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川柳的逍遥 人の世の一家言
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補助線はリハビリ中でございます  河村啓子


   国生みの絵

伊邪那岐(イザナギ)・伊邪那美(イザナミ)の二神は淤能碁呂島(おのごろじま)
に続き、大八島国を産み、山の神、海の神など様々な神を産んだ。

しかし、火の神を産んだ時、イザナミは火傷を負い死んでしまうのです。

「女尊男卑」

一般に日本は男尊女卑で、欧米の文化は女性を大切にするというイメージ

あるが、それは誤解でむしろ逆なのである。

伝統的に欧米は徹底した男尊女卑で、
逆に日本では女性の地位が高かった。

戦後、女性と靴下が強くなったといわれるが、今日の状況はもともと伝統

に高い女性の地位が、戦後欧米から入ってきた男女平等やフェミニズム

など
のイデオロギーが加わって一層高くなり、もはや「女尊男卑」とでも

言ってい
いものになっている。

食べ尽した男をゴミに出しました  渡辺富子 

旧約聖書によれば、イヴはアダムのあばら骨から「アダムを慰める」もの

として神が
創ったとされる。

ここには男性の絶対優位と女性の絶対服従が示されている。


その意味では、キリスト教国は基本的に男尊女卑の文化を持っている。

実際、今
でも夫が財布の紐を握っていて、妻は夫から生活費をもらうのが

普通で
妻の職業従事の自由が認められたのは、1965年のこと。

今でも家のインテリアや壁の色は、夫が決めるのが常識という。

このような文化が背景にあったからこそ、女性の自由の獲得をスローガン

にウーマンリブ運動やフェミニズム運動
が起こったのは頷けるだろう。

芥川の鼻読んでから横道へ  小林満寿夫

神が天の沼矛で海原をかき回す絵
                                     いざなぎのみこと
これの対して日本の場合は、「古事記」に出てくる男神・伊邪那岐尊
    いざなみのみこと
女神・
伊邪那美命は平等な存在である。

その2人の神が協力して「国を生む」という
話になっている。

そこにはどちらが上でどちらが下かといった上下関係、支配・
服従関係

もない。そればかりではない。

産後の肥立ちが悪くて亡くなった妻を
追いかけて黄泉の国に行き、

「帰ってきてくれ」と懇願する夫の伊邪那岐尊に
伊邪那美命は、

黄泉の国の神と相談してみるけれども、

「その間、私をご覧に
なってはなりません」と述べる。

あまりにも帰りが遅いので伊邪那岐尊はつい
中を覗いてしまう。

死後の醜い姿を見られた伊邪那美命は「恥をかかせた」
と言って

鬼の形相になり追いかけてくる。

夫の不実を鬼の形相でなじる現代の
妻の原型が、ここに示されている。

耳鍛え妻の小言に耐えてます  上田 仁

さて次は、家庭の実態をとらえたサラリーマン川柳を少し覗いてみよう。

「寒いよね ママ目で合図 動くパパ」

「”めし””ふろ”に 下さいついて 妻動く」

「力関係 躾けてないのに 分かる犬」

「ゴミだし日 捨てにいかねば 捨てられる」

「円満は 見ざる言わざる 逆らわず」

「ぼくの嫁 国産なのに 毒がある」

その顔はトイレ掃除をサボったな  ふじのひろし

平安時代中期に飛んでみる。
         おおえなりひら
文章博士である大江匡衡が妻で歌人の赤染衛門との
間で交わした歌がある。

「果かなくも 思ひけるかな 乳もなくて 博士の家の 乳母せむとは」匡衡

乳は掛詞で知識のこと。

要するに自分の家に乳母を雇ったが、その乳母に乳が
出ない。

インテリの博士の家の乳母をするのに、

「それしきの知識がなくていいのか」
と嘆いてみせた。

これに対して妻の赤染衛門は、次のように返した。


「さもあらばあれ 大和心し 賢くば 細乳に附けて あらずばかりぞ」

そんなことどうでもいいではありませんか。

大和心すなわち美しいものを美しい
と感じる心、

情緒があれば十分ではありませんか、と
夫の主張を跳ね除けたのである。

これが平安時代の家庭における力
関係の実態である。

あの世ではあなたと出会いませぬよう  楠本晃朗

次は古典落語「芝浜」から。

亭主はだいたいボンクラ、女房はしっかりものというのが相場だ。

呑兵衛の亭主がある夜、大金の入った財布を拾う。

その金をあてにして亭主が
働かなくなることを心配した女房は、

「あれは夢だった」のだと嘘をつく。


亭主は「怠け心からそんな夢を見るようにまでなったのか」と自分を責め、

心を入れ替え
て働くようになった亭主はその結果、店を持つほどになる。

三年後の大晦日の
夜、女房は、「あれは夢ではなく、本当のことだった、

これがその時の財布だよ、
嘘をついて悪かった」と謝る。

「いやお前のお陰でこうして店を持てるようになった」

亭主は女房に感謝するお話。

ここにも妻が主導権を握り、夫をリードする姿が垣間見えるのである。


くしゃみ二つ言った言わない物忘れ  山本昌乃


  明治時代の女性

はたして明治時代はどうだったか。

家制度で女性は家に縛られ、自由がなかったのでは、という指摘がある。

しかしわが国の家制度はヨーロッパの家父長制と違って戸主の権限は

もともと
弱いもので、その分、女性の地位も高かった。

明治期、日本に滞在した英国の写真家・ハーバート・ポンティングは、

日本の家
庭の様子を次のように語っている。

「日本の妻は独裁者だが、大変利口な独裁者である。

妻は実際に支配している
ように見えないところまで支配しているが、

それは極めて巧妙に行っているの
で、夫は自分が手綱を握っていると

思っている。妻が導くままに従っているのを
知らないのだ」

ポンティングさんよく観察していらっしゃる。

ぬるま湯にどっぷりつかるのも処世  丸山不染

『古事記』によれば、大八島は次の順で生まれたそうです。

    淡道之穂之狭別島(あはぢのほのさわけのしま):淡路島
    伊予之二名島(いよのふたなのしま):四国
    隠伎之三子島(おきのみつごのしま):隠岐島
    筑紫島(つくしのしま):九州
    伊伎島(いきのしま):壱岐島
    津島(つしま):対馬
    佐度島(さどのしま):佐渡島
    大倭豊秋津島(おほやまととよあきつしま):本州

春ですね笑い袋の紐を解く  須磨活恵

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