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川柳的逍遥 人の世の一家言
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あなた好みにG線上に溶けてゆく  田口和代


傷心の浮舟を思う中将の君

さしとむる 葎(むぐら)やしげき あづまやの あまりほどふる 雨そそぎかな

雑草が生い茂って、簡単には入り込めない東屋。
こんな場所であまりにも待たされ、雨に濡れてしまったことよ。

「巻の50 【東屋】」

浮舟の母である中将の君は、の尼からの希望を伝え聞いたが、

あまりにも違う身分ゆえに、本当のこととも思えず、

浮舟の婿に左近少将を選んだ。

ところがこの左近少将は、常陸介の財産が目当てだったので、

浮舟が継子だと知るや否やいきなり 破談にして、

浮舟の妹である常陸介の実子に乗り換えてしまう。

浮舟を不憫に思った中将の君は、暫く中君のもとに預けることにした。

妥協することを知らないボタン穴  合田留美子


浮舟に言い寄る匂宮

中君は戸惑うが、異母とはいえ不憫な妹でもある浮舟を放っておけず。

邸の人目の触れないところに住まわせることにした。

ある日、浮舟が中庭の花を寛いで眺めているところに、匂宮

「私の邸にこんな美しい娘がいるとは」と言いながらやってくる。

好奇心が強く多情な匂宮は、
この機会をはずすまいとするように、

屏風を押しあけ、ズカズカと室へはいって来た。


そして「あなたはだれ。名が聞きたい」と言い、迫ってくる。

匂いから噂に聞く大将なのかもと思ったが、浮舟は恐ろしさを感じた。

「まあァ どういたしたことでしょう。けしからぬことをあそばします」

宮とも知らない浮舟の乳母が無礼な男を物凄い形相で睨みつける。

が宮は、
「だれだと言ってくれない間はあちらへ行かない」

と言い、なれなれしく浮舟に擦り寄ってくる。

浮舟は恐ろしさと緊張とで汗びっしょりだった。

群れてみますか脈拍が足りません  前中知栄

そんな所へ宮中からの使者が、明石中宮の病気の知らせを持っててくる。

匂宮は諦めざるを得ず、その場を去り、浮舟は危機を脱出する。

話を聞いた中将の君は驚いて、浮舟を三条の隠れ家に移すことにした。

この出来事もあり中将の君は、二人の貴人を比較して見る。

芳しい美貌の匂宮ではあるが、憧れの意識を持つことはできない。

娘を侮って無法に私室へ入ってくる方であると思うと、腹立たしい。

一方、薫は娘に興味を持っていながら、素知らぬ顔で本音を隠している。

それは残念なことだが筋を外さない立派な人だと、薫の方に好感を持った。

しかし若い浮舟は、匂宮の方に心を傾けるだろうと思うのだった。

哀しみに音あり淡い彩のあり  嶋澤喜八郎


隠れ家の浮舟と薫

一方、宇治では御堂が完成し、山荘の改築も済む。

そこを訪れた薫が弁と話していると、浮舟が自分の邸に近い三条に

移り住んでいると聞かされる。

薫は、弁にその隠れ家にいくよう要請する。

薫の手配した車で隠れ家に弁が行くと、心細い思いをしていた浮舟も、

顔見知りの弁の顔を見て気持ちがやわらげる。

その日の夜、宇治からの用事で来たと言って、秘かに門がたたかれた。

弁は薫だろうと思い、門をあけさせると、車はずっと中へ入って来た。

薫は弁を呼び浮舟へ取り次がせる。

弁は無下には出来ず薫を浮舟の部屋の方へ招くと、決意をしていた薫は、

そのまま浮舟の部屋に入り込み、新枕を交わしてしまう。


その後、薫は三日間の結婚の契りをむすんでしまうのだった。

そして朝ぷいと他人で出るホテル  上田 仁


 浮舟 宇治に着く

翌朝、薫は浮舟や弁を引き連れて宇治に向う。

薫は、その人(大君)でない新婦を宇治の山荘に伴って来たことを、

この家に泊まっているかもしれない故人(八の宮)の霊に恥じたが、

こんな風に体面も思わぬような恋をすることになったのは、

誰のためでもない、
昔、いわゆる大君が忘れられないからではないか、

などと考え
家へ入ってからは、新婦を労わる気持ちでしばらく離れていた。

その浮舟は自然の川をも山をも巧みに取り扱った新しい山荘の庭を眺め、

昨日までの仮住居の退屈さが、慰められるのだった。

が、薫は
自分をどうしようとするのだろうと、その点に不安を感じていた。

泣いているくせに何でもないなんて  嶌清五郎

薫は、さてこの人をどう取り扱うべきか、

今すぐに妻の一人としてどこかの
家へ迎えて住ませることは、

世間から非難を受けることにもろうし、


そうかといって他の侍妾らといっしょに 女房並みに待遇しては

自分の本意にそむくなどと思われ、心を苦しめていた。

が、当分は山荘へこのまま隠しておこうと思う結論に至る。

心象風景の中で蝶と戯れる  笠嶋恵美子

【辞典】 金持ちの受領

浮舟との婚約を破棄した左近少将は、その実家の財産が目当てだった。
実子でない浮舟との結婚では、自分に財産が回ってこないと考えたのだ。
ではなぜ、常陸介はそんなにお金をもっていたのだろうか。
常陸介は常陸の国を統括する責任者である。
諸国の行政を司るこれらの人は、
受領と呼ばれ各地で主に税の徴収をする
職にあるから、自分の才覚で、
民衆から税をかき集め、私服を肥やすことが
できたのである。

しかし、この常陸介は財力はあっても、学問や文化は身に付けていない人物
であったため、
風流なところを見せようと、財力にまかせて、見栄えのいい
女房を呼び寄せ
楽器や調度などを、やたらと沢山集めている。

子沢山の娘たちの部屋には、そんな調度が山のようにある。
左近少将に浮舟との婚約破棄を許し、代わりに実子の娘を嫁がせたのも、
左近少将
が帝に可愛がられているという言葉を愚直に信じ、金があっても、

足りない肩書きが、欲しかったためなのである。

痩せたイグアナはガラパゴスへ帰る  井上一筒

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