぽど感心したのだろう。
その痛快な行動は、龍馬が恋に落ちるに、充分な衝撃だった。
センサーの休日知っているカラス 山口ろっぱ
『おりょうというのは、遊芸は大好きだが家事は苦手、
政治向きのことには、口を出したがる・・・』 と、
当時の男たちには、敬遠されるタイプだった。
だが、女性を男の所有物ではなく、同じ人として向き合う
龍馬には、そこが魅力だったのだろう。
龍馬という男は、むしろ大人しい良妻賢母では、退屈してしまう。
手に負えぬ内弁慶の閉じこもり 薮内直人
龍馬とおりょうは、夜ごとに、鴨川べりをデートしたというが、
男女が寄り添って一緒に歩くなど、当時としては珍事に等しい。
そんなデートの最中にあった”怖い事件”を、おりょうが述懐している。
特ダネを黙っといてと言われても 太下和子
[新撰組の話]
『伏見に居た時分、夏の事で暑いから、
一晩龍馬と二人で、ぶらぶら涼みがてら、散歩へ出かけまして、
段々夜も更けたから、話もって帰って来る途中、5・6人の新撰組と出会いました。
夜だからまさか、坂本とは知らぬのでせうが、
浪人と見れば、何でも彼でも叩き斬ると云う、奴らですから、
故意 私らに突き当たって、喧嘩をしかけたのです。
すると龍馬は、ぷいと何処へ行ったか、分からなくなったので、
私は困ったが、ここぞ臍の据え時と思って、平気な風をして、
「あなたら大きな声で何ですねえ」 と懐手で澄まして居ると、
「浪人は何処へ逃げたか」などと、ブツブツ怒りながら私には、
何もせず行き過ぎてしまいました。
目を凝らすとざわざわ白い物が見え 島田握夢
私は、ほっと安心し、3・4丁行きますと、
町の角で、龍馬が立ち止まって、待っていてくれましたかね、
「あなた私を置き去りにして、あんまり水臭いぢゃありませんか」
と云うと、
「いんにゃそういう訳ぢゃないが、きゃつらに引っかかると、
どうせ刀を抜かねば済まぬからそれが面倒で隠れたのだ。
お前も、これ位の事はふだんから、心得ているだろう」
と云いました。』
口髭に隠してキャビア食べている 井上一筒
『龍馬伝』・第24回‐「愛の蛍」 あらすじ
京の池田屋に向かった龍馬(福山雅治)は、
亀弥太(音尾琢真)の死を目の当たりにする。
池田屋を襲撃したのは、新選組だった。
怒りに震える龍馬は、引き上げていく新選組に挑もうとするが、
居合わせた桂小五郎(谷原章介)に止められる。
桂は、池田屋で殺された者たちの無念を、いつか必ず晴らすと誓う。
では海はしばらく蓋をいたします 酒井暁美
龍馬は、新撰組から逃れるため、お龍(真木よう子)の家に身を隠す。
そこには、病弱な母親と4人の弟妹がいた。
お龍は父親亡き後、女手ひとつで一家を支えていたのだ。
そんな彼女に、龍馬は、
「自分は家を捨てた身、好き勝手なことをやって家族に申し訳ない」
ともらす。
横向いて居てくれボクの泣くあいだ 太田扶美代
反面、亀弥太の死を防げなかった自分自身にも、いらだっていた。
そんな龍馬に、お龍は、
「亀弥太が志を貫いて死んだのだから、誉めるべきだ」
と龍馬を諭す。
その言葉を聞き、龍馬も自分の志を取り戻す。
こうして、すこしづつ変化をみせる2人の仲。
弱気になった天狗の鼻を撫でられる 奥山晴生
一方、勝(武田鉄矢)は、
操練所の訓練生だった亀弥太が、池田屋の策謀に加わっていたことで、
幕府の老中に呼び出され、詰問される。
その頃土佐では、以蔵(佐藤健)が厳しい拷問を受けていた。
吉田東洋殺しの犯人を吐かせようという、
後藤象二郎(青木崇高)の追及が、続いていた。
武市半平太(大森南朋)は、以蔵が拷問で苦しむ声を、間近に聞きながら、
じっと堪え忍ぶしかなかった。
消しゴムで消せぬ一行過去一つ 横山達矢
だが、苦しんでいたのは、獄中の彼らだけではなかった。
半平太の妻・冨(奥貫薫)もまた、夫の苦しみを、我がことのように受け止め、
誰にも助けを求めることなく、それに耐えていたのだ。
それを知る、坂本家の伊與(松原智恵子)は、
武市家を訪ねて、冨を慰める。
幕末期、奔走する男たちの陰で、女たちもまた闘っていた。
ひとりじゃないよとさすりつづけた部屋 浜田さつき
[0回]