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川柳的逍遥 人の世の一家言
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常温で弾む程度の黒魔術  井上一筒

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会津松平家初代・保科正之

会津藩家訓。保科正之が寛文8年(1668)に制定。

その精神は代々の藩士に受け継がれた。


「京都守護職就任」

「京都守護職」就任から「会津戦争」終結まで

なぜ会津藩は「朝敵」の汚名を着せられたのか?

確かに会津藩は終始、幕府と行動をともにし、

薩長両藩と鋭く対立することもあった。

だが最後の将軍よりも、過酷な処罰が科され、

最後は悲惨な籠城戦に追い詰められている。

そこには初めは称えられ、次に恐れられ、

末は憎しみの的になる、強者ゆえの悲劇がある。

雲ひくく漢方薬を少し買う  森中惠美子

藩祖の家訓に従い京都守護職に

文久2年(1862)閏8月1日、

第九代会津藩主・松平容保は京都守護職を拝命する。

これが、会津藩が幕末動乱の渦に巻き込まれていく、

端緒であった。

おぼつかぬ道です内股でいきます  河村啓子

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容保は初め、就任を固辞した。

会津藩はすでに、蝦夷の警固房総の守備、

品川砲台の守りを勤めている。

度重なる飢饉で出費がかさみ藩財政は苦しい。

その上、京都に出兵し、

暗躍する尊王攘夷過激派を取り締まり、

治安を回復するのは、

「火中の栗」を拾うようなものだ。

家老の西郷頼母ら家臣も猛反対した。

丸ごとを生きるいのちを愛しむ  前中知栄

しかし春嶽は諦めずに、次のような手紙を容保に認めた。

「土津公(はにつこう)以来のお家柄と申し、

  かたがた今の艱難を御亮察くだされ、

  只今お受けに相成り候へば・・・・」


土津公(保科正之)以来のお家柄ならば、

幕府が苦境の今こそ、

京都守護職を受けるべきと説いたのだ。

さらに春嶽はこの後に、

「もし正之公でしたら、お受けになったことでしょう」

と殺し文句を続けている。

どこまでも従いてくる昨日のしっぽ  清水すみれ

"大君の義、一心大切に忠勤を存ずべく、

列国の例を以て自ら処るべからず・・・"


容保は「会津藩の家訓」を思い出し、

「ここまで言われては、もはや断れぬ」

と観念した。

純真な人から嵌る落とし穴  河津寅次郎     

容保に京都守護職の白羽の矢が立ったのは、

条約調印や将軍継嗣をめぐる、政争を収拾する際、

大きな功績があったからだでもある。

大老・井伊による日米修好通商条約の無勅許調印、

十四代将軍に徳川慶福(家茂)を推す南紀派の勝利、

一橋慶喜擁立をめざした一橋派の粛清(安政の大獄)

そして、桜田門外の変・・・・。

せめてからやがてにかわるその日まで  北原 照子

水戸脱藩浪士らの井伊大老暗殺に激怒した将軍家茂は、

水戸家問罪の出兵を命じようとした。

この時、容保が、

「事件は脱藩浪士が起したもの。

  今は国内で争っている時ではありませぬ」


と諫止、家茂がこれを容れ、

水戸家処断は「沙汰止み」となった。

この功績で容保は左近衛権中将に昇任、

さらに水戸藩に下った密勅の返納もやり遂げ、

家茂の信頼はいよいよ厚くなる。

表装の桃は差し歯をされました  岩根彰子

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     松平容保

28歳の「会津中将」は幕閣の中でも、

一目も二目も置かれる存在になったのだ。

文久2年6月、

兵を従え上洛した薩摩藩国父島津久光が、

攘夷督促の勅使・大原重徳らを伴い江戸に入り、

幕府に圧力をかける。  その結果、

一橋派が幕政に復帰、

一橋慶喜が将軍後見職、

松平春嶽が政事総裁職に就き、

3代将軍家光以来となる

将軍家茂の上洛も決まった。

これを機に、新設されたのが「京都守護職」であった。

水のことばがわたくしを点すこともある  たむらあきこ

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【P・S】

容保は高須藩から養子で、

会津松平家に入っていただけに、会津藩主として、

「こうあらねば」

とより重く受け止めていたのだろう。

「我らには正之公の遺訓がある。

  また、数代にわたり隆恩に浴くしていることを、

  余は不肖といえども一日も忘れたことはない」


容保は家臣たちを前に、悲壮の覚悟を口にし、

「京師の地を死に場所にしよう」

と、藩士一同、泣きながら覚悟を固めたのである。

かくして会津藩は、将軍家のため、

また、宸襟(しんきん)を案ずるため、

全身全霊で京都治安維持の任務にあたり、

動乱の渦中に突入していくのであった。

生と死の話へ遮断機が下りる  板野美子

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