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川柳的逍遥 人の世の一家言
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赤なまこ黄なまこ我は青なまこ  井上一筒


 幸村の家族への手紙
大阪夏の陣が開戦する2ヶ月程前の3月に大阪城内から上田に住む
姉夫婦に出されたもの。
「訳文」
遠いところ御使者をお送り下さりありがとうございます。
そちらはお変わりがないとのこと、詳しく承り、満足いたしました。
こちらにも無事でございますので、ご安心下さい。
私たちの身の上ですが、お殿様(秀頼)は大変親切にしてくださるので大方の
ことは問題ないのですが、万事気遣いしながら一日一日を暮らしています。
お会いしなくては細かいことを申しあげられず、手紙ではなかなか詳しく
書け
ませんが御使者のかたが詳しく伝えてくださるでしょう。
 今年も何事もなければ、どうにか、お目にかかりたいと思います。
知りたいことが山ほどあります。
ですが、この不安定な浮き世のことですから、一日先のこともわかりません。
私たちのことなど、もうこの世にあるものとは考えないで下さい。
恐れながら謹んで申し上げます。

三月拾日  真田左衛門佐              小壱岐様

結論は出ている 梅は熟れている  藤本秋声

「幸村の最後の書状」

幸村が認めた「人生最後の書状」真田信之が江戸時代に治めた松代町の

小山田家に伝来する。

慶長20年(1615)3月19日付けで「真田丸の戦い」で活躍した

大阪冬の陣と
夏の陣の間に書かれたもの。
                    しげまさ       ゆきとも
宛先は信之の家臣である小山田茂誠とその息子の之知

茂誠は姉・村松殿の夫で、幸村にとっては義兄に当たる。

遺言と書いて江戸小噺を一つ  筒井祥文             

「遠路、御使者から手紙を預かりました。

   そちらは変わったことがないこと
詳しく承りました。満足しています」


幸村は手紙の中で、このように上田の家族のことを気にかけつつ、

自身の近況も報告している。

「こちらも無事でおりますのでご安心ください。

   私たちの身の上は殿様の信頼
も並大抵ではありませんが、

   色々気遣いが多く、一日一日を暮らしております。


   お目にかかっていないので、詳しくお話しすることができませんが、

   なかなか書面でも詳しくは書けません。

   様子を使者からお伝えいたします」


書状が記された時期は、冬の陣終結から3ヵ月余りが経ち、

豊臣方の主戦派が再び戦闘準備を整えた頃だ。

そうした緊迫する情勢とともに、

秀頼からひとかたならぬ寵愛を受けていたことが窺える。

背景にはやはり先の冬の陣での真田丸における戦いぶりもあったのだろう。

信号がずっと黄色のままである  杉山ひさゆき

この後、幸村は書状で、「当年中も静かであるならば、

   何とかしてお会いしてお話ししたいと存じます」


と家族への思いを吐露するとともに、胸に秘めた悲壮な覚悟を伝えている。

「心ひかれることがたくさんありますが、

   定めなき浮世ですので、
一日先のことはわかりません。


   我々のことなどはこの世にあるものとは思いなされますな」

再戦がそう遠くないことを悟り、覚悟を決めた様子が伺える。

そして、自分のことは必要以上に
気にかけないで欲しい―と綴る内容は、

幸村の複雑な心境と家族への心配りをみせる…幸村の事実上の遺書である。

閂を抜くと本音が迸る  須磨活恵

同じく冬の陣後に幸村が村松殿に宛てたものでは、

恐らくは叶わないであろう再会を願いつつも、

「お会いしてお話ししたいものです」と記している。

関が原合戦の際に兄・信之や姉村松殿など信州・上田の地の家族とは、

別の道を歩むこととなったが、

それでも真田一族は、
心通わせ続けていた。

介錯を頼む 喜劇として頼む  くんじろう


    馬 上 筒
馬上筒は全長約60センチの半自動の速射連発銃で、着火装置に改良を重ね
弾倉を付けることで8発の弾丸を10秒おきに発射でき、手綱を握る手を軽く
支えにすれば、馬上でも連射が可能になった。

夏の陣で豊臣方が総崩れする中、幸村が僅かな手勢と家康本陣へ攻めた際、
真田流砲術の名手である幸村は、この馬上筒をフルに活用し家康に自害まで
覚悟させ
たという逸話はよく知られる処である。
しかし家康にあと一歩のところ迄迫りながらも、取り乱す敵兵の反撃にあった
騎馬が動揺し、幸村は家康を撃ち損じたというおまけがついてくる。

奇跡には赤いフリルがついている  新保芳明

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