足並みが揃う 止められないだろう 八上桐子
御着城絵図
「青山・土器山の戦い」
御着城主・
小寺政職と敵対する龍野城主・
赤松政秀が、
三木城主の
別所安治と手を組んで挟撃をしかけてきた。
兵力に圧倒的に差があるため、官兵衛は、
当時の小規模な姫路城に籠城しては、何日も持たないと即断。
そこで官兵衛は、僅か300人の兵を連れて、
城の西方約4キロに位置する青山の地に伏し、
姫路城を攻めようとした3000人赤松軍に奇襲攻撃を仕掛け撃退した。
「青山・土器山の戦い」 の始まりである。
ドブ板を鼬になって越えて行く 井上一筒
政職は手柄を立てた官兵衛を称賛し、
「これで赤松氏も攻めてこない」 との見解を示した。
ところが官兵衛は、もう一度攻めてくると考えていた。
赤松氏が将軍・
足利義昭に供をするという大義名分を得て、
兵を集めていたからだ。
案ずる官兵衛に対し政職は楽観的に構え、再度攻めてきたときは、
「自ら出陣して蹴散らしてくれるは」
と息巻くのだった。
そんな政職に不安を感じながら姫路に戻った官兵衛は、
父・
職隆や叔父・
休夢らと赤松氏の対処を考える。
先の負け戦を恨む赤松氏は、
恥辱をすすぐため再び攻めてくると確信しているからだ。
たちぎわにそっと足もとみる男 八木侑子
千石池
青山の戦いでの落武者の首が沈むという。
案の定、
「やられたままでいるわけにはいかない」と考える政秀は、
翌月に3000人の兵を再び率いて小丸山
(青山)に本陣を敷き、
土器山に布陣していた黒田軍を夜陰に紛れて、
奇襲をしかけてきた。
官兵衛たちは必死に防戦するが、
奇襲に脅えた政職は御着城に逃げ帰ってしまう。
姫路城を守るためにも、黒田勢だけで持ちこたえようとした。
しかし、黒田勢は次第に追いつめられ、
官兵衛の叔父・
井出友氏や
小兵衛らが戦死するなど、
甚大な被害を受けた。
前のめりふと足元を見失う 合田瑠美子
「奇襲を受けたその日の夜、すぐに奇襲返し」
職隆や英賀城主・
三木通秋などの援軍による怒涛の攻撃で、
疲れのみえる赤松軍をおしこんでいく。
なんとか陣を立て直した官兵衛は、
守勢に入れば勝ち目はないと判断し、
「進みて禦ぐべからざるは、その虚をつけばなり」 【孫子】
(油断しているときに攻めれば、敵は防ぐことができません)
その日の夜に赤松軍の本陣・小丸山を
強襲することが決議された。
匕首の流儀は俺様の流儀 居谷真理子
黒田軍が奇襲を仕掛けたのは、
赤松軍が勝利の美酒に酔っている時だった。
勝利に慢心していた赤松軍は虚をつかれて敗走し、
官兵衛は勝利を手にしたが、この強襲の際に、
重傷の身を押して出撃した
母里武兵衛など、
多くの股肱の臣を失ってしまう。
終止符のそばにいるのは傘でしょう 菊池 京[3回]
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