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川柳的逍遥 人の世の一家言
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広辞苑どこにも俺はいなかった  十折一辺 

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  小牧・長久手合戦屏風

「小牧・長久手の戦い」

秀吉は、お江を養女として一成に嫁がせた。

その仲人は、信雄であった。

一成は、秀吉を知らず、お江は、秀吉との縁も薄く、

しかも、秀吉を父母の仇と恨んでいた。

若い夫婦に秀吉への恩はなかった。

これに対し信雄は、一成の後ろ盾となった信長の息子であり、

お江にとっても、信雄は従兄弟である。

水たまりあなたと一緒なら跳べる  中井アキ

だから、秀吉と信雄が敵対したとき、

自ずと一成が信雄に味方して当然といえた。

しかも信雄は、尾張50万石・清洲城城主となったが、

木曽川河口の島々からなる、かっての一向宗門徒との激戦地、

長島城を主城としていた。

それは、伊勢湾の海上権を握るのに、好都合だったからで、

20キロもない至近距離にある「大野城の水軍」を、

最も頼りとしていたのだ。

そして信雄は、同盟した家康に尾張の清洲城を提供した。

点滅の信号どうしろというの  下谷憲子

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        岡崎城

家康は清洲城を拠点に、「小牧山城」を前線基地とした。

豊臣秀次を総大将とする秀吉軍は、

家康の居城・「岡崎城」を奇襲する作戦に出る。

しかし、これを事前に察知した家康軍は、

小牧山城から追撃、さらに長久手で待ち受けて襲い、

家康軍は大勝を得た。

焦げてしまったポンペイのパン屋さん  井上一筒

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    蟹江城址

 この長久手の戦いに敗れた秀吉は、

信雄の住む長島城と、家康がいる清洲城を、分断する作戦に出た。

両城の中間に佐久間信栄「蟹江城」があった。

当時周辺は海と水郷で、

秀吉は、九鬼(くき)水軍数10隻を用い、

滝川一益に責めさせ、城を陥落させた。

もう待てぬ待たぬ大根ぶった切り  山本昌乃

この時、家康は清洲城から出撃し、

城を奪回し、九鬼水軍2隻を焼き沈めている。

この戦いに船は不可欠で、九鬼水軍を攻めるため、

家康方の将兵を乗せて立ち向かったのは、

一成率いる「大野水軍」だった。

秀吉はここでも敗北した。

この戦いに、大野水軍が、大いに貢献したことを知った秀吉は、

激怒した。

一日置いて考えた「バカにしないでよ」  山口ろっぱ

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 長久手古戦場石碑

「小牧・長久手の終戦」

信雄優勢のまま、一応膠着した戦になった。
 

一方、したたかな秀吉は、

着々と伊勢や美濃にある信雄の領地を占領し

尾張の戦線に兵力を残したまま、

秀吉自身は、新しく築いた大阪城に引き返してしまう。

そして水面下で、信雄と「和平交渉」を始めると、

信雄はあっさりと応じて、矛を収めてしまったのである。

ふくろうはずるい一回転の道  久場征子

信雄は「勝てる戦」と思ったのに、自分の支配地は半減し、

開戦したことを、悔いるばかりであったのだ。

「面子さえ立つなら我慢するしかない」と、

信雄が悟ったところに、

人たらしの名人である秀吉の、泣き落としにかかっては、

ひとたまりもなかった。

「打群れてみる人からの山櫻 よろづ代までと色にみえつつ」

その石を投げると負け犬になるぞ  居谷真理子

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「小牧・長久手の戦いのあと」

織田信雄と結んだ家康と「小牧・長久手の戦い」で戦うことで、

秀吉の「天下統一」への方向は明確化していく。

事実、

この小牧・長久手の戦いの直後、秀吉は従三位、権大納言となり。

賎ヶ岳の戦いから2年後の、天正13年7月、

従一位に叙され、「関白」に任官した。

生きるミッション卒業は見当たらぬ  森 廣子

それまで、藤原氏以外の人間が、関白になった例はない。

近衛前久の猶子(ゆうし)となって、便宜的に藤原氏となり、

「藤原秀吉」として関白になったのだ。

その直後、秀吉は新たに「豊臣」の姓を与えられ、

「豊臣秀吉」として、関白政権をスタートさせることになる。

 ※ ≪猶子―他人の子供を自分の子として、親子関係を結ぶこと。

    ただし養子とは違い、契約関係によって成立した≫

続柄がどうあれ横が妻らしい  谷垣郁郎

関白・豊臣秀吉政権の施策の特徴は、

一つの官位による大名編成である。

諸大名たちは、後陽成天皇の前で、関白秀吉への臣従を誓わせられた。

秀吉が従一位関白で、以下、信雄が正二位内大臣、

家康が従二位権大納言というように、

官位によって、ランクづけがなされ、

秀吉をトップとする大名編成の原則が、うち立てられたのである。

愚をくり返す胃ぐすりを飲みながら  森中惠美子

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