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川柳的逍遥 人の世の一家言
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蒸発をためらっているヘソの水  雨森茂喜



日本海に面した萩は、「関が原の戦い」後に、

長州藩の本拠となり、
幕末に至るまで城下町として栄えた。

「大河は戦国から幕末へと流れる」

因縁というのか、神のいたずらというのか、

徳川時代の始まりを助けたのも、徳川時代の終わりに楔を打ったのも毛利藩。

美濃において行なわれた「関が原の戦い」は、東軍の勝利に終わった。

傍観に徹した毛利軍は、戦わずに戦場を離脱する。

その報せは、直ちに大坂城にいる西軍総大将・毛利輝元へ届けられた。

輝元は迷った、

「関が原で西軍が敗れた以上、抵抗は無駄であろう。

  とはいえ、まだ大坂城には秀頼様と自分がいる。

   籠城して緒将に参戦を呼びかければ十分対処できるであろう」と。

実際、関が原で戦わずに終わった従弟の毛利秀元は、

徹底抗戦を望んでおり、輝元もそれに応えたい気持ちはあった。

ユーモアの影に冷酷な客観  八木侑子

しかし、東軍に内応した張本人である吉川広家は、

「輝元の西軍総大将就任は本人が望むところにあらず」

家康に弁明する。

家康はこれを許し、

「輝元は名目上の総大将に担ぎあげられたに過ぎないと聞く、

 毛利の本領は安堵する」

との書状を大坂城の輝元に送付した。

「これで毛利家は安泰である」 

そう安心した輝元は抵抗をやめ、

合戦から10日後の、9月24日に大坂城を退去した。

青竹の不意にしなってエラ呼吸  森田律子


   毛利輝元

その後、家康は輝元に代わって大坂城へ入城し、戦後処理に入る。

ここで家康は、西軍に加担した緒将を徹底的に弾圧にかかり、

反乱の芽をつぶしにかかった。

まず、西軍の首謀者である石田三成・小西行長・安国寺恵瓊の3人は、

打ち首としその領地を没収した。

五大老だった宇喜多秀家は57万石の領地を没収し、八丈島へ流罪。

上杉景勝を会津120万石から、米沢30万石に減封する。

マーキング柑橘類を滴らす  高島啓子

そして魔の手は毛利家にも伸びてきた。

輝元が西軍の総大将として積極的に活動していた証拠となる書状が、

多数発見されたためである。

「先の吉川広家の弁明は事実ではなかった。

   西軍の総大将となった罪は重い。よって毛利家は改易とし、

   吉川広家には周防、長門の2ヶ国37万石を与える」

と通告した。

これを受けた広家は仰天し、毛利本家存続のため必死の懇願を試みる。

鳩尾で軋む半分ほどの罪  上田 仁

「私に対するご恩顧は決して忘れませんが、

 毛利本家を残して戴きたくお願い申し上げます。

     万一、輝元が徳川に対し弓引くようなことがあれば、

     私が輝元の首をとって差し出す覚悟でございます」

 と、家康に直談判したのである。

10月10日、この熱意に家康も折れ、

広家に与えられるはずだった、周防、長門の2ヶ国を毛利本家に与え、

輝元、秀就父子の命えお保障すると約束した。

苦の種は蒔きたくはない余命表  有田晴子

関が原から3年後の慶長8年(1603)

家康は、江戸に全国の大名を統括する幕府を開く。

そして、慶長20年には「大阪の陣」によって豊臣家を滅ぼし、

名実ともに天下人の座についたのである。

毛利ほか諸大名は徳川家から、

「領地(藩)預かる」という形となり、幕府体制が始まった。

東北東から事実無根になってなってゆく 山口ろっぱ


長州13代藩主・毛利敬親(たかちか)

広家の嘆願により、お家の存続を許された毛利家はその後、

長門の一字から「長州藩」と通称されることになる。

元就以来から守り抜いてきた120万石を、

周防、長門2国37万石のみに減らされた恨みは、

江戸時代を通じ、「長州毛利家」に根付くこととなる。

「花燃ゆ」
幕末維新という激動の時代において、多大な役割を果たした長州藩。
その城下町である萩で有能な志士たちを育てたのが吉田松陰であり、
彼を助けたのが妹の杉文だった。
「花燃ゆ」は、家族や松下村塾生とともに破天荒な兄を支え、
「自分に何ができるか」を問いつづける一人の少女の物語である。

これからのブログは、この「文」の史料が少ないので、
この時代に生きた人物や事件を中心に続けていきたいと考えています。
これからも、よろしくお願いいたします。

蓮根の不思議なる穴神の技  たかもり紀世

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