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川柳的逍遥 人の世の一家言
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おちょぼ口から飛び出した減らず口  井上一筒

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「仁川艦鯛の一網」

『 やあ、旨い旨い。見込みどおりここに敵艦鯛(隊)がいたぞ。

 いくら手前が尾に鰭をつけて、高慢ちきに跳ね繰り回っても、

  おれに敵対するような不埒なやつは、

  みんなこの闘(投)網をぶっかぶせて、

   残らずとっちめてくてるのだ・・・

   おやおやこいつ生意気に手向かいするのか・・・

   是れーツ(コレーツ)我りやァ苦(ワリャーク)、

   よく聞け、そんな無鉄砲の見当違いじゃ到底だめだから、

    ここでじんじょうに打たれてしまえ 』

喉ごしはソフト左手に果し状  和田洋子

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        「逃露逃露」

『一気闘戦(一騎当千)の日本水兵が、

  腕によりをかけて、露艦に向かい、

  「鶏を割くに牛刀を用いずと言うが、

   鷲(わし)の軍艦をぶっつぶすにやぁ、おれ一人でもたくさんだ。

   ベーロシアでもジャンケンポイでも何でもこい。

   この鉄拳をふるって、片っ端から滅茶滅茶にやっつける。

   敵艦は肝を潰して、たいていぶくぶくと沈んでしまったが、

   その残りの敗艦は旅順口をさして、

    逃露逃露(逃げろ逃げろ)とかけ込んだ。

逃げ足は左の方と決めている  河村啓子

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      「小癪ッ危兵」

『 おれのことを日本では、小癪ッ危兵だの虚弱兵だのと

   いっているそうだが、何とでもいうなら勝手にいうがいいさ。

   いくら海軍が手も足も出なくなったからとて、

   おれたちの陸兵までが、

   そうドシドシと横っ腹を打ち抜かれてたまるものか。

   右から来れば剣で防ぐ、左から来れば槍で受ける、

   前から来りゃ鉄砲がある、後ろから来りゃぁ・・・

   はてな、そうなってみると背中にも 二、三本手が欲しくなった 』

諍いのダマポッカリと浮くシチュウ  岩根彰子

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