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川柳的逍遥 人の世の一家言
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足の裏だけが知ってる空がある  八上桐子



 高松から山崎へ大返し

時間帯は官兵衛が行軍したもの。(各写真は拡大してご覧下さい)

6/6、高松城を夕刻出発、同夜、沼城で秀吉隊と合流。

6/7、姫路城に秀吉本隊到着、

6/9、姫路を早朝出発。
(尼崎の4里ほど手前で、毛利の旗を掲げたという)

6/11、前日夜に到着した隊は、早朝には尼崎を出発。

6/12、夜、富田到着、

6/13、昼前後に出発「山崎の戦い」へ残り12キロ。


姫路から尼崎間を2日で走破するのは、

長距離ランナーに匹敵する体力を要するといわれる。
(そのため、秀吉軍はかなり軽装だったと推察される)

マラソンの独走罪を背負うかに  三條東洋樹



 中国大返しの図

「中国大返し」

備中・高松から姫路への道中、官兵衛秀吉は緊張の頂点にあった。

信長の斃れたことに一度は講和が成立したものの、

吉川元春を筆頭に武闘派がどう反転してくるかもしれない。

光秀の討伐も急がねばならない。

そのタイミングを失すれば、

官兵衛の囁いた秀吉による天下統一の足がかりが、

決定的に失われることになる。

とりわけその動静を気にしていたのが、

信長の筆頭家老だった北陸の柴田勝家だった。

勝家は上杉との戦いの最中だったが、

主君の悲報を聞けば、直ちに光秀を討ちに行くことは間違いない。

それに先んじて、秀吉が光秀の首を獲る事は、

天下を収めるための必須条件なのだ。

「中国大返し」は、まさに限界を超えた強行軍となった。

俎板のくぼみに理由を詰めておく  笠嶋恵美子

そしてこの時、秀吉の胸中には様々の思いが去来していた。

考えも及ばなかった天下統一への道筋が目の前に開けたこと、

それに対して、直ちに目の据えた官兵衛という男の恐ろしさ。

「鋭利な刃物のごとき官兵衛という男は、

   やがて切っ先をこちらに向けてくるかも知れない」

そんな不安を持つようになっても不思議ではない。

ただ光秀討伐に待ったなしの状況で、

秀吉に熟慮する時間など、あろうはずはなかった。

ふあんのふ ふしぎふしぎのふもありぬ 高橋かづき



  天王山に陣取る秀吉軍

秀吉・秀長、黒田官兵衛、中川清秀、堀秀政の姿が見える。

左端、中村一氏の横に毛利・隆景、元春の旗が見える。

官兵衛と秀吉は明智側の動きを読んだ。

秀吉上洛を聞きつければ、

光秀もすぐさま安土を発って、京に向かうはず。

しかし京は陣を張った場合、防御するのが困難な場所。

必勝を期する光秀なら、

京の手前のどこかで秀吉軍を迎え撃とうとするに違いない。

明智軍との決戦が近付く、両軍の位置関係から戦場は、

山城と攝津の国境である「山崎の辺り」になる公算が大きかった。

地理的に山崎の西に位置してこの地を一望できる

天王山を制したほうが、この戦いに勝利することは間違いなかった。

官兵衛はあらゆる策を講じ、決戦前夜には、

秀吉の弟・秀長とともに、天王山を押さえた。

方位磁石は西を向かない  下谷憲子


 毛利の旗・一文字三星紋

いよいよ、秀吉軍と明智軍は山崎で向かい合った。

官兵衛がこの「山崎合戦」の折に、

毛利方から借りた吉川・小早川の旗指物を秀吉の陣営に並べたという。

「秀吉軍には、毛利勢も参陣しているとみせるため」

だったという。 (『名将言行録』)

これに明智軍はたじろいだ。

光秀も、ここに秀吉軍がいる以上、

毛利との講和が成立しているとは察したが、

毛利軍が早くも、秀吉のために挙兵していることに、驚いたのである。

心が折れた明智軍は総崩れとなり、支城である勝竜寺城に籠城する。

これを一気に制しようとした秀吉軍だったが、

明智軍は頑強に抵抗した。

しょせん私の私になんか負けないわ  徳永政二



  坂本城の鐘

籠城した軍勢を力任せに潰したとしても、

こちらの被害も大きくなる。

そこで官兵衛は勝竜寺城の北側にあえて隙を作り、

敗戦濃厚な明智側の者たちが、そこから逃げだして来るのを待った。

光秀は、わずかな近臣を従えて城を脱出、京方面に姿をくらました。

主を失った城内の将兵もまた相次いで、

官兵衛の作った道へ逃げてくる・・・。

天王山を押さえた時に、官兵衛の目には、

天下人の道を進む主君・秀吉の姿が見えていたに違いない。

壁の向こうは紅色の雪である  井上一筒

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