茶目っ気なボスでみんなに慕われる 桑田砂輝守
海援隊約規
〔龍馬、海援隊への道〕
”我もはや、世をすてん 鈴鹿山、またなりいずる 世にしあらねば”
≪これは、勝海舟が神戸に海軍操練所を立ち上げて2年後のこと、
幕府からの更迭に合い、操練所にかかえた坂本龍馬以下脱藩者との、
板挟みの心境を詠んだものである≫
取り残された彼ら‘元学徒‘は、
就くべき職も無く、放り出されてしまったわけで、
「それなら俺がなんとか、勝先生のためにも、日本の洗濯をしちゃる」
と、龍馬が一肌脱いで、営利を目的に動く、
「『亀山社中』を組織しよう」 と、立ち上がった。
社中を立てるにあたって、出資はとりあえず薩摩藩に仰ぎ、
社中が稼ぎ出した「利」は分配し、
社員の月収は、全員三両二分とした。 ≪当時の武士の平均月収≫
かしら分の龍馬も、同額である。
五線譜にひらめくものをちりばめる 山本希久子
海援隊約規文面
いまから140年も前に、現代の総合商社に通ずる特質を、
「亀山社中」は備えて誕生した。
仲介料で儲かった亀山社中は、独立採算のメドがつき、
これを機会に後藤象二郎の薦めもあって、
『海援隊』へと名称を変えるのである。
そして、このさい社中は、後藤から一万両を融通してもらい、
順風満帆の勢いで、龍馬は約款までつくり、
「これで薩摩の紐付きにならんで済むのう」
と、海援隊の誕生を祝った。
武士の1分にメンソレータム塗っておく 竹下くんじろう
近藤勇が狙っているとも知らず、寝入る龍馬
龍馬は、175cmほどもある当時としては、見上げるような大男である。
大男は、剣術に秀でるものが多く、
龍馬は、北辰一刀流長刀兵法の免許皆伝を授かっていた。
しかし、長刀とは薙刀のことで、なぜ薙刀を志したのか・・・?
疑問であるが、
千葉道場の塾頭を務めたわりには、さして武勇伝は伝わってこない。
平凡な顔で無難に生きている 興津幸代
人の3倍も努力したという龍馬だが、
むしろ剣術は苦手で、千葉道場でも人柄の方が光った。
「茫洋として雄大、天衣無縫」 というのが、
龍馬の人となりを評価する、決まり文句で、
その大らかさが亀山社中にあっても、社員をひきつけ、
組織をまとめる男の魅力であり、
剣よりも人との和合、
剣術よりも商術に、大いに発揮されたようである。
京都駅の雨 龍馬の咳払い 井上一筒
『龍馬伝」・第32回-「狙われた龍馬」 あらすじ
下関に来なかった西郷(高橋克実)を追って、
龍馬(福山雅治)と中岡(上川隆也)は京の薩摩邸を訪れるが、
西郷からは面会を断られてしまう。
折りしも京では新選組による殺戮が繰り返され、
ますます物騒に・・・。
2人は人目につかないよう、別々の宿に泊まることに決める。
走過ぎる時代に浴びた水しぶき 石川憲政
お龍をくどく近藤勇
久しぶりに、伏見の寺田屋を訪れた龍馬。
そこには、なんと新選組の近藤勇(原田泰造)が来ていた。
お龍(真木よう子)目当ての近藤は、しばしば寺田屋を訪れては、
彼女に酒の相手をさせていたのだ。
それを聞いた龍馬は、身の危険を顧みず近藤のいる部屋へ。
自分の素性を隠すため、薩摩藩士を装いながら、
近藤を泥酔させてしまう。
近藤は、幼なじみの以蔵を襲い、
池田屋事件では亀弥太を死に追いやった憎き相手。
眠りこける近藤を前に、刀に手をかける龍馬だったが・・・、
どうにか思いとどまる。
一大事明日がどこにも見当たらぬ 岩田多佳子
そして明け方、目を覚ました近藤は先ほどの薩摩藩士が、
以前、以蔵を逃がした龍馬であったことに気づく。
お登勢(草刈民代)は、
「龍馬はもうたった」 と、うそを言い、
必死に龍馬をかくまおうとするが、
近藤には全く通じず、龍馬の寝込みを襲いにいく・・・。
しかし、龍馬を追って江戸から寺田屋を訪れていた、
千葉道場の当主である重太郎(渡辺いっけい)が、加勢するのを見て、
その場を去る。
重太郎は、妹・佐那の思いのために、龍馬に会いにきたのだが、
お登勢とお龍の会話から、
龍馬が、”日本を変える” という大きな仕事に邁進していること。
そして、お龍の龍馬への気持ちにも気づき、
黙って江戸へと帰っていく。
その意見虫に刺された跡がある 西田斎柳
やがて、西郷と会うことが出来た龍馬は、
西郷が下関を通り過ぎたのは、
「幕府の隠密により偵察されていたからだ」 と知る。、
いっそう険悪な関係になってしまった”薩摩と長州”を、再び結びつけるため、
龍馬は、思いもかけない策を、西郷に提案する。
それは幕府の目が光っていて武器を、購入できない長州のために、
薩摩藩の名義で、武器を購入するという奇策だった。
ベジタリアンと知りすき焼きに誘う 中村幸彦
[6回]