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川柳的逍遥 人の世の一家言
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小さくアクビする二人のそれから  雨森茂喜


蹴鞠を楽しむ柏木と夕霧/そして猫が

小松原 末のよはひに 引かれてや 野辺の若菜も 年もつむべき

小松原のような将来のある姿にあやかって、
野辺の若菜のように、
私もきっと長生きすることでしょう。


「巻の34 【若菜上】」

朱雀院が出家を決心する。

源氏の兄である朱雀院は、六条への行幸以来、病気がちで、

せめて人生の最後は、仏門にと考えてのことだった。

でも気がかりは、藤壺が遺した愛娘の女三宮

朱雀院は多くの子供たちの中でも、この女三宮だけをとりわけ溺愛した。

自分が出家したあと、女三宮は後見もないまま、いったいどうなるのか。

女三宮はまだ13,4歳だがしっかりと面倒を見てくれる婿はいないかと、

朱雀院は候補者選びに苦慮を重ねていた。

雨雲になってあなたを困らせる  中野六助

そこに思いついたのが、光源氏だった。

紫の上がいても、自分の娘なら身分は彼女より、かなり上、

そして、今をときめく源氏ならば安心して、

娘を任せられると思ったのである。


源氏は朱雀院の内意を伝えられ、いったんは辞退する。

だが源氏の心のどこかに、まだ暗い情念の炎がくすぶっていた。

女三宮は死ぬほど恋焦がれた藤壺の宮の姪である。

しかも、器量が人一倍優れているという評判である。

源氏の心は動いた、が、心のどこかに引っ掛かりがあり気分が重かった。

自分一人を全てと思い、ずっと連れ添ってきた紫の上のことが気にかかる。

すべてを投げ捨て、新しい恋に生きるには、もう若くないのだ。

もうクイズになった日だまりの会話  和田洋子

そのうち身体もめっきり弱ってきた朱雀院は、先に出家。

女三宮の裳着をすませ、出家した朱雀院を見舞った折、

朱雀院は無理を承知で娘の後見になって欲しいと直接、源氏に申し出る。

そうなっては源氏も無下に断ることもできず、女三宮の後見を承諾した。

紫の上も朱雀院の婿選びの話をうすうす耳にしていたが、

まさか源氏が承諾するはずはあるまいいと、気にかけていなかった。

源氏はその日、紫の上の様子がいたわしく、どうしても言い出せなかった。

翌日、雑談に織り交ぜて、ことの次第を紫の上に報告をする。

ニンベンもリッシンベンも折れやすい  佐藤美はる

紫の上は高貴な人が妻に迎えいれられたら、自分はどうなるのか。

でも気丈に振る舞い、源氏を気づかう様子までみせる。

紫の上は、ことの深刻さを十分受け止めていた。

だからこそ、取り乱すわけにはいかない。

今までは秋好中宮といえども、紫の上には一目置いていた。

六条院の女主として、事実上の正妻の地位にいた。

だが、皇女である女三宮とでは身分が違いすぎる。

源氏はこれまでにも増して、こんな紫の上を愛しく思い、

「どうか、新しくやってくる女三宮とも仲良くやってほしい」

と頼むのだった。

カタカナ語お湯で戻してから喋る  森田律子


  玉鬘 若菜を贈る

新年を迎え源氏は40歳。

玉鬘がお祝いの席で食べる若菜を贈ってきた。

玉鬘が主催した源氏40歳の祝賀会が盛大に行われた。

玉鬘は髭黒との間に2人の子をもうけ、今はすっかり落ち着き源氏を祝う。

さらに紫の上、秋好中宮、冷泉帝の命令を受けた夕霧と、

他の3人が主催の40賀が開かれ、この年は合計4回、お祝いを受けた。

祝賀会の合間に、女三宮はやってきた。、

最初の三日間、源氏は女三宮と枕をともにする。

でも幼さに退屈するばかり、三日目には明け方早くに紫の上の所に戻る。

源氏が戻ると紫の上は、涙に濡れた袖をそっと隠した。

