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川柳的逍遥 人の世の一家言
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ラの音が続くここでもあそこでも  宮井いずみ






            夜の王朝政治


10世紀ころまで政治は、朝に行われていたが、夜の公事が増えてきた
ことと。執政の場が天皇の日常居所が内裏に移ったため、会議も天皇の
生活に合わせて清涼殿や陣座、時には、後宮の殿舎で夜に行われた。
図は、仁寿殿における献詩披講後の宴で松明をかかげるのは近衛の舎人
たち。



まもなくはじまるドラマ「紫式部の光る君へ」の前に、--------紫式部
生きた時代へ、画像とともにタイムスリップiいたしましょう。
紫式部が生きた時代━
平安時代の貴族たちは、官位があがるたびに給料も上がり、大臣クラス
では、今のお金に換算して年収が1億円ほどもあったという。
有力な貴族たちは大きな邸に住み、豪華な衣服を着、贅沢な食事、また
占いや迷信を信じ、祟りを怖れた。





             陣座

座から東へ渡り廊下を行くと紫宸殿につながる。この紫宸殿に近いこと
から9世紀半ば以降、陣座は、公暁審議の場となった。




さらに正月の朝賀にはじまり、追儺(ついな)で終わる宴や年中行事は、
46回も行われた。いつ政治をしているのだろうと勘ぐってしまうほど。
また余暇には、恋に風雅にと身をやつした…時代なのであります。




今日もまたあやとりしりとり三輪車  和田洋子




光る君へー王朝貴族のライフスタイル





                                   源氏物語図屏風 断簡





① 平安美人とは
光源氏のハートを射止めた平安美人の多くは、眉毛を抜いて、白粉を塗
りたて、ぽってりした眉を描き、歯にはお歯黒、口元にはぽちっと紅を
さし、濡れたような黒髪の持ち主。ほの暗い寝殿造の室内で、ほんのり
浮かび上がり、貴公子の心をぐっと惹きつけて恋を射止める。





           恋 の 舞 台





② 雅な恋の舞台
殿方が愛しい姫の寝所に入るまで、長い道のりがある。
文や和歌で心を開かせ、お付きの女房を懐柔して、当時の住宅である
寝殿造りの簀子(すのこ)から廂(ひさし)、そして母屋へと日ごと
に近づき、やっとお簾のなかに入ることを許された。





少し時間下さい胸をうずめます  太田のりこ



 


          貴族の食事   考証・樋口清之





③ てんこ盛りの御馳走に
食膳には、蒸したこわ飯をこんもりと高盛にして、副菜も品数と量がた
っぷり。宴の食事ほどその傾向は強く、おもてなしとして並べられた。
はたして美味しかったのだろうか……少しの疑問も。






          興車図考附図





④ 恋の本気に競い合う車
上流貴族ともなれば、カスタムメイドの牛車を多数持ち、見栄と個性に
拘ったその造りは「動く寝殿造」と評されるほど。
牛車を見れば、その持ち主の身分やセンスが分った。
一つの恋に貴族も物入りで大変だったのである。




錆止めを塗って真面目に生きてます  谷口 義






           催馬楽(さいばら)

宴会では杯を片手に詩歌を吟じ、催馬楽(平安時代の宴歌)を歌い踊った。





⑤ 婿取りの大わらわ
新枕から数えて3日目の夜、将来有望な婿を得た舅は、盛大な宴を開い
て婿のお披露目をする。 
妻側の縁者や知人たちと婿とが、一緒に膳を囲み、婿側は、両親は参列
しないが、婿の衣装、結婚費用などすべて、妻の家が用意した。 
娘を持つ親は、今も昔も変わらず大変なのだ。





           住吉物語絵巻





⑥ 将を射んと欲すれば
姫君の評判を高めるのも、姫君に届く恋文をまず受け取るのも女房
恋文の代筆までもした。
男君もお目当ての姫君の女房に贈り物をしたり、かりそめの恋をしかけ
たり、恋の行方は女房次第だった。




重力を受け止めきれません右手  森井克子





      




⑦ 父も歩いた恋の路
まだ明けやらぬころ、愛の余韻あふれる「後朝(きぬぎぬ)の別れ」
時が訪れる。 男君は家に帰り着き、女君へ恋文を出す風習があった。
そして、その文を、女君の父親が読むこともあった。
やはりこの時代の父親も、娘の恋の行方が気になったのである。





        落語家と姫には扇が必需品





⑧ 扇の役目
深窓の姫君は、見知らぬ男性に見られまいと、扇で顔を隠した。
その仕草がまた、男君の心をいっそう惹きつけた。
恥ずかしいやら作戦やらで使う扇は、当時の姫君の必需品だった。





