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川柳的逍遥 人の世の一家言
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みくびった雑魚に根幹握られる  上田 仁


無防備に城を攻める徳川隊

上田城は、東を向いた大手口から直線的に三の丸、二の丸、本丸と門が
いており、攻撃する際に正面から突入したくなるような縄張りになっ
ている。
本丸に兵力を集中し、狭隘な二の丸へ殺到してくる敵勢を激撃
することで、
相当の犠牲を強いることが出来るだけでなく、敵の後続部
隊がひしめき合
って押し出してくるので、前衛部隊は逃げ場がなくなり、
大混乱に陥るのは
必至という構造に作られている。


「第一次上田合戦」

当時、真田家の領地は上野国の沼田と信濃国の上田周辺にあり、

合わせてもせいぜい7万石程度。

それに対して徳川家は三河、遠江、駿河、甲斐、信濃を領し、

石高は軽く100万石を超えていた。

当然、戦になった場合に動員できる兵数にも大きな開きがある。

ということで、徳川方は真田の戦力を完全に侮っていた。

肋骨に響くハイエナの笑い  森田律子

天正13年(1585)7月、弱小勢力と考えていた昌幸が徳川方から離反し、

上杉方へ走ったことに激怒した家康は、8月になると、

昌幸が籠もる上田城攻略のため約7千の兵を派遣した。


上田城は建設途上だった上に、資金や労働力を徳川方に頼っていたため、

城の情報はすべて徳川方に筒抜けであった。    

楽勝ムードで上田城に迫る徳川の大軍に対し、

真田は2千ほどの兵力しか動員できない。

そこで昌幸は、さらに徳川の将兵が侮るように、

籠城戦でもっとも有効な神川の防衛線をあえて放棄する。

徳川軍は刈田や城下に火を放つといった功城戦の基本を行なうこともなく、

ただ漫然と北国脇往還を進軍。    

建設途中の城下町を抜け上田城本丸を目指した。

鴨川を逆流させる押しボタン  井上一筒


    激 突
赤い六文銭の旗が真田隊VS白い葵紋が徳川隊。

対して昌幸は嫡子・信之を戸石城、矢沢頼綱を矢沢砦に配置し伏兵とした。

わずか2千の兵をあえて分散したのは、

昌幸には、最初から長期籠城戦に持ち込むつもりはなかった。

ただひたすら進軍する徳川軍が上田城の惣構えに入ると、

農民兵による抵抗はあった。

だが徳川軍は物ともせず、すぐに蹴散らしてしまう。

真田隊は断続的に攻撃こそ加えるものの、緩やかに後退。

「さすがの真田も怖気づいたか・・・」

すっかり調子づいた徳川の将兵は勢いにのり、

一気に本丸正面まで押し寄せた。

夕暮れの壁一枚を突破せよ  中野六助

本丸には真田家臣団はもちろん、城下の農民や町人までもが集結し、

銃弾や石礫をあびせ、丸太,大石、沸騰した油を頭上から落とした。

徳川勢はたちまち混乱陥るが狭小な二の丸には、逃げ場がない。

退却しようにも、徳川方の部隊は縦に長く伸びていたため、

この状況を知らない後続部隊が続々と後ろから押してくる。

逃げ場を失った徳川の将兵は極度混乱に陥った。

やっと逃げおおせると、城下には火が放たれ、

いたるところに伏兵が潜んでいた。

みえも誇りもない阿吽の下地  神野節子


 神川の策略
神川に仕掛けた水止めの堰を切る。

戸石城からは信之が手はず通り、大通りで待ちかまえ、

退却してきた徳川勢に猛攻撃を加える。
でうらまさすけ
出浦昌相佐助は神川の上流で待機し、

敗走してきた徳川勢が川を渡り始めると、流れを止めていた堰を切った。

鉄砲水によって多くの兵が流され、残った兵は退路を断たれて、

次々と真田に討ち取られた。

敵を狭隘な場所に引き付け、退路を断って一気に叩く。

この周到かつ巧みな戦術で、真田は見事に徳川勢を撃退した。

結果、徳川勢は1300もの戦死者を出し、

片や真田勢の犠牲者はわずか40名ほどだった。

モーゼの海が割れて正解食べている  板倉美子

後に「第一次上田合戦」と呼ばれるこの戦いに参加した徳川方の武将は
ちかよし
鳥居元忠、大久保忠世、平岩親吉という家康股肱の臣たちであった。

みな戦下手な人物ではなかったにもかかわらず、

昌幸の老獪な策に翻弄されてしまったのである。
                ただたか
この戦いに参陣した大久保忠教は、自軍の将たちの不甲斐なさを、

「悉く腰が抜けはて」「震ゐまわりて物もゆわず」
がいたん
「下戸に酒を強いたる風情なれば力なし」と慨嘆したとある。(三河物語)

そしてこの戦いで、

秀吉ですら苦戦を強いられた徳川軍を撃砕した昌幸の
武名は、

一躍天下に轟き渡り、独立大名としての地位を確立した。


雑魚でいるうちに見ておく裏表  竹内いそこ

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