紫の上は源氏の抱擁を拒む、先刻まで女三宮と夜を過した源氏から、

今さら愛撫される屈辱には、耐えられなかった。

よそよそしくなったあの日のあの言葉  能勢良子

女三宮はいたって無邪気で、痛々しいくらい幼い。

まるで召し物のなかでうずくまっている感じで、体つきも弱々しい。

源氏に対しても、特に恥ずかしがるというわけでもなく、

幼子が人見知りしないといった有様である。

源氏はどうしても紫の上と比べては、溜め息をついてしまう。

朱雀院が西山に籠もると、源氏は紫の上と女三宮との板挟みの重圧から

逃れるように、里帰りしていた朧月夜に忍んで、久しぶりの再会を遂げた。

でも紫の上はそれもお見通し。

次第に源氏と紫の上の間に、どうにもならない溝が溝が生まれていく。

それはもはや埋めるべくもなかった。

分水嶺らしい雲海の真下  長島敏子

一方、入内した明石の姫は、今は東宮妃となり明石女御と呼ばれる。

早くも懐妊の兆しがあった明石女御が、里帰りして六条に戻ってきた。

紫の上にとって、明石女御は実の娘以上である。

幼い頃から手塩にかけて育ててきたのだ。

明石女御も紫の上を誰よりも慕っていた。

紫の上は明石女御に優しく話を交わし、さらに女三宮とも対面する。

女三宮は幼い様子なので、気兼ねもいらず、紫の上は母親のような態度で、

昔の血筋のことなど、自分の幼い日のことなども話した。

女三宮はなるほどお優しい方だとすっかり打ち解け、馴染むようになった。

この日以後、、2人がわだかまりもなく、付き合いはじめたので、

いつの間にか、悪い噂もたたなくなっていた。

源流は汚れを知らぬ一雫  菱木 誠


源氏 朧月夜に会う

年が替わって三月、明石女御は、東宮の男子を出産、

順調にいけば、帝になる運命の子である。

知らせを受けた祖父の明石の入道は、これで自分の夢は叶ったと、

深山に入り俗世と縁をきる覚悟を決め、これまで長年の間、
                    がんもん
願いを書いて神仏に奉ってきた願文をまとめ、明石の君へ送る。

明石の君はその手紙を明石女御に授ける。

明石女御は涙ながらにそれを受け取るのだった。

幸せな人からもらう長い文  新川弘子


柏木 女三宮を見る

同じ3月の頃、六条院に来ていた夕霧や柏木たちが蹴鞠を楽しんでた。

うららかな日和である。

少し疲れた夕霧と柏木が階段に腰をかけて休んでいると、

猫が一匹、
女君たちのいる部屋のほうに逃げていき、

御簾の紐をひっかけめくってしまう。


部屋の中は、几帳も寄せられていて丸見えになる。

柏木は、そこに女三宮の姿を見てしまう。

じつはこの柏木、玉鬘が姉とわかって求婚を取り下げてから、

女三宮の噂を聞き秘かに思いを寄せていたのだ。

今は源氏の妻となっているが、紫の上ばかりで源氏には、

女三宮など眼中にないと聞く。

柏木は女三宮の姿を見たことを運命と感じ、恋慕の情を深めていく。

おいしくはないが私を召し上がれ  みぎわはな

【辞典】  長寿を願う行事 (若菜と小松引き)

「若菜」とは新春に芽生えたばかりの草のことで食用になるものを指す。
当時は、この若菜を羹(あつもの)という吸い物などにして食べることで
長寿を願う風習がありました。

若菜は病気を起こす邪気を取り払ってくれると考えられていたのです。
だから玉鬘はこれを源氏に進上し長生きをしてくださいとの思いを伝えた。
「小松引き」も長生きを願う行事の事で、新年の一番初めにくる子の日に、
野原に出て、小さな松を引き抜いて遊ぶという行事。
「若菜さす 野辺の小松を 引き連れて もとの岩根を 祈る今日かな」
これは若菜に添えて、玉鬘が育ての親である源氏に贈った和歌です。

すがりゆけばやさしく注ぐ観世音  安土理恵

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