夢のつづき見たくて飛ばすシャボン玉  柴辻踈星





    源氏物語絵帖 末摘花





⑨ 垣間見てから------恋心
美しい姫君が住むという噂に惹かれて、姫君の邸を訪れ噂を確かめたい、
またお近づきになりたいと、垣根の間から覗き見する。
そこから恋しい恋しいが始まる。紫式部はそれを「末摘花」と名付けた。






          医 心 方





⑩ 医は仁術
日本最古の医学書に『医心方』という恋の手解きを書いた本がある。
そこには男女どちらかに「苦痛をともなう愛し方は邪」とされ
「し過ぎも しなさ過ぎ」もよくないと説き、さらに、暑い日寒い日、
悪天候の時、酔っている時、満腹の時、喜怒哀楽の激しい時は避けよ、
と書いてある。どの邸にも教本として一冊はあった。




自分でもしている父の悪い癖  広瀬勝博





「花の章ー風雅を楽しむ」






         葵の上と光源氏





① 姫君たちは、花の名にちなんで名づけられた。
桐壺、藤壺、葵の上、夕顔、末摘花、玉鬘--------紫式部の命名した姫君
たちの名には、花の名を冠したものが多い。 
紫式部は、花好きだったのだろう。





           源氏物語色紙絵 若紫




② 管絃の名手は憧れの的
情趣が細やかで深く、表現力が豊かで、洗練された美意識がそなわり、
おまけに美しい容姿-------それが、王朝人の理想の姿だったという。
芸事を行うのは、いつの世も変わらないもので、琴や笛などの
「管絃の才」に長けている人は、憧れの的だった。





秋澄むや若紫という少女  徳山泰子





        源氏物語絵巻 柏木三





③ 季節を装う光の君
光源氏が20歳の春。花の宴に表が白、裏が紅の桜襲(さくらがさね)
の薄手の唐織物を装う源氏はひときわ美しく輝いていた。
それから28年後、源氏が身につけるのは、同じ桜襲でも、色味の薄い
装い。渋くダンディーな貴人の姿だった。     





      源氏物語画帖 夕顔





④ あるがままの花を愛して
寝殿造りの前栽で四季の草花を楽しんでいる風情が、源氏絵によく描か
れている。平安貴族たちは、自然にあるがままの花、咲くがままの花を
美しいとしていた。





もう一品菜の花添える春うらら  津田照子





             雪 月 花





⑤ 日本の美意識
冬の月光に雪が照り映えた風情の中で、この世にいない理想の女性、
藤壺との-------どうしようもない隔たりを感じる源氏の姿を「朝顔」
の帖に見る。
日本人独特の「雪月花」の美意識は、光源氏の時代から広まった。






          平安時代の風呂事情





⑥ 風呂へ行くのは吉日に
王朝貴族の縁起かつぎは、入浴も例外ではない。
源氏物語の少し前に記された「九条流の生活作法の書」に、
入浴は5日に一度、さらに、日を選んで入浴するようにとある。
ほかにも洗髪から爪切りまで。タブーの日があったという。





過ぎた日々時々思う寂しがり  荒井加寿






   ボスの物忌みにかこつけて




⑦ ズンドコ貴族
1,帝の御物忌みの夜、男子貴族は内裏につめて宿直がお役目。
その夜、退屈しのぎに「雨夜の品定め」のように女性談議に花を咲かせ
たり、女房の部屋を訪れたり……。
  物忌みを口実に---------
2,人によっては年平均80日、ひどい場合は、1年の3分の1があた
った。 その期間はひたすら謹慎。しかし、物忌みを口実に欠勤したり、
物忌み札を提げて意にそまぬ相手の訪問を、方違えにことよせて愛人宅
に居座ったり、という人もいた。





ほがらかが一番たとえお通夜でも  青砥たか子






           陰陽師の活躍





安倍晴明がいた
⑧ 現代では想像もつかないほど平安時代は、「祟りやタブー」が人々
の生活や意識を縛っていた。物の怪がとり憑き、都での百鬼夜行が信じ
られていた時代である。 したがって何事につけ、人々はその吉兆をま
ず占い、頼りとしたのが陰陽師だった。





          『宇治拾遺物語』




⑨ 宇治拾遺物語
鎌倉前期の説話物語集である。
平安朝の宮廷や貴族に関する説話も多く収められており、編者は不明だ。
が、文体が王朝和文脈であり、貴族階級に属する人がかかわったものと
考えられる。内容は愚かしい人間とそのかもし出す事件を寛容に愛情を
もって見守り、軽妙に描出し、健康な「笑」の文学である。
平安時代の面白い人間模様もここから探すことが出来るかもしれない。
 収録されている内容は、大別して次の三種に分けられる。
世俗説話(滑稽談、盗人や鳥獣の話、恋愛話など)
民間伝承(「雀報恩の事」など)
仏教説話(破戒僧や高僧の話題、発心・往生談など)





彗星の尾からしじまへ散る花弁  くんじろう

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