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川柳的逍遥 人の世の一家言
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しのぶ夜の雪の重さが背なにある  森中惠美子

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断髪・男装の八重
                  (画像は拡大してご覧下さい)

帯刀し銃を携えた八重と開城時に残した和歌。

「八重ー会津戦争を語る」


私の実家は、会津侯の砲術師範役でございましたので、

ご承知の8月23日、

いよいよ城内に立て籠もることになりました時、

私は、着物も袴も総て男装して、

麻の草履を穿き、両刀をて手挟んで、

元籠七連発銃を肩に担いでまいりました。

弟の三郎と申しますのが、その春、

山城国・鳥羽の戦で討死しましたので、

その形見として着物と袴がつきましたから、

―私は、弟の敵を取らねばならぬ、私は即ち三郎だ

    という心持で、その形見の装束を着て、

  一は主君のため 一は弟のため、

     命のかぎり戦う決心で、
城に入りましたのでございます。

やわらかく押しているのに赤い湯気  岩根彰子
         わたし
入城後、妾は昼間は負傷者の看護をしていましたが、

今夜襲撃と聞きましたので、

そっと支度をして、「大小」を差し「ゲベール銃」を携え、

夜襲隊と共に正門から出ました。

門を出て暗闇を進んで行くと、

敵の姿がちらほら見えたので、

ソレッとばかり斬り込みました。

無論、喊声を揚げずに勝手次第に斬りこんだので、

敵の周章加減は話しになりません。

まるで子供の打撃に遇うた蜂のすの如く右往左往散乱し、

中には刃向かう者もあり、

また同士討ちをしている者もあったが、

敵に増援隊が来ると、漸く静まり猛烈に逆襲してきました。

水際にまだ留まっているあした  きゅういち

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     ケーベル銃

しかし勝手を知っている城兵が各処に出没して、

縦横に斬って廻り、また火など放ちました者ありて、

随分、敵をなやましたようであります。

妾も命中の程はわかりませんが、よほど狙撃をしました。

散りざまのいろいろ花も人間も  内藤光枝

別の日には、次のようなこともありました。

妾一人にて出撃せんと、

夜暗に乗じ御台所門より出て太鼓門に来ると、

11、12歳の子供等10人ばかり、

いずれも手頃の長さに切りつめたる槍を携え

えらい元気で集合していました。

そのうちの一人が妾を見て、

「ぜひ夜討に私共を同行を」 

と頼みますので、妾も、
 
「こんな子供も君のために命を捨てる覚悟か」

と思い暗涙を催しました。

生え際からいや耳朶から透きとおる  酒井かがり

妾一人なら格別、子供等を同伴することは一応、

「殿様に御伺いせんければならぬから」

と子供等を待たせて、

黒鉄御門に至り此由を申しあぐると、

殿様は、

「一同の健気な志は褒めて遣わすが、

 女や子供のみを出撃さしては、

  城中兵なき事を示すが如きもので、

  かえって城中の不覚となるから差し控えるよう」


にとの仰せなれば、

その旨、子供等にも懇々と申し含めて解散させ、

妾も止む無く出撃を中止しました。

(一番印象に残っているのか、この場面を八重は幾度も繰り返し語った)
                                              〔山本(新島)八重子刀自の断片〕
歯周病なれどイワオコシを齧る  井上一筒

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