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川柳的逍遥 人の世の一家言
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メロンの気持ち聞いてどうするのですか 畑 照代


中央、夕霧の妻・雲居雁がややに乳を飲ませ、
それを柱の陰から夕霧が様子を見ている。

うき節も 忘れずながら 呉竹の こは捨てがたき ものにぞありける

あのおぞましい出来事は忘れられないけれど、
この子はとても可愛くて捨ててはおけないものだ。

「巻の37 【横笛】」

季節は春。源氏49歳、夕霧28歳、女三宮23歳、そしては2歳になる。

柏木の一周忌、源氏は故人を惜しみ、100両ものお布施をした。
          ちじのおとど
事情を知らない致仕大臣(柏木の父・かつての頭中将)は、源氏や落葉の宮への

夕霧の誠意に感激し、それと同時に悲しみを新たにした。


そして薫は、今では、それが何であるか知らないまま、撫で回したり、

投げたり、歯がむず痒い歯で雫をたらしながら、噛んでみたりと、

朱雀院から贈られた筍をオモチャにして遊ぶほど順調に成長している。

おはじきのお金で買った夢がある  中川隆充


  筍で遊ぶ 薫

一方、夕霧も夫を亡くした落葉の宮の見舞いをまめに行い、

一条御息所の信頼も得た。

その日は亡き柏木が弾いていたものだろう、夕霧はその和琴を引き寄せ

1、2曲弾いていると、落葉の宮も風情に酔って合奏してくれた。

そして今度は自分で琵琶を取り寄せ、夫を思う女の曲・想夫恋の曲を弾く。

夕霧はますます落葉の宮に、惹きつけられていくのを感じた。

やがて外も暗くなり、落葉の宮の演奏も終わると夕霧は、

「あまり夜更けまで過させていただいたら、亡き人のお叱りを受けよう
                     いとま
   かと気が咎めますので、もうお暇しようと思います」 という。

すかさず、「今宵のような風流は、亡き人もお咎めになりませんわ」

と一条御息所がいい、贈り物に横笛を渡してくれた。

終楽章のタクトの先にひかるもの  大田のりこ

「この笛はまことに古い謂れが伝えられているのですが、

   このような草深い家に埋もれているのも、哀れですから」

夕霧が笛を受け取ってみると、柏木が肌身離さず愛用していたものである。

「私自身もこの笛を十分の音色で吹きこなすことができない。これを

   大事にしてくれる人があったら、ぜひ伝えたいと思っているのです」


と言っていた、柏木の言葉が思い出される。

夕霧はひとしお胸に迫る思いで、その笛を吹いた。

さっきから秋の微音を聞いている  雨森茂喜

その夜のこと、夕霧の夢に生前の姿のまま、柏木が現れ、

「私がこの笛を伝えたかったのは、あなたとは違うのですよ」 という。

「それは誰なのですか」と言おうとしたとき、

傍らに寝ていた子供が泣き、
夕霧は夢から目覚めた。

そして夕霧は、ついさっき見た夢を思い出す。

この笛はあなたに伝えるものではないと、

たしかにそのようなことを柏木は言った・・・誰のことだろう。

夕霧に思い当たることがあった。

この笛は実に厄介だ。

わざわざ一条御息所が謂れのあるものとして下さったのを、

すぐに寺に寄進するわけにはいかず、父・源氏に相談することにした。

鍵穴の回る角度で秋を知る  合田留美子

源氏は明石女御の部屋で落葉の宮と薫をあやしていた。

夕霧は薫をそのとき、はじめて見た。

色白で肌がつやつやしていて気高く、美しい。

夕霧は柏木と女三宮のことを疑っていた。

死ぬ間際に柏木が自分に伝えたかったのは、そのことではないか。

そう思って見るせいか、薫はやはりどこか柏木に似ている。

源氏が東の対に渡るので夕霧もついていき、昨夜の夢の話をした。

源氏はすぐには何も言わずに、しばらく考え込む様子だった。

痩身の鶴気高さと切なさと  井上恵津子


 夕霧と落葉の宮

やがて源氏がおもむろに口を開く。、

「その笛は、私のほうで預からなければいけないわけのある品です。

   あれは陽成院の笛なのです。

  それゆえ、故式部卿宮が大切にしていたのを柏木が子供の頃から

   際立って上手に吹き鳴らしていたものだから、それに感心して、

   贈られたものです」

そう言いながらも源氏は、たぶん夕霧は勘付いたのではないかと思った。

夕霧は父の表情をうかがいながら、今思い出した風に、

「そう言えば柏木がいよいよ臨終のとき、妙なことを言ったのです。

    六条院(源氏)に申し訳なく思っていることをくれぐれも伝えてくれと、

    繰り返していました。いったい何のことか、腑におちなくて」 という。

源氏は案の定と思ったが、

「何のことかわからない」 と逃げた。

それからを話せば白いものが舞う  河村啓子

【辞典】 平安時代の時間

到仕(ちじ)ー官職を辞すること。到仕大臣は引退した大臣。
想夫恋ー舞を伴わない雅楽で、男を思慕する女心を表す曲。

 平安時代の時刻の表し方。1日を6ッに分けた六時では、
晨朝(じんちょう)-午前6時頃 日中ー午後0時頃 日没ー午後6時頃
初夜(そや)-午後8時頃 中夜ー午後0時頃 後夜ー午前4時頃
 1日を12に分けた12時では、今でもおなじみの12支を使って、
子(ね)を午前0時頃として、以下、2時間ごとに、
「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」 と表した。
平安時代ではすでに深夜2時頃を「丑三つ時」と言っていた。

脳の奴三百六十五連休  ふじのひろし

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