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川柳的逍遥 人の世の一家言
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ジャンケンホイATMよ金を出せ  山口ろっぱ






  狐拳に興じる三人美女



「江戸の教養」 ーじゃんけん



今日のじゃんけんは、中国の「虫拳」がルーツとされる。
中国唐代の古典『関尹子(かんいんし)』に「ムカデは蛇を食い、蛇は
蛙を食う」とあり、この三者が会うと、それぞれがすくんで動けなくな
ることから、「三すくみ」と呼ばれるとある。中国の「虫拳」は平安時
代までに日本に伝わったとされ、日本では、ムカデがナメクジに代わっ
たが、「三すくみ」の関係は維持された。



  虫拳『拳会角力図会』


人差指を上げるとヘビ、親指を上げるとカエル、小指を上げるとナメク
ジを意味した。江戸後期には、天竺徳兵衛をモデルにした児雷也ものが
読本・浄瑠璃・歌舞伎で当たり、「児雷也の蝦蟇」への大変身が話題と
なり、「蛇拳」が流行したが、文政13年(1830)に喜多村信節が
刊行した随筆『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん』には「虫拳などは、童部
のみすなり」と当時、虫拳が子供の遊びであったと記されている。



頭とは別行動をする手足  前中一晃



「三すくみ拳」は、江戸時代に多数考案されたが、その中で最も流行し
たのは、「狐拳」である。狐拳は、狐・猟師・庄屋の三すくみの関係を
用いた拳遊びの一種である。藤八拳、庄屋拳、在郷拳」とも呼ばれる。
狐は猟師に鉄砲で撃たれ、猟師は庄屋に頭が上がらず、庄屋は狐に化か
されるという三すくみの関係を腕を用いた動作で合わせて勝負を決めた。
二人が向かい合い、正座して行なう。
それぞれの手の姿勢は次のとおり。
狐は掌を広げ、指を揃えて頭の上に相手に向けて添え、狐の耳を模する。
猟師 は 両手で握り拳を作り、鉄砲を構えるように前後をずらして胸の
前に構える。庄屋は正座した膝の上に手を添える。
結構、運動神経や機転が要求され、場はそれだけで盛り上がった。
『色一座梅椿』には「狐拳」について、「あ一、い二、う三い」のかけ
声でジャンケンし「おつとあいかう/\」と、あいこでやり直すこと、
そして「なんでも狐拳に負けたら、お初さんの迎えに行く」と、負け
たものは、初を迎えに行く役目が記されている。



床の間の七福神がけしかける  井上登美






 「当振舞世直拳」歌舞伎役者がモデル)
描かれているのは、戊辰戦争に登場する藩や人物。
左が会津藩で、右が薩摩藩。狐拳というゲームをしている。


「虎拳」というのがある。これは、指先や手などによるものとは異なり、
全身の動作や表情によって競うものである。
近松門左衛門の正徳5年(1715)大坂竹本座の初演の浄瑠璃『国性
爺合戦』こくせんやかっせん)に由来する。浄瑠璃や歌舞伎で繰り返
し演じられ、中国人の父と日本人の間に生まれた主人公の和藤内(わと
うない)が猛虎を捕える場面は評判を呼んだ。「虎拳」はこの作品をも
とにし、「和藤内は虎に勝つ、虎は和藤内の老母に勝つ、老母は和藤内
に勝つ」の三すくみになている。すなわち
和藤内は槍を構える。虎は四つん這いになる。老母は杖をつく、という
動作であった。これは天明年間(1781-89)に大ブームとなった。
遊郭や料亭の宴席で場を盛り上げるために行われたが、動作が大きいた
めに、両者の間に仕切りとして屏風を立てて、相手に見えないようにポ
ーズをとり、屏風を外して勝敗を確認するなどした。宴席の者は、両者
の動きを同時に見ることができるという趣向であった。



番外の余興が受けた披露宴  藤井康信



「三すくみ」ではないが、「数拳」というジャンケンもある。
2人が互いに片手の指で数を示すと同時に、双方の出した数の合計を言
いあてるというもので、当たった方が勝ちとなる。中国が発祥地で日本
では、18世紀の初めから広がった。
16世紀の後半に長崎から入ってきた遊びなので、「長崎拳・崎陽拳」
ともよばれた。江戸時代の天保年間までは、これが大人の拳遊びの中心
だった。現代でも九州では「球磨拳」などの数拳が行われている。
いろいろ考案される中で、「狐拳」から三連勝しないと1本取ったこと
にならない「藤八拳」が派生して、家元制度が導入され、競技性が高ま
った。明治になり、数拳の手の形と三すくみ拳からの現代行われている
「じゃんけん」が考案されたと考えられている。余談だが、タイには
「象、象使い、王様」の三すくみ拳がある。このタイの三者の関係性は、
それぞれ皆さまで考えてみてください。



入口は三つ出口はありません  米山明日花






   これが虎拳



昨今は「最初はグー」で始まるジャンケンだが、浄瑠璃や歌舞伎などの
舞台で踊りながらのかけ声は、大反響を呼んだ。
「三国拳」
 おまへ女の名でお伊勢さん、神楽がお好きで、とつぴきぴイのぴいー。
「三仏拳」
 おまへ西方阿弥陀如来、木魚がお好きで、ぽんぽこぽんのぽん。
「世直し拳」
 ことしや世直し元日に、めでたくとつた年男、ふくは内外に。
「兎拳」
 さても今度の流行物、皆さん御存知、うさ/\と、茶殻きらずの御馳走
で、月に浮かれて飛びはねる、とくさがお好きで締こで、さアきなせー。
「薩摩拳」
 南無らんぼうやぼだらきやう、さてこれからいよいよはじまる、お経の
もんくは何でありませうなら、薩州鹿児島騒動巴咄しで…。
「すててこ拳」
 さても諸席の大入は、立川談志の十八番、郭巨の釜ほり、テケレツパア、
おいてるれんてる。などなど面白いけど長すぎて相手の手が読めません。



利き足に小春日和を巻いておく  みつ木もも花



今日にも広く行われているジャンケン、「石拳」とも呼ばれ、三すくみ
の拳の中では、遅れて成立したが、1840年頃から、子どもの「ジャン
ケン」遊びとして発達した。
「石拳」「石、ハサミ、紙」を手で手で示して勝敗を決定するが、江戸
時代の江戸時代の「虫拳、虎拳、狐拳」などの三すくみ拳とは異なり、中
国の古典や日本の話のストーリーを知らなくても、ルールを理解できると
いう簡単なものであった。このことが子ども達の間で広く行われるように
なった一因とされる。
最後にジャンケンの語源については、先の「石拳」「じゃくけん」が訛
ったとする説やハサミの形が、二(りゃん)であるとする説がある。
また呼称については、関西の「いんじゃん、じゃいけん」など地方によっ
て様々で面白いのが沢山ある。




 
モノクロの暮らしへ加えたいパセリ  平尾正人

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