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川柳的逍遥 人の世の一家言
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君は日の子われは月の子顔あげよ  時実新子

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将軍・秀忠を訪ねてきた御台所・お江

≪大奥が完成するまでは、比較的に自由に将軍の部屋を行き来していた≫

「竹千代と国松」

お江秀忠との間に、二男五女を儲けた。

秀忠が家康から、「徳川家の世継ぎ」に指名されて、

将軍の座についたため、

秀忠の子として、生まれてくる男の子は、

徳川家将軍の座が、約束されることになったが、

それは悲劇の始まりでもあった。

お江が男の子を2人産んだことで、それも年が若かった分、

3代将軍の座という、

「後継者争い」が勃発したのである。 

決闘に挑む女は赤を着る  片岡加代

 

長男の幼名は、竹千代。 

後の3代将軍・徳川家光だ。

二男は、国松。 後の駿河大納言徳川忠長だ。

偶然にも、豊臣秀頼が、千姫以外の女性との間に儲けた、

男の子の名前も、「国松」だが、

豊臣家滅亡後、秀頼の忘れ形見の国松は、

京都の六条河原で、処刑されている。 

≪この国松は、茶々の孫にあたるが、お江の子供の国松も、

   家光との戦いに敗れ、お江の死後、悲運の死を遂げている≫

 

産道で会ったはずだとじっと視る  湊 圭史

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忠長使用硯箱(千姫から贈られる)

慶長11年(1606)に、お江は国松を生む。

2人の男児の親となったお江は、 

竹千代よりも、国松を愛した。

 

国松の方が、利発だったらしいが、

お福にとり、お江の寵愛ぶりは、

心中穏やかではなかった。

鬼の目がときどき水を溜めている  たむらあきこ

秀忠も、お江に引きずられる格好で、

国松をかわいがり始め、その分、 

「竹千代が粗略な扱いを受けている」

 

と、お福の目に映っていたからだ。

家臣たちも、秀忠・お江の様子を見て、 

「国松が竹千代に代わって、

  跡継ぎに据えられるのではないか」

 

と噂していた。 

ジェラシーを内ポケットにひた隠す  新川弘子

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忠長使用・葵紋入り酒の燗鍋

 

当時、竹千代と国松は、本丸御殿で生活していたが、

ちょうど、ふたりの部屋が向かい合う形で、並んでいた。

ふたりに側近く仕える近習の者たちは、

夜になると、

それぞれの部屋に、参上する決まりだったが、

国松の部屋に出向くときは、

お江からの命令ということで、いつも夜食を持参していた。 

温度差がある手のひらと手の甲と  嶋澤喜八郎

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  忠長使用・銚子

 

ところが、竹千代の部屋へ出向くときは、

夜食を持参しなかった。

お江からの指示がなかったからだが、

これでは家臣たちが、 

「国松こそが、跡継ぎになるのでは」

 

と思うのは当然だろう。

国松が家臣たちから、秀忠の跡継ぎのように扱われる一方で、

竹千代の影は、薄くなっていった。

逢いたいと青いポストに入れたとて  森中惠美子

そもそも秀忠は、

徳川家の跡継ぎとして、生まれたのではなかった。

三男である。

家康の長男・信康は、

織田信長と敵対する武田勝頼との内通を疑われ、

秀忠が生まれた年に、自害に追い込まれていた。

次兄にあたる秀康は、なぜか家康に疎んぜられていた。

実質、人質という形で秀吉の養子に出され、

その後、下総の国の名門・結城家の養子に入り、

結城秀康と名乗っていた。 
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横向いたまんまで月が痩せてゆく  森田律子

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3代将軍・家光(東京大学史料編纂所所蔵) 

≪父と母が忠長を溺愛したこともあり、家康を敬愛した≫
 

こうした徳川家の、家庭事情からすれば、

長男に生まれたからといって、

竹千代が、跡継ぎの地位を保証されたということには、

決してならない。

そして、未だ群雄割拠の時代である以上、

何と言っても、器量が優先される。

となれば、秀忠が、利発と判断した国松が、

跡継ぎに据えられる可能性は、

十分あったはずだ。

肝心なときにないのがピンセット  合田瑠美子

478c19ac.jpeg     56f69947.jpeg

 

大河ドラマ・「お江」-第40回-「親の心」  あらすじ

久しぶりの対面で、秀頼(太賀)が、 

「油断ならぬ器量を備えている」

 

と知り、家康(北大路欣也)は、

自分の目の黒いうちに豊臣家を滅ぼすと決める。

最後の大勝負に向けて、気力充実の家康、

精力的に指揮しはじめた。 

黒だったから目だたなかったのねきっと  山本昌乃

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一方、秀忠(向井理)は、

「徳川と豊臣が並び立つ形での太平を、
いかにして実現するか」

答えを見つけられないでいた。

だがその間にも、豊臣との戦の準備は着々と進んでいく。

秀忠が

「家康のやり方に不満をだいている

と悟った正信(草刈正雄)は、 

「ご自分の考えをお伝えされては」

 

と提案するが、秀忠は、 

「親父が耳を貸すわけがない」

 

と半ば諦め気味で、

秀忠と家康の関係は、相変わらず冷めていた。 

あのドアの向うに置いてある答  清水すみれ

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一方、江は、

8歳になった竹千代(水原光太)との関係に悩んでいた。

福(富田靖子)は、相変わらず竹千代につきっきりで、

江は竹千代に近づくことすらままならない。

ときどき顔を合わせても、

竹千代は福の側を離れず、

江もぎこちなく、声をかけることしか出来ないのだ。 

ためらいを見せて足音遠ざかる  山田葉子

 

そんな江にとって、救いは次男の国松(松島海斗)だった。

聡明で朗らかに育った国松は、

幼いながらも、悩む江の気持ちをくみ取り、

いたわりの言葉をかけてくれる。

江はおのずと、国松を可愛がるようになっていた。

転がったリンゴ泣きべそかいている  泉水冴子

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そして秀忠も、

素直に成長した国松に、目をかけていた。

子どもと触れ合うことの好きな彼にとって、 

「剣術の稽古をつけてほしい、相撲をとってほしい」

 

と求めてくる国松の態度は、うれしいもの。

いっぽうの竹千代は、

病弱なこともあり、そうした積極性が見られず、

武将として、かよわ過ぎると感じていたのだ。 

大つぶの涙ファイルの中の染み  オカダキキ

 

そのころ、江戸城内で、「世継ぎは、国松様

という噂が飛び交いはじめる。

秀忠・江の息子たちに対する思いが、

周囲に伝わった結果、
生じた噂だった。

大姥局(加賀まり子)は、噂の火消しに躍起になるが、

人の口に蓋をするのは、なかなか難しい。 

生きるってがらくた増やすことなのね  八田灯子    

一方、「世継ぎは当然、竹千代様

と考えていた福は、日増しに大きくなる噂に焦りを感じ、

ついに思い切った行動に出る。

駿府の家康を訪ね、 

「竹千代が滞りなく家督を継げるよう取り計らってほしい」

 

と訴えたのだ。

善か悪かもうすぐ火の鳥を生む  板野美子
 

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