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川柳的逍遥 人の世の一家言
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虹彩に刺さるムラサキウニのトゲ  井上一筒

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出雲国で叛乱を起した源義親を討つ平正盛

「平家の道ー①」・・・巻き戻し

平清盛は、祖父・正盛や父・忠盛の活力に満ちた行動と、

一門の繁栄を考えての深慮を思うたびに、

終生、「敬虔の念と感謝の想い」を、

抱かずにはおれなかった。 

流れ星壺に集めて窓に置く  松田俊彦

 

当時、武士といえば、

「源氏一門が全盛」を誇っており、

平氏の存在は、哀しいまでに影が薄かった。

その頃のはやり唄ににも、 

"鷲の棲む深山には  なべての鳥の棲むものか

  同じ源氏と申せども  八幡太郎は恐ろしや "

 

と歌われたほどであり、

源氏の棟梁・八幡太郎義家の武名は、

天下にあまねく知れわたっていた。 

イメージを食べ尽したら咲くんだね  和田洋子

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     八幡太郎義家

その武名赫々たる義家の嫡男・義親が、

はからずも、源氏に衰運をもたらし、

代わって、「平氏台頭」のきっかけを作った。

義親は性、粗暴にして、乱暴狼藉を働いた結果、

隠岐の島に配流の身となった。

ために義家は義親を廃嫡となし、

孫のため為義を、嫡子に据えた。 

青春の光と影を掘り起こす  元永宣子

 

ところが、なお義親の行状はおさまらず、

隠岐の島から脱走したうえに、

出雲へ押し渡って国司代官を殺害してしまった。

朝廷では、ただちに義親の討伐を源氏に命じた。

朝敵討伐は、源氏武士団の任務であるからだが、

たまたま、棟梁の義家が病死してしまったため、

朝廷は急遽、討伐使に平正盛を起用した。

ために源氏は、親子死闘の悲劇は避けられたが、

中央政界での存在感は大きく減退した。 



 

心配無用シュレッダーが横にある  桑原伸吉

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    平正盛

 

一方、白羽の矢がたった正盛は、

嫡男・忠盛を当代一流の師につけて、

武術はもとより、和歌、舞など公家の子弟に劣らぬまで、

徹底的に仕込んだのだ。

彼はしばしば、「公家の青瓢箪に負くるな」 と叱咤し、

忠盛はこれに応えて、よく励んだため、

公家の子弟に劣らぬ、教養深き若者に成人した。 

三色を上手に使うことに馴れ  山本早苗

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臨時祭記録

 

そして正盛の目論みは、見事に成功した。

公家の中でも、良家の子弟しかなれぬ、

「賀茂臨時大祭」の舞人に選抜され、

この大役を忠盛は、華やかに舞おさめたのである。 

そして今私はどんな色だろう  河村啓子

 

白河院は、大いに忠盛を賞揚した上、院の昇殿をゆるした。

時に忠盛弱冠26歳。

源氏でただひとり、

八幡太郎義家にして、すでに60歳に達してからを思えば、

推して知るところである。 

猫捨てて犬捨ててボクの立ち位置  山口ろっぱ

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快活、機知にとんだ忠盛は、

白河院に次いで、院政を行った鳥羽院にも、

信愛され重用された。

忠盛は播磨・伊勢・越前等の国司を歴任しており、

備前守時代、山陽・南海二道の海賊追討を命ぜられるや、

直ちにこれを討伐してのけたため、

いちだんと白河・鳥羽両院の篤い信頼を得た。 

キャンディみっつ午後の信号機  くんじろう

 

しかも忠盛は、備前神崎を預かった時代、

「日宋貿易」に関与して莫大な蓄財をしており、

その財力を使って、いよいよ野望を逞しくした。

思えば、国司のいち郎党にすぎなかった「伊勢平氏」が、

いまは自身が国司になったことは、奇跡的ですらあった。 

歓声をサンドバックは遠く聞く  内藤光枝

 

が・・・、忠盛は、国司どころか、

平氏が殿上人-「―貴族」になることを願ったのである。

忠盛が鳥羽院の勅願の観音堂の落慶供養に際して、

一千体の仏像を寄進し、鳥羽院の信愛を濃くしたのも、

野望を遂げるためといってよい。 

浪花節だまって灯る真空管  黒田忠昭

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伊勢平氏発祥の地(三重県)

 

この功により、忠盛は内昇殿を許され、

ついに殿上人となった。

当然、若い公卿たちの間に羨むものが現れ、

昇殿の際に、闇討ちしようとする企てがなされた。

もとより忠盛に油断はなく、いち早く情報を掴んだ彼は、

太刀を帯びて昇殿し、前庭には武装兵を控えさせたから、

公卿たちも手出し出来ぬままに終わった。

はりつめた糸の先から出る微熱  百々寿子

それで悔し紛れに、公卿たちは、

忠盛が太刀を帯びて昇殿した非礼を問題にした。

ところが、忠盛は微笑をして、太刀を抜きかざした。

白刃と思われたそれは、

木刀に銀箔を押した偽刀だったのだ。 

「ははは、これは忠盛の勝ちじゃ」

 

鳥羽院は、いよいよ忠盛を信愛した。

四つ葉だけ栞にされるクローバー  杉本克子

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[川柳瓦版 誌上競詠・『咲くやこの花賞』のお知らせ]

皆様へ、「誌上競詠」へのご参加を心よりお待ちしております。

      内容は下記の通り、ハガキにて投句してください。

2月のお題 「始まる」 選者 森中惠美子

3月のお題  「食」     選者 井上一筒

4月のお題  「衣」    選者 赤松ますみ

参加料/1年間ー(24年2月~25年1月) 2000円 (切手可)

                          (同人、誌友は 1000円)
締切   毎月20日

表彰 毎年3月句会で発表。(一位に優勝杯 二位~十位に瓦版特製記念品贈呈)

投句先 (572-0844) 
        寝屋川区太秦緑が丘11-8    川柳瓦版の会宛

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